14章 平和な学園生活を返してください
意識が回復した、と同時に自分が生きていることに安堵する。全く理由は分からないがあの状況から生還出来たようだ。
しかし…不思議なことに全身に痛みが全くない。というか、動かない。起こそうとするもピクリとも動かない体に疑問符が浮かぶ
「俺死んだ?」
「安心したまえ。まだ死んでないぞ。」
師匠の声が聞こえたので声がする方向へ顔を向けようとするがやはり全く動かない。
「ここは学園の保健室か?見覚えがあるな。」
「そうだ。まずは生きてて良かった、とでも言っておこうか。」
俺に近付いてきた師匠が俺の視界に入る。寝たままの俺を見下ろすような形だ
「さて、聞きたいことは山ほどあるが…とりあえず身体に異常はないか?」
「全く動かないってこと以外は何もないな。割かれたはずの腹が痛くないのも気にはなるが。」
「全身の傷は完全に私が治療しておいた。体が動かないことについては自分で見て確かめた方が早いだろう。ほれ。」
師匠が鏡を取り出し、首から下を見れるように鏡を操る。
そこに映っていたのは黒ずんだ自分の身体、腕や脚にいたっては炭のようにドス黒くなっている。明らかに異常である状態に慌てて触って確かめようとするがやはり動かすことができない
「どうなってんだこりゃあ…」
「それについては『人間作家』と呼ばれるスキルの代償だ。だが、これ以上は王国の機密事項のため教えることは出来ない。しかし、確実に言えることはそれのおかげで君は生き残り、そして今、それのおかげで死にかけている。」
「師匠の魔法じゃ治せないのか?」
「それに回復魔法は効かない。だが治す方法はある。死ぬ前に治せるから安心するといい。」
死にかけてる状況で安心出来るわけないだろ。と、言い返したくなるがどうしようもないだろう。
それから俺は今回の事件の経緯を伝えた。第二層に侵入することになった理由、コボルト・キングの出現、そして俺一人による時間稼ぎ──と。師匠によると俺がコボルト・キングと相打ちにまで持ち込んだようだが全く記憶がない。恐らく『人間作家』とやらのせいだろう
「さてジーン。良いニュースと悪いニュースがあるがどっちから聞きたい?」
「じゃあ良いニュースからで。」
「よかろう。良いニュースというのは今回の戦闘、及び『人間作家』によるダメージで存在進化していたことだ。」
また存在進化をしていたか。前にローラに半殺しにされた時にしていたかと思ったが存在進化していなかったので普通に嬉しい
「そして悪いニュースは……今回の処分についてだ。ジーンの班、そしてもう一つのキース班には許可なく第二層に侵入したことについての処分が下される。」
「…まぁそうだろうな。」
コボルト・キングが出現した時から覚悟していたことだ。恐らく俺も謹慎処分か何かをくらうだろう
「まずキース班だが…第二層への侵入、そしてコボルト・キング出現の元凶というわけで謹慎処分となった。」
「謹慎で済むのか?」
「あぁ。コボルト・キングの発生は他の冒険者にも危険なものであるが今回はジーンの活躍もあって被害が0だったからな。それに本人達も反省している。」
反省ね。あそこまで嬲っていたコボルトが存在進化して返り討ちにあえばトラウマにもなるか。自業自得だ
「次にジーンの班、ローラ嬢とレイナ嬢については厳重注意となっている。キース班に比べ問題が少ないからな。」
「何でローラとレイナだけなんだ?俺の処分は?」
「あぁ、ジーンの処分は少し違うぞ。」
ローラ達と違うだと?俺は今回巻き込まれた立場だし囮もした。と、なると一番処分が軽くてもおかしくないな。よし、注意でも何でも来い。どうせ大したことないだろ?
「ジーンは停学処分だ。」
「え?」
「停学処分だ。」
───────────────────────
拝啓リノへ。俺がベア村を旅立ってからそろそろ一ヶ月が経つが元気にしてるか?俺は今、死にかけてるうえに入学二週間で停学処分をくらったところだ。
───平和って、この上なく価値のあるものなんだな
これで第三部はお終いです。次は新章、もしくは番外編になります。かれこれ三十話を超えましたが一向に語彙を文章も成長せず(汗)
これからも下克上戦士をお願いします
※これから少し忙しくなるのと改稿作業で投稿が遅れるかもしれません<(_ _)>




