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閑話七

「おう、戻ったぞ」

「お帰りなさいませ魔王様」


 化物事件を解決した魔王が帰還すると、其処にはいつぞやの執事といった風体の男が魔王の帰りを待機していた。


「まずはだ。コイツを埋葬してやれ」

「おや、彼はチルドレンの一人ですね。と言う事は、化物とは……」

「おう、こいつがやらかしてしまった結果みたいだな。よもやこのような事があるとはなぁ……」

「原因は解っているので?」

「既にな。対策も楽な話だが……下手に広める訳にもいかん。ただ、状況が状況だ、また同じ事が起こらぬように、禁断の術として禁書にでも書いておくと共に、同じ事を起こしかねない他のチルドレン共にも警告が必要だな」

「仰せのままに」


 そう言うと、男はそれぞれの準備をする為にこの場を離れた。先ずはチルドレンの一人であった者の亡骸の埋葬準備な訳だが。


 そして、男が離れていくと魔王は今回起きた理由について考え始めた。

 何せ、魔王も予想して居なかった事だからだ。

 理由は単純で、チルドレンだった男が放置した魔石が原因だ。とは言え、大量の魔石を用意した所で同じ事が起きるわけでは無い。

 魔境といった魔力が豊富な環境。そして積み上げられた魔石。その二つがその場で倒されたモンスター達の怨念を散らす事無くその場に留めてしまった。

 そして、そうして留まった大量の怨念は、元々彼等の一部だった魔石と共鳴し……その状況を作り出した者に呪いとなって押し寄せた。

 呪いを受けた男は……その膨大な魔力と怨念に耐える事が出来ず、自らの魔力と体を乗っ取られてしまい、化物が誕生してしまったと言う訳だ。


 これが、魔境でなければこの様な事は無かっただろう。もしくは、男が魔石を一ヶ所に集めて放置しなければ、同様に化物が誕生する事はなかった。


「全く、魔族が呪いを受けてどうするというんだ……」


 魔王がポツリと呟く。それは、自ら作り出したチルドレンに対して、哀れんでいるからなのか、それとも失望したからなのか……。

 ただ、魔王はそう一言呟いた後、部屋の天上を見上げながら口を開くのをやめてしまった。




 どれぐらいか時が過ぎ、埋葬をして来た執事風の男が魔王の元へと戻って来た。

 その時には既に、魔王の雰囲気は何時もの尊大なものへと戻っており、彼が入って来た時も「遅かったではないか!」と、笑いながら向かい居れていた。


「申し訳ありません。埋葬をしに行った後、その足で禁書とペンを取りに行っておりまして」

「ほう! やはりお前は気が利くな。よし、では直に禁書へ記入するか……あぁ、後約束事が有ったな。魔法紙も持って来てくれないか? 少々手紙を書かねばならぬ」

「手紙ですか……宛先は?」

「ん? あぁ、宛先は勇者だ」

「解りました。勇者でございますね……って……ゆう……しゃ? ええええええええええええええええええ!?」

「おい、驚きすぎだ」


 驚くのも無理は無い。魔王が勇者に手紙を書くなど、天地がひっくり返ったかの様な話だ。

 しかし、魔王は手紙を出すと言う。執事風の男からすれば何が何だか解らないのも当然だろう。




 そこから、数時間掛けて魔王は勇者に手紙を書く理由を執事風の男に説明していく。

 今回共闘した事や化物が誕生した理由を説明する事を約束した事。更にはチルドレンの二人が勇者と共に居た事なども。


「なんと言うか、驚きしかないのですが……ただ、二人も勇者と接触出来た様ですね」

「おう。中々面白い事になっていたぞ」

「では……計画は順調と言う事ですね」

「そうだな。ただ、もう暫くの時必要そうでは有ったがな」

「魔王様……慌てないように、今は我慢の時です。得てして、計画の成功が見え始めた時が一番危険な時ですので」

「おう……しかし、なんともじれったいモノだな」

「過去、それで我慢できずに失敗した者は多く居ますので」


 我慢が必要だと何度も念を推す男と、うずうずしてたまらないといった感じの魔王。

 しかし魔王も解っている。今動けば全てが水の泡になると。だからこそ、今は息を潜めて待つ。

 本来であれば、今回の化物の件が無ければまだ接触する事などありえない話だった。しかし、化物を放置出来ない以上接触するしかなかった。


 それ故、既に一つミスをして居る様なモノだ。

 そして、これ以上のミスを隙を作る事は出来ない。だからこそ、魔王はじれったさを感じ苛々ししまうのだが……彼は我慢するしかない。それが、計画の達成に必要だからだ。

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