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ARK ZERO  作者: 松茸の香料


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7/7

共闘


 ギィィィッ!


 金属を引き裂く耳障りな音が夜道に響く。


 ハンター型の鋭い爪が、ゼロのシールドを何度も叩きつける。


 火花が散る。


 しかしゼロは一歩も引かなかった。


「ゼロ!」


 俺が呼ぶと、ゼロは一瞬だけこちらへ視線を向けた。


 まるで「指示を」と言うように。


(考えろ……。)


 相手はハンター型。


 ガード型とは真逆の性能だ。


 装甲は薄い。


 その代わり、速度と瞬発力は段違い。


 ゲームでは多くの初心者がこいつに翻弄された。


 まともに追いかければ、絶対に勝てない。


 ハンター型が地面を蹴る。


 一瞬で姿が消えた。


「速い……!」


 次の瞬間には俺の背後。


 咄嗟に振り向き、剣を振るう。


 だが、空を切る。


 フェイント。


 再び視界から消えた。


「くそっ!」


 ゲームと同じなら、次は――。


「ゼロ! 左!」


 俺の声に反応し、ゼロがシールドを左へ向ける。


 ガキィン!


 ハンター型の爪が盾へ突き刺さった。


 防いだ。


「やっぱり!」


 ハンター型は攻撃の後、必ず死角へ回り込もうとする。


 ゲーム時代、何度も解析した行動パターンだ。


「ゼロ! そのまま押し返せ!」


 ガード型は機動力では負ける。


 だが、純粋なパワーなら上だ。


 ゼロが盾を前へ押し出す。


 ハンター型の身体が大きく弾かれた。


 今だ。


 俺は地面を蹴る。


 距離を詰める。


 ハンター型も立て直そうと身を翻した。


 速い。


 でも。


「その動き、知ってる!」


 ゲームでは数え切れないほど見た。


 攻撃後の回避方向。


 着地位置。


 次の行動。


 全部、頭に入っている。


 剣を振り抜く。


 キィン!


 浅い。


 しかし肩口の装甲を切り裂いた。


 ハンター型が初めて苦しそうな電子音を漏らす。


「効いてる!」


 俺は追撃しようとした。


 その時だった。


 ハンター型が突然、大きく後ろへ飛び退く。


 逃げる?


 いや、違う。


 単眼が赤く点滅している。


 ピッ。


 ピッ。


 ピッ。


 嫌な予感がした。


「……ゼロ。」


 ゼロもハンター型を見つめたまま動かない。


 そして。


 夜の静寂を破るように。


 遠くのビルの屋上。


 マンションの駐車場。


 商店街の路地。


 赤い光が、一つ、また一つと灯った。


「……嘘だろ。」


 十。


 二十。


 三十。


 いや、それ以上。


 暗闇の中で、無数の赤い単眼がこちらを見つめている。


 ハンター型は一体ではなかった。


 仲間を呼んだのだ。


 ゼロがゆっくりと前へ出る。


 俺を庇うように。


 目の前には一体。


 左右にも数体。


 さらに、建物の上からも。


 完全に囲まれていた。


 俺は剣を握る手に力を込める。


「……まずいな。」


 この数は、ゲームでも序盤にはあり得ない。


 知識だけでは覆せない状況。


 そのとき。


 ゼロが静かに盾を構えた。


 そして初めて、自分の意志で一歩前へ踏み出した。


 その姿を見て、俺も覚悟を決める。


「行くぞ、ゼロ。」


 相棒は何も答えない。


 それでも、その蒼い瞳は確かに俺を見ていた。


 次の瞬間。


 無数のハンター型が、一斉に飛びかかってきた。


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