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第8話 意外な一面



「零ー広範囲展開(アブソリュート・ゼロ・ゾーン)



 これはリスクが高すぎる。

 俺も今までで1回しか使ったことがなかった。

 だがこれで2回目となった。


 この技は、簡単にいうと今まで人一人分くらいの範囲で冷気を放っていたが、それを自分の好きな範囲まで冷気を展開する技だ。


 冷気があたる範囲を広げる。


 俺の足元から全身に纏っていた冷気が、学校を包みこむように全ての炎を止ませる。



ーーーーーーはずだった。



「...は!?」



 学校の約半分は、俺の冷気で炎が止んだ。

 だが残りの半分は何故か消えなかった。


 俺の冷気と、残りの学校の炎が境界線を作る。



「....なんでだ...?普通なら消えるのに...あぁもうしゃあなしだ!!」



 俺は冷気の温度をさらに下げた。

 0度ではなく、マイナスに下げたのだ。


 その瞬間、俺の冷気に包み込まれていた学校は完全に鎮火された。



(...よし!誰にも見られてねぇ...成功だ!)



 成功した俺は、滝村の方の元に戻る。

 滝村は感動したような目でこちらを見ていた。



ーー「...氷結の王様!!最高の人間だお前は...!!」


「ああ...うん。一件落着ってことだな!」


ーー「でも...明日の学校どうなるんだろうな」


「...休みとか?」


ーー「そんなことあったら俺最高すぎて死ぬわ...」


「...まあ...そうだな」


ーー「どうかしたか?」


「いや...ごめん、先帰っててくれ。俺はまだやることあってさ」


ーー「え?おう...気をつけろよ!」


「分かってる」



 俺は完全鎮火された学校内に静かに忍び込んだ。

 これも、中に人がいないか確認するためのもの。


 もし陽王が倒れていたら大変だ。

 底が抜けている場所もある。


 俺は慎重に歩いていく。


 その後。

 いろんな教室や図書室などを見ても、特に人影のようなものは見つからなかった。



「...やば...、図書室だけ被害大きいんだな...」


ーー「あ、氷結の王さんじゃん!」


「.....はぁ!?」


ーー「どうかしたの?」



 俺が図書室を確認していると、遠くのカウンターからひょこっと顔を出して俺に話しかけた。


 その正体は、あの「先輩」だった。


 俺のスパイ任務を失敗に導いた者だった。



「いやいやいや!!なんでここに!?」


ーー「あー...火事のこと?」


「それしかないですよ!!大丈夫でしたか!?」


ーー「心配はいらぬっ!!もう死ぬ覚悟は決まってたからね...けどなんかいきなり止んだっていうか...」


「それはよかったですけど...いやマジでよかったぁ」


ーー「ふふっなんでそんなに安心した顔してるの?」


「いやあとちょっとで先輩死んでたってことですよね?助けられてよかったですよ...」


ーー「もしかして...君のおかげってこと、?」


「え...まあそうですけど?」


ーー「ええっ...凄いじゃん!!君は私の命の恩人だよ!!」


「まあ...別に大したことありますよ...?」


ーー「あははっ!なにそれ!...大したことはあるんだね!」


「へへっ...まあとりあえずよかったとだけ。じゃ!また会いましょ!」


ーー「あぁ待って!もし...よかったらなんだけどさ!これからもここきて話さない?相談ならいくらでもしてあげられるよ!」


「それいいですね!...俺の正体を隠してくれる先輩にならいい気がします!」


ーー「よし!...じゃあ約束ね!」


「はい!」



 そう言った俺は、安心して家に帰ることができた。


 この先輩は控えめに言って神様だ。

 俺が「氷結の王」ということも、周囲にバラさずに心の中で抑えてくれている。


 これで約束は二つになった。

 この図書室で先輩とこれから相談をしにくる。

 とりあえず、明日また学校があったらいこう。


 そして、もう一つは陽王との約束。

 10秒だけの制限であるが、約束は約束だ。



「はぁ...マジで散々な一日だったなーー...」



 帰り道。

 俺はそう独り言を言いながら家に帰った。


 家に帰ると、食べっぱなしの夜飯があった。

 俺はそれを平らげる。



「グループライン...流石に動いてねぇよな...」



 学校に駆けつける前、俺はしっかりと部屋でスマホを充電していた。

 そのおかげで、今は80%くらいはある。


 そして、マイブームであるグループラインを覗いてみた。



「グループグループ...流石にか。」



 グループラインは前のように99件も溜まっていなかった。

 だが個別でメッセージが来ていた。



ーー「未来か...なんだろ」


ポチッ



ーー「氷ーくーん。元気ー?」


「ふつーう」


ーー「なにしてるのー」


「なんもしてなーい。じゃあなー」


ーー「...え?」



 陽王ならともかく、俺は今疲れているんだ!

 こんな茶番に付き合ってやれる暇はない。


 時刻は22時。

 俺は布団に入って寝ることにした。



ブーッ



(通知...?また未来か...明日にしよ)



 通知が一件きた。

 だが未来にはもう付き合ってられないので寝ます!

 おやすみ!


 翌朝。

 時刻は5時となっている。



「...あ、、、滝村にラインしなくちゃ...」


ポチッ



「滝村?昨のうは大丈だったか」



...........。



ーー「いや誤字多すぎやろ!...寝ぼけてんじゃん」


「あー...確かに」


ーー「じゃあ寝ぼけてるお前にな、いいニュース教えてやるよ」


「いい...ニュース?」


ーー「今日ですね...実は!学校休みでーす!!」


「......は?」


ーー「今日学校休みなんだよ!昨日の俺らの勘があたったわけだ!」


「...え、そうほんとか?」


ーー「ほんとほんと!!あ、けどボランティア?みたいなのはいいらしいぜ!!日中の修復作業だ。」


「マジかー...行く?」


ーー「行くわけないじゃーん」


「おけー」



(......学校が休み!?ふぇぇ!?マジで!?なら陽王との約束守れないじゃん!!あと先輩のも!!)



 学校が休みだった。

 だが、6時から始まるボランティア活動は誰でも参加していいらしい。


 安全のため、俺らは燃えた草などを回収するだけらしい。

 俺は暇だったので、そのボランティアにいくことにした。


 そして時刻は6時。

 ボランティアが始まる。



「...ふぁーあーねむ...」


ーー「お疲れ氷結くん!」


「いてっ!何すんですか先輩...。あれ、てか先輩も来たんですね」


ーー「ごめんごめん!確かに...ふぁー...ねむいねー」


「マジで眠いです...なんで俺来たんだろ」



(俺もしかして無意識に...陽王が来るのを期待してたのか?)



 学校に着いた。

 その前にコンビニに行き、昇降口前で俺は朝食を取っていた。


 すると、あの図書室の先輩が俺の背中を叩いて話しかけてきた。

 案の定喉に食べ物が詰まりかけたが、俺はなんとか耐えた。


 そして朝食をとり終わり、みんなが整列し始めた所で俺も列に並んだ。

 だが、俺のクラスの列は俺以外に1人だけいた。



(.....え、陽王だけ!?てかこいつくんの!?絶対来ないと思ってたわ...期待はしてたけど)



 陽王が列の最前にいた。

 その後ろに俺だけ並んでいる状態だった。



(あれ...?なんで制服なんだ?)



 陽王はジャージではなく制服だった。


 そして校長がクラスの人数を確認すると、俺のクラスを見て笑いかけていた。



ーー「ぶっ...は、はい!皆さん!おはようございます!!」



(今笑いかけたよね!?俺でなきゃ見逃しちゃうね)



ーー「3年生は花壇の手入れを、2年生はここの景気付けをよくしてください。1年生は校庭の焦げてしまっている草むしりと、伸びすぎている草もとってください)



 俺ら一年の仕事は決まった。

 校庭の焦げてしまった草むしりと、伸びすぎている草を取り除く。



ーー「1年生は...クラスごとで行動と協力を徹底してください」



(......はぁ!?)



 ここで不安な点が見つかってしまった。

 クラスごと、ということはだ。



ーーー「俺と陽王だけじゃねぇかぁぁあ!!!」

 














 







第8話ありがとうございました!

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