表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/2

大学に入学して一ヶ月ばかり経った頃、私は大学が催す合宿に参加した。入学が決まった時に「共に学ぶ友人を作り、人として成長しよう」


という、スローガンなのか目標なのか分からないが、とにかくそんな文言と宿泊場所が書かれたパンフレットを貰っていて、入学の手続きの一環な気がして申し込んだ。どうしても友達が欲しかったわけじゃないし、一泊二日、知らない土地に泊まることで人として成長できると思えなかったが、息子を大学生活に馴染ませたい両親が参加すべきだとうるさかったし、つまらなかったら大学は退屈で無意味な場所だと再確認できるだろうと思って参加した。 


 当日の朝、私は合宿が行われる栃木県の山奥にある宿泊所まで母に車で送ってもらうことにした。神奈川県にある実家を午前七時に出て、高速道路を利用してスムーズに向かった。 


「あなたみたいな引っ込み思案が、わざわざ行かなくてもいい行事に出るなんて驚いた。小学生の頃は運動会も遠足もあんなに嫌がっていたのに」と母は言った。自分が無理に参加させたということは覚えていないというか、意識していないらしい。 


小学生の頃のことはあまり覚えておらず、私はそんなに運動会が嫌だったかなと言った。


「他の子より反抗期が早かったのよ」と母は言った。


宿泊所に着いたのは集合時間よりも一時間早い午前十時だった。早く行ってもすることがないので、本当はギリギリの時間に着きたかったが、母に早めに家を出るように諭されたので仕方ない。宿泊所は森林に囲まれており、宿泊する各部屋と食堂、ラウンジ、ホールがある程度で、必要以上に特別な設備は用意されていなかった。受付で紐のついた名札を首から下げるように言われ、「どうしても身につけないとだめですか」と言うと、職員の女性は困惑した顔で「そうですね、規則ですから」と言われた。


名札を首から下げて、二日も過ごすくらいなら帰りますと言って、帰ってしまおうとしたが、が今までの人生で命令してくる連中に逆らって痛い目を見てきたことを思い出して残ることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ