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第四話 序列者との決闘へようこそ


 「お前昨日の決闘凄かったな! まさか他人のバグ力を無効化する能力なんて聞いたことがないぞ!」


 授業中、驚いた様子で俺に向かって前のチャラ男が話しかけてくる。


 「ちなみに俺の名前は大文字 篤人! バグ力は体の一部の巨大化だ!」


 そう言って彼が指を大きくしていると、背後からやって来たおっとり女教師こと七星 千尋に教科書で頭を叩かれた。

 

 「イテッ!」


 「授業はちゃんと受けてくださいね」


 (体の一部の巨大化か、他人の視界を防ぐ暗闇の方が便利そうだな)


 俺はそんなことを考えながら大人しく授業を受けていた。






 昼休みになり、俺は大文字達と一緒に食堂で飯を食べていた。


 

 「やっぱり昼は肉に限るぜ!」


 「肉ばっかり食べていては健康バランスが悪いですよ」


 「そんなこといってる悟は魚ばっかだけどね」


 肉ばかりの定食を食べているのが大文字 篤人、魚ばかり食べているのが冷泉 悟、そしてそれを笑いながら見つめている糸目男が榊原 輝。 彼らのグループはこの三人で形成されているらしい。


 俺も榊原と同じ野菜炒めを口に運ぶが、確かに彼らのテンションが上がるのが分かる程美味しい。



 「ここの食堂はうまいな、うちの料理人が作るものに負けていないぞ」


 「うちの料理人?」


 そう榊原が聞いてくるので、俺は顔がニヤけないように注意しながら答えた。


 

 「一応、俺は西園寺グループの御曹司だからな」


 「…西園寺グループって、あの西園寺グループですか?」


 冷泉がこちらの顔を伺いながら聞いてくるので俺は頭を縦に振って肯定した。


 

 「まじかよ、お前ってあの西園寺グループの御曹司だったのか!」


 大文字は椅子から立ち上がって大袈裟に驚いている。


  

 「…これらか鞄でも持とうか、西園寺様?」


 「今更取り繕っても遅いぞ…」


 そんな感じでお互いのことを話しながら食事を進めていると赤髪の女子生徒が俺達に近づいてきた。


 

 「貴方が噂の能力を無効化するという転校生ね」


 「…だとしたらどうする?」


 俺がそう聞くと彼女は口角を上げて言った。



 「序列十位の私と決闘をしなさい!」


 「…序列者との決闘は普通なら十一位しか受けられないはずだが」


 それを聞くと彼女は少し目を丸くしてから答えた。


 「あまり詳しい話は聞いていない様ね、せっかくだし私が訓練場まで歩きながらその辺のルールについて教えてあげるわ」


 そう言って彼女は何処からともなく大型犬を超えるデカさのいぬっころを呼び出し、そいつに乗って進みだした。


 (歩くとは一体?)


 取り敢えず、俺は彼女の後ろを走って追うことにした。


 

 「俺達はもうちょっとゆっくりした後に行くから待ってろよ!」


 大文字は馬鹿なのか大物なのか、序列者が相手でものんびりした態度で寛いでいた。






 「そもそも序列者に決闘制限が設けられているのは序列者に対する配慮のためのルールなの」


 「それは序列者が決闘を目が会った瞬間に申し込まれたりする為か?」


 「そうね、何処ぞのトレーナーより酷く、近づいた時点で挑んでくる相手もいたぐらいらしいわ」


 どうやらこの学園には蛮族しか生息していないようだ、俺の優雅さを少しは見習ってほしい。


 

 「それに学園としても上の存在は親しみやすくなく、ある程度畏怖の対象であって欲しいと色々な観点から考えているみたい」


 「色々と理由があるんだな」


 「まあね。 さてと、訓練場に着いたのだからお話はここまでにしましょうか」


 彼女が犬に乗って全力疾走するので対して話す暇も無く、直ぐに訓練場に着いてしまった。


「頑張れよ転校生!」「直ぐに負けるなよ!」「転校生に1000ペリオッ!!」「俺は転校生に500ペリオッだっ!」


 そこには、俺達のうわさを聞き付けた暇人な生徒たちが見学目的で多く集まっていた。


 

 「決闘のルールはセオリー通り相手が降参するか戦意喪失、戦闘不能と判断されたら勝利ということにしましょう」


 「その判定役はどうするんだ?」


 「私が致します」


 俺が序列十位に聞いていると、いつの間にか後ろにいた序列五位こと四宮が小さな声で話しかけてきた。


 

 「…序列五位、如何やら貴方は転校生を酷く気に入っているみたいね」


 「能力の無効化、そんなバグ力を持った生徒を気にしない人の方が少ないと思います」

 

 「まあいいわ、それじゃあさっそく決闘を始めましょうか転校生君」


 その言葉を皮切りに、また俺達の目の前にLOADINGというクソデカ文字が現れる。


 

 そしてそれが消えた瞬間、彼女の何の変哲もない手から銃弾の雨が放たれた。



 「エッ!?」


 「えっ?」


 俺は咄嗟にそれを避けて致命傷はさけれたものの、手や足に壁を反射した流れ弾を喰らい重傷を負ってしまった。 


 

 「紅葉ァぁ! 何をやっている、早く俺様の試合を止めろォ!!」


 「えっ、分かりました。 勝者、犬飼 葵!」


 俺のあまりの失態に、多くの生徒が失望を隠せないでいた。


 

 「何やってんだ転校生!」「金返せェ!」「はぁ、あほくさ」


 所々から俺への罵声や呆れ声が聞こえまくる。



 「クソ、このエリートの俺がこんな目に遭うなんて!」


 「なんで能力無効化を使わないんですか?」


 俺は目の前の対戦相手である序列五位にさえ心配されていた。


 

 「…あの時何故か使えただけで、使い方が分からないんだ」


 「…転校したばっかの時に、こんな事してごめんなさい」


 


 



 如何やら学園内では決闘が終わると体の傷は元に戻るようで、俺の身体は元の完璧イケメンボディへと再起を果たした。


 

 「散々なやられ様でしたね」


 「煽るな、序列五位」


 そして、何故か俺の横に引っ付いて四宮 紅葉が付いてくる。



 「…それで本当の用事はなんだ?」


 俺がそう聞くと、彼女は小さな口を開いて俺に対してあまりにも失礼なことを言った。


 

 「はっきり言いましょう、能力を使えないあなたは学園で最弱です」


 「…」


 「何故か闇野君の時は使えましたが、貴方はそもそも自分の能力についてすら理解していません」


 そして、彼女は無表情ながらすこし口角を上げた雰囲気で言った。


 

 「私があなたを強くしてあげます」


 

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