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JKと仲良くなるのは楽しいもんだ

水希先輩の家にお邪魔した翌朝、オフィスに向かう俺はいつも通りエレベーターを待っていた。


「昨日はすごかったな……」


酔った水希先輩は魅惑的で破壊力抜群だったし、妹でありタクオタのランキング1位である若葉とも勝負できた。


そんな濃密な一日を過ごしたわけだが、翌日になれば当然いつもと変わらぬ日常が待っているわけで。


それはつまり、今日も仕事だぞと言われているわけで。


「……さて、今日も頑張るか」


エレベーターが到着する前に独りごち、仕事のやる気スイッチをオンにしておく。


到着したエレベーターのドアが開くと、2人の美女がお出迎えしてくれた。


「あら、カズマくん。おはよう♪」


「カズさん、おはようございます」


水希先輩と若葉、姉妹揃って挨拶して来る。


並んだ2人はまるでモデルの姉妹に見えた。


「水希先輩、それに若葉も。おはようございます」


「カズさん、昨日は遅くまでありがとうございました」


「こっちこそ。すごく楽しかったよ」


若葉と親しげに話しながらエレベーターに乗って来た俺を見て、水希先輩は不思議な表情をしている。


「カズマくんって、若葉と知り合いだったかしら?」


それを聞いた若葉は大きなため息をついた後、呆れた顔で話し始める。


「何言ってるのお姉ちゃん。昨日酔い潰れたお姉ちゃんを家まで連れて来てくれたの、カズさんだよ」



「………………へ?」



「カズさんも大変だったでしたね。お姉ちゃん、寝ぼけたらすぐ抱きついてくるから」


「そりゃ驚いたけど、あんな先輩初めて見て新鮮だったというか、俺も役得だったというか」


「なら良かったです。今朝のお姉ちゃん、私が出発するギリギリまで寝てたんですよ。慌てて準備するもんだから、昨日の話する時間もなくて」


「ちょちょちょ、ちょっと待って!」


自分の恥ずかしい話を連発する妹を止めるべく、慌てて水希先輩が話を遮った。


「もう、やめてよ若葉! カズマくんの前で……恥ずかしいっ……!!」


「ははーん?」


顔を赤くする姉を見てニヤニヤしながら、若葉は耳元で何かを囁く。


「さてはお姉ちゃん、カズさんのこと……むむっ!?」


突然口を塞がれ変な声が漏れ、何を話しているのか疑問に思っていると、エレベーターがオフィスの階に到着した。


「ほら、カズマくん、早く行こ」


「え? はい、そうですね」


足早に立ち去ろうとする水希先輩に違和感を覚えながらも、オフィスに向かうため俺もエレベーターから降りた。


「カズさん、また遊びに来てくださいね〜! またプレイしましょ〜!」


「プププ、プレイ!? カズマくん、若葉と何してたの!?」


「タクオタです! 誓って変なことはしてません!!!」


そんな会話から、今日も仕事が始まる。


◯ ◯ ◯ ◯ ◯


「水希先輩、来週の新カードについて相談なんですが」


「そ、そうね、わかったわ」


今日は水希先輩がなんとなくよそよそしい。


昨夜の失態を見られて恥ずかしいのかもしれないが、それだけではないように感じる。


「先輩、昨日のことなら気にしてませんよ? それとも、俺何かしました……?」


顔を覗き込んで聞いてみるが、先輩は顔を赤らめただけだ。


「いや、カズマくんは何もしてないわ。言い忘れてたけど、昨日はありがとね」


「いえいえ」と返すが、俺の疑問は深まるばかり。


斜向かいに座る胡桃からも「カズくん、何したの?」と聞かれる始末。


……つっても、心当たり無いんだよな。





そのまましばらく仕事を続けていた頃、不意にオフィスのインターホンが鳴った。


「はーい」


柚季が素早く立ち上がり、インターホンに向かって来客対応を始める。


こういう仕事は若いヤツがやるべきなんて思わないため、率先して行う姿には好感が持てる。


それほど時間も経たないうちに「ええっ!?」と柚季が驚く声が聞こえてくる。


「水希先輩。妹の若葉さん? が来ているようなので、ちょっと確認してもらえませんか?」


「っ!? わかった、すぐ確認するわ」



インターホン越しに二、三言葉を交わした後、水希先輩はカバンを持って慌てて玄関に向かった。



◯ ◯ ◯ ◯ ◯



「ごめんね、今日一日不便だったよね……」


「そうだよ。お姉ちゃん、間違えて私のスマホ持って行くんだもん」


水希はカバンからスマホを取り出し若葉に返す。


今朝慌てて家を出たものだから、机にあった若葉のスマホを持って行ってしまったようだ。


「……もう、いくら好きな人に恥ずかしいところ見られたからって慌てすぎ。しっかりしてよね」


「べっ、別にそんなんじゃ無いわよ! まあ、気にはなるけど……」


「わかった、そういうことにしておくよ。それはそうと、カズさん呼んでくれない?」


「えっ!? なんで……?」


「んっ」


若葉は手に持っていた紙袋を見せて来た。


「これ、昨日のお礼。カズさんに渡そうと思って」


「そんなの用意してたの!? 助かるわ。ありがとね」


水希はそのまますぐにカズマを呼びに行った。



◯ ◯ ◯ ◯ ◯



「わざわざありがとな。ここまでしてもらうと何か悪いな」


「いえいえ。なら、カズさんが遊びに来る時、お菓子でも持って来てください。それでおあいこってことにしましょう♪」


「それいいな。じゃ、そうさせてもらうわ」


若葉からお礼を受け取り談笑していた俺たちの様子を、廊下の先から眺めている影が3つ。


「胡桃先輩、またライバルが増えましたね」


「そうみたいだね。相手はJKか……強敵だね」


「いや、若葉はそういうのじゃないと思うわよ。……え、そうよね? 不安になってきたわ」



そんな会話が繰り広げられているなど露知らず、俺と若葉は時折笑い声を上げながら他愛もない雑談を続けたのだった。

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