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それなり僕のダンジョンマイライフ  作者: 巌本ムン
Season1

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24/284

モーリュ草⑦


洞窟を出た後、リヴさんと揉めた。


「……少年。リヴは……いらない……」

「いいえ。もらってください。これは正当な対価です」


僕はリヴさんに約束通りボディガード代500オーロを払おうとした。

でもリヴさんは拒否した。


いくら渡そうとも受け取ってくれない。

苛々する僕。

そして拒否しても金を渡そうとする僕に苛々するリヴさん。


「……どうして……そこまで渡そうと……する……の」

「どうしてそこまで受け取らないんですか。約束したんですよ」

「……だって少年……貧乏……」

「えっ、いやまあ金持ちではないですけど」


貧乏と言われたらそうだけど。


「……だからお金貰うのは……躊躇う……」


拒否して意地張っていたのは優しさだったのか。

その善意は素直に嬉しいんだけど。


「リヴさん。確かに僕はお金を持っているとはいえません。だけど探索者の働きに見合うだけの対価を支払えないほどではありません。貧乏だから払えないだろうと決め付けないで欲しいです」


僕にもプライドはある。


「……ごめん……なさい……」


リヴさんは頭を下げた。


「いえ、その気持ちは、リヴさんが僕の為を思ってくれたのは……嬉しいです。そこで思ったんですが、こうしませんか?」

「……なに……」

「今回のボディーガード代を貸しにしてくれませんか」

「……どういう意味…………」

「もしこの先でリヴさんが僕の助けや力が必要なとき、無条件で従います」

「……それが……貸し……」

「はい。どうでしょうか」

「…………わかった。それに……する」

「荷物持ちでも雑用でもなんでもしますよ」

「……そのときになったら……ね」


リヴさんはくすっと笑う。

そうして僕達は途中で別れた。






魔女の家に入る。


「戻りました」

「おやおや、おかえりだねえ。早かったねえ」

「約束の……モーリュ草です」

「うはうはっ!? ひゃっはああっっだねえぇ!!?」


渡すと魔女は大喜びする。

その喜び方はちょっとあれだが、よかったと僕は息をついた。

ちょっと疲れている。


「そういえば、洞窟の奥にホブゴブリンがいました」

「うひゃっうひゃっ、え? ホブゴブリン? 知らないねえ」

「探索者の死体もありました」

「ほうほう。ほう。知らないねえ。もうずいぶんとコンは行ってないからねえ」

「そうだったんですか」

「うむうむ。依頼で急遽、モーリュ草が必要になったからねえ」

「依頼ですか?」

「うんうん。製薬の依頼だねえ」

「へえー……」

「さてさて、まずまずモーリュ草5束だねえ」


そう暢気に言いながら魔女は服のポケットを探る。

首を傾げる。服を探る。首を傾げる。


「どうしたんですか。おわあっ!?」


いきなり服を脱ぎ始める。なっななっっ!!!!


「んーんー、どうしたのかねえ」

「それはこっちのセリフですよっ! なんで服を!?」

「むーむー、財布がどっかいっちゃってねえ。脱げば出てくると思うんだよねえ」


何の躊躇いもなく下着姿になる。

黑くて透けてて、なんでこんなの履いているんだ!?


「さ、財布ならそのテーブルの上に!」

「おーおー、あったあったねえ」

「は、はやく服を着てくださいっ!」

「はっはっ、はっはっ、ウォフ少年にはコンは刺激が強い肉体かねえ」

「まったく!」


それもあ…………僕は魔女の下着姿をジッとみる。


「おやおや、なにかねえ。そんな熱い眼差しをコンに向けるなんてねえ」


ニヤニヤする魔女。

僕は平然と言った。


「下着が上下バラバラです」

「えっ? えっ?」


きょとんとして耳と尻尾を振る。


「ちゃんと下着は揃えた方がいいですよ。みっともないです」


冷めた目で無感情に言い放つ。

途端に魔女は顔を真っ赤にした。


「あっ、あっ、は、はい。ごめんなさい……」


謝りながら恥ずかしそうに服を着る。

なんか揃ってないとだらしないって感じる。


それとこのひとにも羞恥心はあるんだな。

よかった。


魔女はまだ頬を赤くして気まずそうに財布を手にした。

僕は言う。


「ひとつ200の約束です。ですから1000オーロです」

「うーんうーん。ひとつ400にしようかねえ」

「2倍!?」

「うむうむ。状態がとてもいいからねえ」


魔女は雑銀貨2枚と銀貨1枚を出す。


「銅貨と雑銅貨は無いんですか」


銅貨が無いと買い物がし辛い。


「えーとえーと、ないねえ」

「普段、買い物とかどうしているんですか?」


受け取りながら疑問を言葉にする。


「それはそれはねえ。1週間に1度、色々頼んだモノを知り合いが持って来てくれるんだよねえ」

「へえー、親切ですね」


魔女は大本命のレジェンダリーの水筒を手にした。

丸い革製で真ん中に大きな三日月が描かれている。

いやよくみると三日月は浮き彫りで……金属製だ。


「さてさて、ウォフ少年。今からこの水筒について色々説明しようかねえ」


色々?

僕は首をかしげた。



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