1、〈鍵〉~ようこそ、夢の世界!?
その男子生徒は何かから逃げるように走っていた。
「うわぁぁぁぁ、なんでぇぇぇぇぇ!」
それは異形のもの………とかではなく、校内の女子たちであった。男子生徒は教室に隠れるように逃げ込むとようやく落ち着いたかのようにため息をついた。
「はぁ。今日もか…」
そう、この男御巫月夢はこの校内一モテる男である。
「よっ、月夢。またか。」
「うわぁぁぁぁぁ!…って、何だ朔八か」
今、話しかけてきた日向朔八は校内一モテない男だ。僕は朔八がモテてもおかしくないと思うけど。そんな朔八と話しながら僕たちは校門に向かう。
「そういや、今まで聞いてこなかったけどなんでお前モテるのに彼女いないんだよ。うらやましい。」
「ま、まぁ、落ち着けって。僕だって好きな人ぐらいいるよ。」
「そうなのか?なんで告白しないんだ?お前ならすぐ落とせるだろ?」
「落とすって…そりゃこの世界にいないから…(ボソッ」
「?何か言ったか?」
「い、いやいや、何でもない。」
「本当かよ…」
そんな会話をしながら家が別方向なので校門の前で別れた。
「ま、いいや。じゃなー」
「あ、うん。また月曜。」
朔八と別れると僕は走って帰った。また女子たちに見つかると厄介だからね…
「はぁ…ただいま。」
夕食をすませ部屋に戻ると机の上にものすごくいびつな形の物がおいてあった。
「ん?なんだこれ?鍵…?さっき帰って来たときにはなかったはずだけど。」
親にも聞いてみたがどうやら親のものでも親がおいたとかでもないそうだ。
「ま、明日は休みだし、明日ゆっくり考えるか。」
考えててもしかたないので今日はとりあえず寝ることにした。
「___スターさん。」
「ん…。」
あれ?何か声がする?気のせいかな?
「マスターさん。起きてください?」
「だ…れ?」
目が覚めると寝転がってる状態の僕の上に見覚えのあるこの世のものとは思えない美少女がのっていた。
「え?うそ…でしょ?もしかしてカノちゃん?」
「はい。確かに私がマクルード・カノ・セシルですよ。マスターさんに覚えてていただけるなんてうれしいですねぇ~」
そういって暴力的なまでに美しい女神のような笑顔で話してくれたのが僕の唯一の好きな人マクルード・カノ・セシルちゃん。銀髪オッドアイの美少女で世話焼きな主人公の幼馴染で…という完璧な設定の女の子。マイエンジェル。僕はカノちゃんと呼んでいる。
「まてまてまて、ちょっと待って!?ナンデ?なんでマイエンジェ…カノちゃんがここに?ってかここどこ?明らかに僕の部屋じゃないよ!?」
そう。あろうことにカノちゃんは二次元の女の子。銀髪オッドアイの美少女で世話焼きな主人公の幼馴染で…という完璧な設定で言うところの「嫁」である。そして、ここは僕の部屋ではなく旅館…のような部屋だった。とりあえず机のほうに移動した。こんな体勢じゃ話どころじゃないからね…
「ここは広大なユグドラシル帝国の3つの都市の内のひとつ、ウルドです。ここへはあの〈鍵〉で呼びました。」
「なるほど。あの鍵はそういう力があった鍵だったんだ。」
まあ、実際はよくわからないのだが、まあなんとなくそういうものなのだろう。
「ここが日本じゃないのはよくわかったよ。それでなぜ僕はここに?」
「マスターさん。よく聞いてください。」
「う、うん。」
「マスターさんをここに呼んだ理由はひとつです。」
「は、はぁ。」
「マスターさん。世界を救ってください。」
「は、はい?」
僕はあっけらかんとした顔でしばらく固まっていた。
読んでいただきありがとうございます。はこにわと申します。初投稿ですがどうだったでしょうか。まだまだ未熟ですが、これからも努力していきますのでよろしくお願いします。




