プロローグ 久々のお仕事
「あー、暇だなぁ……」
白い雲の上、特大のクッションに身を沈めながら、俺――神様ことテクロナスは盛大なため息を吐いていた。
神様というと、後光を差しながら世界を管理する神聖な存在……なんてイメージを持つかもしれないが、実態はただの万能ニートである。毎日が日曜日。好きな時に寝て、好きな時にダラダラする。これを8500万年も続けてきた。まあこれでも神だ。あと2億年くらいはダラダラしようと考えていた。
だったのだが。
「テクロナス様ー! いつまで寝こけているのですか! 上層部からの通達ですよ!」
「うおっ!? びっくりした……なんだよ従者のルナ、俺はいま『宇宙の平和について深く考察する』という重要任務の最中なんだが?」
「ただの二度寝ですよね? 屁理屈をこねないでください! ほら、これ! 新しい担当案件の資料です!」
バサッと顔面に叩きつけられた一枚の紙。そこに書かれていたタイトルを見て、俺は思わず目を丸くした。
【新規案件:文明育成計画(対象:惑星『地球』)】
「……なんだこれ? 文明育成……?」
「はい! テクロナス様には今後、この『地球』という生まれたての若い星を担当し、そこに棲む『人類』という種族を導いて、立派な文明を築き上げていただきます!」
「はぁぁぁあ!? 俺に文明育成とか無理に決まってんだろ! そもそも人に教えるような立派な知識なんて持ってないぞ!?」
「大丈夫です! 育成の進捗に応じて神力が還元され、さらに『神様専用通販サイト』のポイントも貯まりますよ!」
「……マジで? 通販のポイントつくの?」
「つきます! 高級アイスもゲーム機も買い放題です!」
「よしやるか!!(即答)」
こうして、自堕落な神様である俺と、まだまだ未熟な人類の『文明育成』という名の暇つぶし――もとい、ポイント稼ぎの物語が幕を開けたのだった。




