第2話 生命の大進化
ーーー地球誕生から約25億年
「……なぁルナ、地球見てて思ったんだけどさ」
神様の作業空間で、俺――テクロナスはあくびを噛み殺しながら言った。
「あの単細胞生物ってやつ、誕生してからずーーーっと一匹でゆらゆらしてるだけじゃね? 地味すぎない?」
「あきらめないでください! じつは生命も裏で着々と進化しているんです! 単細胞たちが合体して一つの体を形作る『多細胞生物』が現れ始めました!」
「へぇ、合体ロボ的な?」
「そうです! これにより体が大きくなり、役割分担ができるようになりました。そしてさらに時間を進めると……【時間加速】!」
目の前の地球が高速で回転し、海の中の映像がぐんぐん拡大されていく。
ーーー地球誕生から約41億年
「うわっ!? なんか変な生き物がいっぱい増えてる!?」
モニターには、今まで見たこともない奇妙な形の生物たちが溢れかえっていた。
「これが約5億年前……『カンブリア爆発』と呼ばれる生命のバリエーション大爆発です!」
「爆発って、物理的にドカンといったわけじゃないのか」
「違います! この時期、生物たちに革新的な『器官』がもたらされたのです! 例えば『目』! 光を感じる眼を獲得したことで、『見る者(捕食者)』と『見られる者(獲物)』という生存競争が一気に激化しました!」
「うわ、あいつ追っかけて食ったぞ!」
「さらに身を守るための『硬い殻』や『骨格』、効率よく移動するための『ヒレ』や『触手』など、多種多様な器官が一気に進化しました! 喰うか喰われるかのサバイバルが、進化のスピードを爆発的に加速させたのです!」
「なるほど……! 追い詰められたからこそ、みんな必死で新しい武器を手に入れたわけか!」
「そうです! 見てください、あの頭に5つの目がある『オパビニア』や、鋭い前脚を持つ海の大暴れ者『アノマロカリス』を!」
「なんだあの変な生き物!? デザイナーのセンスどうなってんだよ!?」
画面いっぱいに広がる怪獣映画のような海の光景に、俺は身を乗り出して見入ってしまった。
「くっそー、見てて飽きないな! 単調だった海が、一気に賑やかになりやがった!」
「ふふん、文明の基礎となる生命の多様性が確保できましたね。ですがテクロナス様、彼らの舞台はまだ『海の中』だけなんですよ……?」
「え、海だけ? 陸上はどうなってんだ?」
「カラッカラの死の星です。次回は、生命たちの悲願である『陸上進出』に挑戦していただきます!」
「おおお! なんかワクワクしてきたぞ! よしルナ、もっと時間を進めてくれ!」
最初はだらけていた俺だったが、目まぐるしく進化する地球の姿に、完全にハマり始めていた。




