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終章 【魔王】

 市は、脱出後再び信長の下へ帰っている。そこに居たのは、かつての面倒見の良い、人好きのする信長ではなかった。

 信長は、市に問う。

「何故長政は謀反を起こしたのじゃ……」

 信長には、それが解らない。長政に対しては、殊の外気を使って礼を尽くしていたのである。

「長政殿は南近江を六角家からの降将に任せてしまったことを、酷く怨んでおりました」

「説明はしたのであろうな。わしはそれを期待してお前を嫁にやったのだぞ」

 信長が常に側に置いておきたかった市を敢えて嫁に出したのは、信長の考えを長政に【正確に】伝えてもらうためなのだ。

「勿論でございます。わたしはしかと【家臣でない者に所領は分配できぬ故です】とお伝え致しました」

 期待した通りの説明だ。だが、何かが抜けているような気がする。

「南近江、わしが天下を治めた時に長政に任そうとしておることは、話してくれたか?」

「? 話さずとも悟って下さると思うておりました故……」

 市がどもり気味に怖ず怖ずと答える。この信長の雰囲気、間違いなく同じなのだ。



 稲葉山城落城時の長政の雰囲気と。



「うつけめが……」

 一言の下に市の頬を張る。

「越前攻めも根に持っていたであろう。あれについては何と申した」

 長政は始めから一貫して自分達主体で朝倉を攻めたかった筈だ。だが、相手の出鼻を完全にくじくためには、電撃的な奇襲先生しかない。だからトドメだけ任せて自分主体で攻めて行ったのである。

「もっ、もっ、申し訳訳……、ございま……、せぬせぬぬぬ……」

 震えてまともに喋ることも出来ない。この信長は、明らかに魔王だ。

「それでは解らぬ。何が済まぬのか申して見よ」

「説明しようとはしたのですが……、そぶっ!」

 言い訳が終わらないうちに、信長の拳が市の頬を捉える。殴り飛ばされる市に信長は吐き捨てた。

「要するに、言いそびれたのだな、うつけめが」

 そして、信長は続けた。

「この涙はこの第六天魔王最後の涙じゃ。余程長政を買っていたのじゃな、この男は。じゃが、その想いを流し出すことによって、その精神は完全にわしの物となる」



《まさかまさか》



 どうしても信じたくなかった。象徴的な物でしかなかった筈の【第六天魔王】が、長政の強い信心によって、実在化していたとは。そしてそれが、信頼する義弟を、討たなくてはならなくなってしまった信長の沈んだ心に入り込んでしまったとは。









 乱世の魔王【第六天魔王】それは、決して信長が己の意志で化けたのではない。



 信頼していた義兄に裏切られたと勘違いしてしまった義弟により作り出された、狂った時代の副産物なのである。




〈終〉

 手に取ってくださいまして、誠にありがとうございました。


 四章辺りからあからさまな創作を交え始めてしまいましたが、歴史的な流れはおそらくこんな感じかなと自分なりに自信を持って書いたつもりです。


 最後に朝倉家支持者の方、朝倉家ゆかりの方、戦中心に書いたためあの様な扱いになってしまいましたが、これに関しては誠に申し訳ありません。

 朝倉義景は政治家としてかなり優秀な方であることは解っているだけに、自分でもこの扱いは酷すぎるとは思っていたのですが、構成上こうせざるを得ませんでした。ご理解頂けると幸です。


 ではでは、このような長い作品を最後までお読み下さいまして、誠にありがとうございました

m(_ _)m

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