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二十八話

 三人が〝憤怒の山〟の近くで集合した。

 と言うのも、女魔族は徹底的に文献を調べ上げたのだが、何一つヒントになるようなモノが無かった。

 そして、勇者も勇者で巨大な敵の倒し方を調べたり試したりとしたが、実物を見ない限りどうしようも無いと判断。

 そして、男魔族は側にある村等を駆け巡り、少しでも話題を集めようとしたが……誰一人として口を開く物はいなかった。というよりも、話をする事が出来る状況に無かった。


「兄貴すんません……駄目でしたわ。どうも、ソレを見た人は全員精神がやられちまったようで」

「こっちも何も無かったわ……どの時代にもそういったモンスターが居たなんて情報は残ってなかったわ」

「……こまったな。大型モンスターの対処で色々と考えてみたが、どれも首を一撃で斬りおとすのが基本だったからな。山となると思いつかん」


 それぞれが至った結論を話し合い……全員が頭を抱えている。

 ただ、そんな状況を少しでも打破しようと、全員が現場検証にと集まったわけだが……。


「見たところでなぁ……山のようなモンスター処か山すら存在しないか」

「綺麗に抉れてますよね……地形」

「まぁ、こんな事が起きた状況を目にしたら……精神も崩壊するっすよね」


 綺麗になくなってしまった魔境と言われていた山。しかし現在は綺麗に整地された平地が広がっているだけだ。

 唯一残っている物があるとすれば、まるで何かが抉ったかの様な壁が左右にあるぐらいだろう。


「しかし、これは生き物が通ったと言うよりも、ブレスか魔法か何かで削ったと言った方が良い断面だな」

「そうね。たしかにこれで何かが通ったって言う割には綺麗すぎるわね」

「鱗も毛も皮膚なんてのも着いてませんぜ? 後、移動により擦れた後もありません」


 付着物が無さ過ぎる。モンスターが作ったであろう壁を見ながら勇者達はそう判断した。

 更に男魔族は、水や風により削ったのであれば、その移動で跡が残るはずだと告げる。


「とは言え……溶けた跡もなよな? どうやって出来たんだ?」


 もし、火などを使ったのであれば、これだけの規模だ……当然、高温によりガラス化などがおきてても可笑しくない。

 しかし、その後すらない。……まるで、その空間だけが綺麗に無くなったかの様に。


「空間系の魔法? でも、こんな大規模で?」

「どれだけ魔力を使ったんだって話になるな」

「兄貴……スライムでしたらどうですかね?」


 スライム……であれば、確かに取り込んでから溶かす。ならば可能性はあるがと考える勇者だが。


「流石になぁ。山のようなスライムが居たら……もう世界が終ってるだろ」


 その様な巨大なスライムが居たとすれば、その増殖力も異常なレベルのはずだ。それこそ、数時間でこの世界をスライムが埋め尽くしてしまうだろう。そう考えた勇者は、スライムは無いだろうなと結論づけた。


「しかも、山のような大きさの竜だろう? スライムでは無いじゃないか」

「あ……そういえば竜でしたね」


 スライムならば出来る可能性が有ったとしても、流石に竜とスライムを見間違えるはずが無いだろう。


「しかしあれだな。此処に来たら解る事があるかと思ったが、モンスターは居らず謎だけが深まってしまったな」

「そうね……まぁ、相手が何か空間ごと消すのか切裂く術を持っている可能性がある。それが解っただけでも良かったんじゃない?」

「それはそうだな」


 謎は深まったが、モンスターの特性が解っただけでも良かったと考え、三人は移動したならば何処に? と謎のモンスターを追いかける為に周囲を見渡す。

 だが、この抉れた空間は途中で途切れており、ソノ先に何かが進んだ気配も無く。完全に足取りが途絶えてしまっていた。


「空でも飛んだか? だが、それなら人の目についてるよな」

「山のような大きさだから、陸地を移動しても人の目につくとおもうけど」


 探索不可能。この言葉が全員の頭に過ぎる。しかし、このまま放置する訳にも行かず、勇者達は少しでもヒントが無いか、左へ右へと途方にくれるのであった。

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