18話
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「え~っと、コレは何かな?由香」
長田家のリビングルームに集まった8人の内、細井家・長田家の両親は?組、その他は ワクワク組と ヒヤヒヤ組に分かれて、その時を待っていた。
「ま、取りあえず皆さん座って下さい」
由香がそう言った自分も含め、8人が座った。
「では始めたいと思います」
期待と?(ハテナ)、それにドキドキとワクワクと言う側と、一部が憂鬱になった側に別れた。
「早速ですが、只今より、ココで一大発表があります」
ココで皆の期待が高まる。 その一方で、いよいよ白日夢に晒される人たちの緊張がマックスになった。
「実はこの二人は、ほぼ2年前からお付き合いをしていたという事が発覚しました」
「えぇ!!」
「やっぱり~!」
返しの声は、驚きと、了承していた様な、二分に別れた声が上がった。
由香が剛と有美の二人を掌で示し、今の紹介で、人生で一番の緊張をしている二人に、ウインクをした。
「では、その二人からのコメントを頂きたいと思います。どうぞ」
いきなり振られたモノだから、二人の挙動が通常と違って、慌ただしくなった。だが剛はこのタイミングを与えてくれた妹に、一矢を報いる為に、勇気を出した。
「み、みなさん、今回は私達二人の為に、集まって頂きありがとうございます」
普段は凛々しい剛が、緊張で手が震えているのがわかる。
「今、由香が言った事は事実です。 実は、オレと有美は一昨年から正式に付き合っていました。 その事を、周りの人達には内緒で。 本当は付き合ってすぐに知らせても良かったんですが、有美とはずっと中学時代から一緒に居て、親しい男女の友人関係であったために、今更その関係を恋愛に変えていく事が、友人関係が長かった分、どちらからも言い難かったと言うのが告白を遅れさせたのだと思います」
「でもお互いに恋愛感情はあったのよね?」
大輔の母、香が二人に問い正す。
「いえ。 最初はこんな男みたいな女の子は、全く恋愛対象に思っていなかったんです。 だけど、だんだんと知り合っていくうちに、ただ有美は、振る舞いがボーイッシュなだけであって、とっても優しく、女性っぽい事が段々わかって来て、大学の頃には友人なのに、え.....っと......」
「私と剛が、その時一度だけ、エッチしちゃったって事なのよ」
横に居る有美から、半ば自棄気味に、突然の情報が公開された。
すると、双方の両親は、飽きれた表情になり、由香の父俊博が、突然怒り出し、その場を立ちあがり、息子である剛の迫り、胸倉を掴んで。
「お前は。何てことをしてくれたんだ。細井さんの大事なお嬢さんに手を出して、許されない事だぞ」
殴りはしなかったが、掴んだその手は震えている。 それを見ていた、母親の香が、落ち着いて、有美に向かい、問い正した。
「あなた、ちょっと待って。 有美。実を言うとね、剛クンの事は何となくだけれど、私と倫子さんは分かっていたわ」
この言葉に俊博は掴んでいた手を離し、香に向かい。
「どう言う事ですか?香さん。 知っていたって言う事ですか? しかも、倫子まで」
「ゴメンなさい。 ハッキリじゃ無かったんだけど、香さんと世間話しているうちに、去年かな、そのような話になって、それからお互いに、有美ちゃんと剛の事が、何となく怪しいと思い始めたの」
「ごめんなさい、あなた。 私も良く倫子さんと話し合っているうちに、『あの二人が一緒になってくれたら、将来は共通のお婆ちゃんね』なんて、期待はしていたの、だから、今回のこの公表は私達にとって、嬉しい事よ」
全く知らず、気づいても居なかったこの事実に、父親と言うモノはこうまでも、“鈍感”なのかと、思い知らされ、戦力を失う俊博だった。
「おじさん、そんなに落ち込まないで。私は今、剛とこうやって皆に宣言出来て、とっても嬉しいの、だから、剛を咎めないでください」
「ぐ!........、そうか、そうならいいんだ、有美ちゃんが剛の事を......、そうか.....」
「あなた.....」
「父さん、オレは半端な気持ちじゃないんだ、有美とはこの先一緒になるって二人で決めているんだ。だから、オレ達の事を許してください」
「わたしからも、お願いします」
剛と有美に頭を下げられ、もう何も言えない雰囲気になり、頭を掻きながら。
「そうか。 二人とも決心が出来ているのなら、好きにしなさい。いいですかな?明人さん」
「ま、この流れでは、致し方ないですな。あっはっは......」
双方の父が笑い始め、母親たちは、お互いに、サムズアップをし合っていた。
「有美、剛クン、幸せになりなさい」
「「ありがとうございます」」
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、おめでとう、幸せになってね」
「「ありがとう」」
「ほんと良かったよ、姉ちゃん剛兄ちゃんと、仲良くね」
「うん、ありがとね大輔」
「迷惑かけたな、大。姉さんは大事にするからな」
「たのむよ」
一時、修羅場染みた事があったが、最後は全員で和やかな雰囲気になって、終わることが出来、心配した大輔と由香は、中でも一番喜んだ。
かと思ったが........。
「それにしても、付き合い前からヤッちゃうなんて、どんだけ二人して、盛ってたの?」
この言葉を発した香は、一瞬で全員が固まったのに気が付かず、有美の母でありながら、発言した後、周りに気が付いて、大いなる失言をした事と、KYした事を自覚し、思いっきり猛省した。
この後、有美が見た事も無い程に、顔から3度爆発音がしたように、赤面した。
□
有美と剛の“公開処刑”が無事に済み、和気あいあいの中、徒歩で家路に着く有美以外の細井家の面々。
「って、由香? 付いてくるの?」
「えへへ~、いいじゃん」
「ま、そうだな、俺たちもカップルなんだから」
「そうだよ~」
「まあ、あなた達も時期に結婚かしら?」
「まあ、行く行くは、そうしたいんだけどね」
少し恥ずかしそうに言う大輔。
「でも、この事を、早くお爺ちゃんとお婆ちゃん達に知らせないといけないかな? うかうかして、気がついたら子供が出来てたって、そう言う事にも成り兼ねんからな」
「そうね、あなた。家に帰ったら、早速知らせましょうか?」
「えぇ?まだ婚約さえしてないのに」
大輔が制止をかける。
「だが、有美の方は、結婚するって断言したからな、そっちだけでも報告しておくか」
「そうね」
コレに大輔は落ち着く.....が。
「いいな~お姉ちゃん」
由香が、羨ましそうな、甘えた目つきで大輔を見た。
「あら、由香ちゃん、あなたも大輔とそうなりたいの?」
「はい! もちろんです」
「あらぁ~、元気がいい返事だこと。 みたいよ、だ・い・す・け・クン」
「あ~ぁ、まったく、みんなして....」
「私は本気よ、大輔」
この由香の言葉に、父 明人が口を挟む。
「じゃ、ウチの嫁は決定だな」
「父さんまで~....」
「あら?イヤなの?」
「由香まで.......」
穏やかに過ぎ去る日曜日。だが、明日から現実に戻される月曜日。大輔は若干の不安を覚えるのだった。
△
家に帰り、昼食を食べた後、大輔の部屋で二人でまったりしていると、スマホにメッセージが入った。
「誰だろう?」
と、見て見ると、恵からのメッセージだった。
内容は.....。
『お二人さんへ。 どうせ今一緒でしょ! いいな~。』
『ところで、明日の為の準備が出来たので、安心して出社して来て大丈夫だから、報告まで。以上』
『追伸。ムフフなデートの続きをしてね、じゃ! あ!返信は良いからね』
だった。
(恵さん、感謝します。でも、ちょっと変な事、書かないで~)
隣で画面を見ていた由香が。
「いや~ん.....」
と、言っていた。
やれやれ。




