光属性と、「光の君」
光の君についてはもっと後に出す予定でしたけど、今がちょうどいいタイミングだと思うので出しました。この光の君がどう関わってくるのか、楽しみにしてもらえたら嬉しいです。
「……という事がありましたの!」
「……今とは話し方も違ったのね、ティエラ。」
「素敵なレディ目指してベルナ様を参考に真似ていますのよ!」
「その割にはベルナの話し方とはだいぶ話し方が違うような気がするけど……。」
ベルナもベルナで静かでのんびりとした話し方だが、ティエラはティエラでなんというか似非お嬢様って感じの話し方というかなんというか……。
「とりあえず、宝石の縁で話すようになって、そこから仲良くなったのね。」
「ええ!ベルナ様の杖や魔法用にアタクシからもバレンティア家の方に働きかけて優先して良い宝石を回したり、アタクシ自身も将来ベルナ様が王女様になった時の為にベルナ様の専属騎士を目指して騎士志望としてサンターリオ学園への扉を叩いたのですわ!」
「ティエラが叩いたら扉が壊れそうね……。」
「まあ!アタクシ、これでも力加減には自身がありますのよ!?フルパワーを出す時は怒りのままにぶっ飛ばす時やぶん殴る時だけですわ!?」
「じょ、冗談よ、物の例え、みたいな……。」
驚いた。
この前の模擬戦ですらまだフルパワーでは無かったという事だろうか。
もしフルパワーで殴られたらどうなるか……考えて、ベルナやティエラは絶対に怒らせないようにしなければ、と改めて思う。
しかし……。
話を聞いていて思った事が二つある。
まず、ベルナが原作のゲームにおいて、ある意味リジャール王子に選ばれなかった理由についてだ。
基本的に、こういう平民から王族へと駆け上がるシンデレラストーリー的な作品において、ある意味次期王女候補というのは乗り越える壁であり、同時に選ばれなかった人々、だ。
そう考えると、確かにベルナは最後の乗り越える壁であり、同時に選ばれなかった人、というのにピッタリな存在なのだな、と感じたという事だ。
次期王女の最有力候補という立場、権力。
こうしてティエラによる支援によって強化された魔法の才能、実力。
それでいながら、リジャール王子と上手く良い関係を作れなかったという人間関係的な隙がある。
そして、もう一つ。
原作において、ソルスが駆け上がれた理由であると同時に、ベルナが選ばれなかった最大の理由。
ベルナには、光属性の魔法が使えない。
設定において書かれていた事実。
ベルナには、魔法の才能は天性の物を持っていたが、悲しいかな、光属性の適正は持っていなかったのである。
恐らく、それがコンプレックスになったのも、リジャール王子との関係や王族との関係の不和に繋がっていたのかもしれない。
それを考えると、確かに乗り越える壁として、ある意味分かりやすく『敵』として存在するのであろう。
実際、ゲーム本編でのベルナは現在私と会話を交わす時のような可愛らしさのある、のんびり屋の少女らしさのある女の子ではなく、憂いを帯びた物静かな魔女、とも言えるような雰囲気であった。
つまり、ベルナは今のままでは、いずれはあのように心が擦り切れてしまう可能性が高い、という事だ。
あの世を儚むような表情の真実が、好きな人と仲良くなれず孤立したまま過ごした少女の末路であった……と考えると、酷く残酷に思えてしまう。
そして、もう一つ。
この世界が原作の通りに世界が進むとすれば……。
結果的に、ティエラの夢は叶う事は無い。
だって当然なのだ、ベルナが選ばれないという事は、恐らく専属の騎士をつけるという事も無いのであろうから。
もちろん、次期王女になれなかったからといって、ベルナが貴族で居られなくなるという事は無いだろうから、もしかしたら専属の護衛としてティエラを雇う、という事は無きにしも非ずだが、それでもベルナの地位は、失墜とまでは言わなくとも揺らぐ可能性は大いにある。
何せ、今上位貴族として現在の地位に居られる理由の大きな理由に、次期王女最有力候補である、という部分があるからだ。
それが無くなり、周りの貴族からの支援という後ろ盾も失われれば、もしティエラの夢が叶ったとしても、きっとそれは望んでいた夢の形ではないのであろう。
きっと、二人とも真の意味での幸せではない筈だ。
(でも、私の思いを果たす為には……もしソルスがリジャール王子とのルートに入ったら、この二人の思いを蹴落とす事になる。アルくんとのルートには入りそうにないし、ジュビア先生は原作から変わってきた部分もあるから期待しすぎる事も出来ない。……何とかする方法は、無いのかな……。)
誰かの幸せは誰かの不幸の上に成り立っている、と前世では聞いた。
全員を幸せにする事は出来ない、とも前世でも聞いた。
私にとってある意味夢のようなこの世界でも、それは変わらないのだろうか。
私は不幸になっても構わない。
ただ、それでも。
ソルスと、私を頼ってきてくれた、この二人を幸せにする方法は無いのだろうか。
何か、何かどうにかする方法は無いのだろうか。
そう思わざるを得ない私だった。
「…ねえ、ソルス。」
『はい?なんですか、マルニ様?』
「ソルスは、貴族になりたいとか……そうね、お姫様みたいになりたい、なんて思った事はあるかしら?」
『わ、私がお姫様ですか!?無理ですよ、余りにも遠い存在ですし、そもそも私は人の上に立つような存在ではないですし!!』
「ふふ……あくまでも、もしの話よ。もしそうなれるなら、ソルスはなりたいって思うかしら?」
相変わらず、初々しい反応につい私は笑みが零れてしまう。
これが将来、光の聖女であり王女……「光の君」という言葉のもう一つの意味、「光の聖女王」と呼ばれる存在になるなんて、話している私でもちょっと信じられないくらいに。
『もしも、ですか……そうですね……マルニ様を守る騎士になるなら貴族とかになる必要は無いですし……あ、でも同じ貴族になれたら、一生にお仕事も出来てもっと一緒に居れるなら、そうなりたいかもしれないですね!』
「ふふ……あまり偉くなりすぎると、逆に私と地位が開きすぎて私が着いていけなくなっちゃうわ?」
『そうなんですか!?うーん、なら偉くなりすぎるのも困りものですね……うーん、だとしたら、やっぱりお姫様ってなると、想像つかないし、私はならなくてもいいかなって思っちゃいますね。』
「……そう、なるほどね。」
『……マルニ様?どうかしましたか?』
本当はお姫様になる貴女の為に騎士を目指してる、なんて言ったら、どんな反応をするだろうか。
喜んで、やっぱりお姫様になる、と言い出すのか、それとも……。
そこまで考えて、私は思考を止めた。
これ以上考えるのは良くないと思ったからだ。
「何でもないわ。……今日はもう寝るわね、おやすみなさい、ソルス。」
『へ?ああ、はいっ。おやすみなさい、マルニ様、良い夢を。』
「ええ、貴女もね。」
通話を終わると、目を瞑って秋の風を感じながら目を瞑る。
……普段は心地よく寒くなってきた秋の風は、今は心まで寒くしてしまいそうだった。
今日はすぐに眠ろう、と思ってパタンと窓を閉めて、今日は眠る事にしたのであった。
あまり良く眠れる気はしなかったが。




