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それなり僕のダンジョンマイライフ  作者: 巌本ムン
Season4

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321/329

フォレストウェーブ・ファースト⑤・ブルーグリーンクリスタル。


宇宙へと魂が旅立ってしまった『トルクエタム』。

これに対してビッドさんとホッスさんが呆れたように僕を見る。


「ウォフ。やりすぎだべ」

「ちょっとこれはないっスね」

「ごめんなさい」


畳み掛け過ぎてしまった。

実はもうふたつほどあるんだけど、これは彼女達が戻ってきたときでいいか。

『トルクエタム』が宇宙の彼方から戻って来れたのは数分後だった。


「……おぬしのう」

「あれはないですわ。あれはないですわ!」

「ん……やっていいこと……悪いことがある……」

「すみませんでした」


怒る彼女たちに土下座して謝る。

本当にもうしわけない。


パキラさんは嘆息して、テーブルの上に置いた青く緑色に光る水晶の塊を見る。

手に取って近くで観察して置く。

ルピナスさんもリヴさんも似たようなことをする。


「ブルーグリーンクリスタルじゃな」

「ブルーグリーンクリスタルですわ」

「ブルーグリーンクリスタル……だ」


ブルーグリーンクリスタルである。


「これはいったいどこで手に入れたのじゃ」

「フルムーンバザーですの? いいえ。でも並大抵の金額ではてに入りませんわ」

「ん……まさかの掘り出し物……」

「それは魚からっスね」


ビッドさんは苦笑いだった。


「なんじゃと」

「?」

「えっと、第Ⅰ級探索者のギムネマさんから謝礼としてもらいました」

「ガチの……魚だった……」

「あの魚頭のですの」

「何故にあやつがこれを持っておったのじゃ?」

「さすがにそこまでは知らないです」

「ふむ。魚でも第Ⅰ級というわけかのう」

「意外過ぎる入手方法ですわ……ええ、本当に」

「それと、こちらルピナスさんへ」


僕は黒い板のようなモノを出してルピナスさんへ差し出す。


「なんですの?」

「ハイヤーンから預かったレリックプレートです」

「レリックプレート……じゃと?」

「はい。使用すればレリック【バトルクライ】が手に入ります」


ルピナスさんはレリックプレートを手にする。


「それがレリックプレートっスか」

「見るのはあんとき以来だべ」


そうか。ホッスさんは見ているんだな。


「……【バトルクライ】ですの」

「どういうレリックなんじゃ?」

「それは皆さんが集めた叫びのサンプルからつくられています」


そう聞いてルピナスさんはハッとする。


「思い出しましたわ。確か挑発して敵の敵意を集めるレリックでしたわね。タンクの必須レリック」

「そういえばあったのう。サンプル集め」

「声を集めるやつっスね」

「ん……ルピナスの叫び……」

「それは忘れてくださいですわ!」


【バトルクライ】―――色々な魔物の叫びサンプルからラボで作られたレリックだ。

あれはハイゼン出発前日。

ハイヤーンからルピナスさんに渡すよう頼まれた。


思い出す。『ルピナス嬢のあられもない叫びがこれで聴ける』とのたまうウサギ。

とりあえず吊るしておいた。


「ありがたく頂戴しますわ。では早速、『使用する』」


いきなりレリックプレートが消える。


「あっ、魂の器は」

「大丈夫ですわ。わたくし。自分の魂の器の容量は把握しておりますの。これが【バトルクライ】……なるほどですわ」

「どうじゃ。使えそうか?」

「試してみる価値はありますわね」

「……さて問題はこれじゃな。買い取れるかどうか」


ブルーグリーンクリスタルを見つめる3人。


「……相場はどれくらいかまず調べるところからですわ」


なんか買い取る方向になっている。

個人的には色々とお世話になっているし、親しき仲なのでタダで渡してもいい。


だけどたぶんそれやったら皆から怒られる感じがする。

親しき仲にも礼儀ありだ。

かといってお金というのはなあ。あっ、そうだ。


「それなんですけど、他の水晶あります?」

「他というと、レッド。ブルー。グリーン。ブルーレッドやレッドグリーンかのう」

「ありますか。実はレッドとブルーレッドとレッドグリーンが必要なんです」


物々交換。この三つの水晶はどうしても欲しい。

3人は顔を見合わせてポーチを覗いて話し合う。


「わらわはレッドが3つでブルーレッドは2つでレッドグリーンは1つじゃな」

「わたくしは、レッドが2つでブルーレッドは1つでレッドグリーンは4つですわ」

「ん……フッ……リヴは……ゼロや」


なんでドヤ顔。


「リヴ。少しは残しておけというたじゃろうか」

「宵越しの銭は持たないと死にますわよ」

「なんでゼロなんじゃ。結構持っておったろう」

「ん……使えば……無くなる……真理なり」

「じゃから計画性を持てとあれほど言ったじゃろう」

「小遣い制度を復活させますわ」

「……がーん……」


リヴさんは項垂れる。


「金使い荒いのは相変わらずっスね」

「なんともいえないべ」

「それでそのある分だけで物々交換してくれますか」

「こんな数と交換じゃと?」

「割りに合っていませんわ」

「ん……等価交換に……なっていない……」

「ちょっとそれは無いっスね」


フルボッコだ。


「んだば、だども価値は人それぞれだ」

「ホッスさん」


助けだ。ありがてえ。


「ウォフがそれだけでもいいと言うなら、それでいいんとオラは思うべ。それでも納得いかなかったら、前金としてそれだけ受け取ればいいだべ」

「……ふむ」

「一理あるっスね」


空気が変わった。ありがとうホッスさん。

ルピナスさんが尋ねる。


「ちなみに何に使いますの?」

「それは、制約レリックの使用条件なんです」

「制約———じゃと、持っておるのか」

「はい。あります」


制約レリック【ディメーションクラック】。

効果:時空間を振動させて刻むことが出来る。

使用条件:

【ビブラシオン】

『レッドクリスタル』

『ブルーレッドクリスタル』

『レッドグリーンクリスタル』

使用回数:6回。

クリスタル類は使用1回でひとつずつ消費する。

使い果たせば【ディメーションクラック】は消える。


この使用制限があるから迂闊に使えないんだよな。

しかも使用1回でクリスタルそれぞれひとつずつ。

つまり1回でクリスタル3つは消費されることになる。


燃費悪いな。それだけの威力ってことか。

今回のダンジョンの異変への切り札になるのは間違いない。


でも蜘蛛か。蜘蛛は群れだからなあ。

一度だけ蜘蛛で酷い目にあったことがある。


「クリスタル消費で使えるなんて、驚きましたわね」

「ちなみにクリスタルは大森林で採掘するんですか」

「いいや、魔物じゃ。クリスタルをドロップする魔物がいくつかおる。レッド。ブルー。グリーンならば、土妖の戦士を狩ればよい」

「ブルーレッドやレッドグリーンはクリスタルビーストですわ。クリスタルで出来た獣で、狼。鹿。猪。牛。熊等ですわ。ただし何が出るかはランダムですの」


ガチャか。

なんでクリスタル系はガチャなんだ。


「例外なのはブルーグリーンクリスタルじゃ。これはハイクリスタルガチャロックタートルからしか採取できぬ。しかも確率はとんでもなく低い」

「ん……抽出率……絞りすぎ……」

「狩ってかなり経つのにまだ一度も出ていないんですの」

「それにとても硬くてのう。わらわの制約レリックが無ければ仕留められぬ」


それってあのMAP兵器。


「そんなに硬いっスか!」


というかあのMAP兵器を森の中で使って大丈夫なのか。


「ハイクリスタルガチャロックタートル……懐かしいべ」


ホッスさんがしみじみと頷く。

ガチャの経験あるんだろうな。


「というわけで交換して欲しいんですが」

「じゃがのう。これっぽっちで交換というのはさすがにのう」

「そうですわね」

「実はですね。18個、欲しいです。3つのクリスタルで6個ずつ」


ちょうど使い切る個数。

ルピナスさんが落胆する。


「圧倒的に足りませんわ」

「ならばフォレストウェーブで稼ぐとするかのう」

「ん……クリスタルビースト……狩り……じゃあ」

「だども、ファーストだとクリスタルビーストは出ねえべ」

「そうなんですか」

「ファーストはゴブリンやオークなどだ」

「じゃあセカンドっスか」

「そうなるだ」


どっちにしろそうなるのか。

『トルクエタム』は狩る気満々だ。


「あっ、最後にひとつ言い忘れてました」

「なんじゃ。まだあるのか」

「なんですの」

「ん……覚悟……完了」

「実はハイヤーンの元ボディが見つかりました」


言い忘れるところだった。

すると3人は僕を見たまま止まる。


「……ふむ?」

「元ボディですの」

「ん……マイ……ボディ……?」


反応がとても薄い。

なんかこう思いっきりスベったみたいになる。

おのれウサギ。




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