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16学校生活( リア・カーペンター編)

「はーい、ここですかー」

「イタタタタ!痛い!痛いよ!」

「ゴメンナサイ、日本語分かりません」

「It is painful!Stop,please!」

「英語も分かりません」

 整体部部室。空き教室ではなく専用の部室があり、ベッドやら着替え用の仮設更衣室やら。明らかに一介の部活動に与えられるにしては過ぎた設備のその場所で、リアは千里の整体を受けていた。

 ただ整体を受けているにしては、リアの声は苦痛に満ちているが。実際痛い。

「歪む!歪むから!」

「ははは。面白い冗談ですね。整体は歪みを治すものですよ?歪むわけないじゃないですか」

「やめい」

 スパンッっと子気味良い音が、千里の頭から響く。叩かれたのだと認識すると、僅かに走る痛み。

 若干ヒリヒリとした痛みを自覚して、千里が恨めしげな視線を向けると、出席簿を手にした暁深の姿がいた。僅かに浮かぶ呆れの色。

「整体部なんだから。整体で人に攻撃すんな」

「あーい」

 素直に千里はリアの体から手を離す。ようやく解放され、グタッっとしたリアはさめざめと泣く。

「歪んだ。絶対に歪んだ……」

「性根が歪んでいるんですから、歪んで歪んで丁度良くなってるんじゃないですか?」

「せんさとちゃん、私のこと嫌いだよね?」

「せんせー。私に最後までリア先生のことを整体させてください」

「落ち着け、せんさと」「だからせんさとじゃないですから!」

 うがー!と両手を突き上げ、怒りを表す千里に、改めて落ち着けと暁深が言い聞かせ、リアの上から下ろす。

「気持ちは分かるが、整体部として、それは良くない。嫌がらせなら別の手段にしなさい。猫の死体を送りつけるとか」

「お願い、やめて!?」

「流石に私も猫の死体はちょっと……」

「モノの例えだ。とりあえず整体で攻撃すんな。後は俺が引き継ぐから帰っていいぞ。もう下校時刻だし」

「あーい」

 暁深の言葉に適当な返事を返して、千里は鞄を掴んで部室から出て行く。去り際に別れの言葉を残す千里に暁深も別れを返し、その気配が扉の前から失せたところで溜息を漏らすと、リアがうつ伏せになっているベッドへ腰を下ろし、リアの腰の一点を狙って、親指を突き立てた。

「ギィッィィィィィ……」

「ひでぇ声」

 暁深の狙い通りの場所に当たったらしく、酷い声を上げるリア。そんな彼女を一蹴した暁深は、改めてリアを跨いで膝立ちになると、リアの体へ手を添え、徐に整体を始めた。

 デスクワーク多めで歪んだ体は兎も角、先程の千里の行為が原因で歪んだ様子はなかった。痕跡を残さずダメージを与える。その執念に薄ら寒さを覚える。よっぽどこの前のテストが悔しかったらしい。

「あの問題、間違えてたわけじゃないんだから、○にしてやれよ」

「……最終的な点数告知の時はそうしようと思ってたよ?本当だよ?」

「ならいいけどな」

 その点数告知は先日終わり、それでもなおアレだったのだから、恐らく×のままだったであろうことは、想像するにやすかった。

「ま、自業自得だな。悪の組織らしいじゃないか」

「でも痛すぎるよ」

 はぁ、とリアは深い溜息を漏らした。

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