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 数日後の夜、反社会的勢力と思しき四人の男が、江真(えま)を取り囲んだ。彼らもまた、この仕事に失敗すれば、廃人と化すまで追い詰められるだろう。しかし江真は、この四人に命を狙われている。かくなる上は、別のアプローチから行動を起こすしかない。

「Rの正体に関する手掛かりを手に入れたい。私がRを倒さなければ、君たちも解放されないだろう」

 一先ず、江真は交渉を試みた。直後、男たちは一斉に銃を取り出し、その先端を彼女の方へと向けた。ネオの体が、どの程度の攻撃にまで耐えられるのか――江真はそれを知らない。いくら常人を超えた力を持ったとしても、銃弾が通用しない確証は持てないのだ。つまるところ、今この場を切り抜けるには、戦うしかないのだ。直後、四人の男は一斉に発砲した。江真は優れた動体視力で銃弾の動きを読み、間一髪のところで被弾を免れた。続いて彼女は、眼前の標的の鳩尾に拳を叩き込む。それから一回転した彼女は、回し蹴りで相手の足下を崩す。残る三人はその隙を突き、再び発砲した。江真は二発の弾丸をかわしたが、残る一発は彼女のわき腹を穿ってしまう。腹から血を流しつつ、彼女は呟く。

「ネオにとっても、銃弾は脅威なのか……」

 ほんの一瞬でも油断すれば、死は免れない。次々と撃ちこまれる弾丸をかわしつつ、江真は炎を操っていく。男たちはその身を容赦なく焼かれていくが、痛みに抗うように立ち向かい続ける。それほどまでに、Rは彼らにとって恐るべき存在なのだろう。

「あんたを……あんたを倒せば、おれたちの仕事も楽になるんだ!」

「テメェさえいなければ、俺は……俺は!」

最上江真(もがみえま)! 俺たちは絶対に、お前を許さねぇ!」

「お前を倒せば、借金がチャラになるんだよ!」

 四人はそれぞれ、異なる境遇のもとで銃を握っている。それでも彼らを突き動かすのは、たった一人の人物だ。そんな彼らを旋風脚で退け、江真は啖呵を切る。

「私は君たちに憎まれても仕方がない。私にも、君たちの生活を脅かしている自覚はある。だが、君たちはRを同様には憎まない。怖いんだろう? Rが!」

 その指摘が図星だったのか、四人は動揺を隠しきれない。

「そ、それがどうした!」

「いずれ、こんな状況も脱け出してみせる! だけど今の敵は、あんただ!」

「テメェだけは許さねぇ!」

「お前に怯えて生きていくのは、もううんざりなんだよ!」

 口々にそう言った彼らは、銃弾を放ち続ける。江真はかろうじて急所への被弾を回避しているが、その身は徐々に疲弊してきている。こうなれば、彼女も手加減している場合ではないだろう。

「少しだけ、痛い目を見てもらおうか……」

 そう呟いた彼女は、その場に爆発を起こした。爆炎に呑まれた四人は、吹き飛ばされるようにアスファルトを転がる。江真はそのうちの一人の方へと歩み寄り、そして彼の携帯電話を手に取った。そして相手の顔で認証画面を突破し、彼女はトークアプリの履歴を漁る。しかしこの端末にも、手掛かりになりそうな情報は残されていなかった。四人の刺客たちには、もう戦意がない。圧倒的な力量差を見せつけられた彼らは皆、怖気づいている。そんな彼らを睨みつけ、江真は提案する。

「……私と組まないか? Rに鉄槌を下すこと……それが君たちの本当の望みだろう」

 確かに、彼らは皆、Rに利用されている身だ。四人は息を呑み、少しだけ考え込む。そこに一人の女が現れたのは、まさにそんな時だった。


「やはりアタシが出向かねぇと、どうにもならねぇな」


 江真はその声のした方へと振り向いた。そこにいたのは、頭髪を赤く染めた女――御剣玲玖(みつるぎれく)だ。

「君は……一体……?」

「御剣玲玖――アンタがRと呼んでいる人物だよ」

「君が……R……!」

 男たちの倒れている路上に、妙な緊張感が走った。

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