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元不良少年の陰キャだがいろいろあって陽キャ女子と仲良くなった件  作者: YoneR
交流の始まり

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5/8

5 七月考査

3月10日になってしまいました。

 今日は六月下旬。隼人と陽川は喫茶スギに来ていた。


 これで、話すようになったあの日から会うのは三回目だ。特に連絡もなくたまたま会ったのが一回。今のところ影島隼人だとばれてはいない。


 今日は偶然ではなく、陽川に呼び出されたため来た。


「これどうぞ。」


 陽川から、席に着くやいなや紙袋を渡された。


「ええと?」

「前に言ってた手作りお菓子、マカロンです。今回はかなりうまくいきました!」

「あ~。ありがとう。」


 中から出してみると、透明な袋に包装された薄い赤色のマカロンだった。


「おお、確かにお店のみたいだな。」

「ふふん、結構大変なんですよ?日によって乾燥時間とか変わるので。」

「へぇ~。じゃあ、食べてみていいか?」

「えっ・・・ここでですか?あんまお店で持ってきたもの食べるの良くないんじゃ・・・。」

「ああ、大丈夫。ここ持ち込みオーケーのめっちゃ珍しいカフェだから。それにオーナーと俺仲いいからさ。あの店員も俺の友達だし。」

「えっ。」


 陽川が何かに驚いている。先ほどの内容で驚くとすると、前の二つだろう。


「まぁ、持ち込みオーケーは珍しい――」

「あの店員さん、友達なんですか!?」

「あ、ああ。驚くとこそこ?」


 外れた。


「なんか友達がいたのが意外で――」

「えぇ?」


 持ち込みオーケー、オーナーと仲がいい、これに驚くのは普通だろう。だが、友達がいることに驚かれたのは心外だ。


「あっ、すみません!めっちゃ失礼でしたよねっ。」

「いや、別にいいんだけど・・・俺ってそんな友達いなさそうか?」

「そっ、そういうことじゃなくて!いえそれも少しあるんですけど・・・。なんか雰囲気が全然違うから友達なのが不思議で。」

「あはは・・・。まぁ、あいつはかなり明るいやつだからな。」


 どうやら陽川には隼人は友達がいなさそうに見えているらしい。学校での姿ならまだしも、今は自分のありのままの姿であるので、ショックだった。見た目が派手になっても陰キャであることには変わりないということか。


 友達の多い少ないを気にしたことはなかったのだが、実際に直に言われると、少しくるものがある。


「・・・うん。ちなみに俺、友達はそれなりにいるからな?」

「あっ、はい。本当にすみません。いつも一人でここに来てるから・・・。でっ、でも、見た目が少し近寄りがたいだけでいざ話してみるといい人だとよくわかりますよ。」

「フォローありがとな。」

「ちょっ、ホントですから!」

「そういえば陽川さんもいつも一人でここ来てるけど、友達は?」


 これは前々から聞きたかったことだ。教室での様子をそれとなく見てみたことはあるが、特に何か友人たちともめ事があったようには思えなかった。むしろ友人たちが遊びに行くのを断られて残念がっているようだった。


「ええっとー、実は・・・。」


 陽川は答え出したが、どこか言いにくそうにしている。


「あー、別に言いたくなかったら言わなくていいぞ?」

「う、ううん。そういうんじゃなくて言いにくいというか・・・。」


(言いたくないわけじゃないけど言いにくいこと・・・?)


「えー、実はその、お母さんから成績がやばいの結構言われてて、それで塾行くのが嫌ならせめてカフェとかで勉強するように言われてるんです・・・。友達からは自分たちがいたら集中できないだろうからって遠慮されてて。」

「あー、なるほど。つまり勉強しなきゃいけないのに実際は何もやってないから言いにくかったと。」

「・・・そうです。」


 それは問題だ。ストレートに言うならば、陽川はサボっているということだ。


 陽川はサボりを(たしな)められたと感じたのかシュンとしていた。やはり陽川は顔に出やすい。


「あと、阿江さん困るでしょう?結構にぎやかな子たちだから・・・。」


 言われて確かに、と思った。


 今、隼人のクラスの女子は二つのグループに分かれている。一つは陽川や高坂(こうざか)などの陽キャが集まっているグループ。もう一つは西川(にしかわ)をリーダーとする、気の強い女子のグループだ。残りの陰キャよりの女子はグループと言えるほどの人数ではなく、二、三人でいることが多い。


 陽川が特に仲良くしているのは高坂、矢代(やしろ)山岸(やまぎし)など。別に怖い系の女子ではないが、陰キャの隼人としては陽キャがたくさんは正直きつい。これは本当に陽川に感謝しないといけない。


「あー、配慮ありがとう。」

「いえ。」

「ええっと、じゃあ食べていい?」

「あっ、はい。自分が作ったの目の前で食べられるの緊張する・・・。」


 実は、マカロンを食べるのが楽しみだった。


 妹もよく作っているのだが、なかなかうまくいかないらしい。失敗したものは妹のプライド的に他人には食べさえせたくないようで、また、成功したものは友達にあげてしまうため今まで一度ももらったことがない。


 というわけで、人生初のマカロンを一口。


「・・・ん、美味しい。」

「本当ですか!?良かったぁ~。」


 これは予想以上に美味しかった。


 前にも言った通りチョコレート系のものは一切無理。生クリーム大量系も苦手だ。


 だが、甘すぎないと聞いたマカロンならばいけるのではと思っていた。


 そして本当にいけた。


「ああ、これならこれからも食べたいと思う。」

「えへへ。頑張ったかいがありました。また作ります!」

「いいのか?材料費とか・・・」

「大丈夫です。趣味なので。」

「それならまたよろしく。」

「はい。」


 陽川は美味しいと褒められたことが嬉しかったのか、にっこにこだった。


 しかしこれからその笑顔をぶち壊すようなことを言わねばならない。


 隼人は鞄の中から参考書を取り出す。


「ん?勉強するんですか?」

「ああ。陽川さんももうすぐ期末、じゃなくて七月考査だろう?」


 中学校のときは三学期制で期末テストという名前だったが、高校は二学期制のため名前が七月考査になっている。



(・・・分かりやすっ。)


 隼人がその名を口にした途端、陽川の顔が引きつった。



 正直ここですべきかどうか悩んでいた。


 テスト前だから勉強しないといけないのは必須で、いつも気分によって家かカフェか場所を変えている。今日はもう来店したのだからカフェですればいいのだが、今回は状況が少し異なる。


 陽川に呼ばれたのだから相席することになるのが確定しているのだ。


 その状況で勉強ができるのかと言われると別にできないこともないが、わざわざ呼んでくれた陽川に申し訳なさが少しある。


 それに陽川だったら気づかって帰ってしまうかもしれない。それなら自分が帰って家で勉強した方がいいだろう。


 しかし、陽川自身がカフェで勉強するよう言われているということなら話は別だ。むしろ、隼人が一緒にいて監視しておいた方が彼女のためになるだろう。



 隼人が机に参考書やノートを広げ始めたとき、陽川が何かを不思議に思ったような顔に変わった。


「・・・あれ?それ、数ⅠAじゃ・・・?」

「そうだけど?」

「え?」

「あー、言ってなかったか?俺高一。十五歳だからたぶん陽川さんより年下だと思う。だから全然ため口でいいよ。」

「ええええ!?」


 今までで一番大きな声だった。周りに客がいなかったから良かったが、もしいたら軽く頭を下げそうになるほどだった。



作者マカロン作ったことも食べたこともないので、いろいろ間違ってたら教えてください。


あと、ストックなくなったので次回更新日は未定です。一週間以内にはするかと。

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