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無事に終わって……ない

結局、その日の学校は無事に終わった。


みんなからこそこそと見られはしたが、絡まれることもなく……。


そもそも、存在を認知されていないからどうしていいかわからないのかも。


あとは、葉月の奴が適当に何か言い訳したのかもしれない。


ひとまず安心した俺は、放課後に違う喫茶店で執筆を始めるのだった。






「ふぅ……書けたな」


不安が消えたからか、今日はスラスラと書けた。


「あとは、もう一つの作品を書きたいが……ん?」


スマホを見ると、そこにはアキラさんからの通知があった。


「しまった、電話きてたのか」


キリがいいので、会計を済ませて店を出る。


そして、自転車を押しながら電話をかける。


「もしもし?」


『やあ、天馬』


「すみません、気づかなくて。喫茶店で執筆してました」


『いやいや、気にしないでいいよ。それはとてもいいことだ。ということは……上手くいったのかな?』


「えっと……バレた件ですよね?」


『それだね。いや、気になって寝れなかったよ』


「相談しておいてすみませんでした。ひとまず、問題はなさそうです」


俺は今日の出来事をかいつまんで説明する。


『ふむふむ、なるほど……そういう流れか』


「流れ?」


『面白い……では、引き続き報告をしてくれたまえ』


「わ、わかりました」


『じゃあ、またね』


「はい、失礼します」


よくわからないが、アキラさんにはわかったらしい。


俺は電話を切り、家路を急ぐ。






家に帰り、家事を済ませたら、姉さんと夕飯を食べる。


「……うん?」


「どうかした?」


「いい顔してるわね?」


「……そうかな?」


「朝はどんよりしてたっていうのに。何かあったの?」


「いや、大したことじゃないよ」


「ふーん……まあ、いいわ」


まあ、一応の懸念材料が消えたからな。


とりあえず、黙っていてくれるらしい。


あとは、たまに感想とかもらえたら御の字だ。


それにしても食ったら眠くなってきた……今日は早く寝よっと。








昼休みを終えて帰ってくると、みんなに質問攻めされる。


「ねえねえ! 何の用だったの?」


「あれだろ? ラブレターとか入れられたんだろ?」


「なるほど、それで人前では可哀想ってことか」


「結局、バレてるけどねー」


……どうしよう?


特に何も考えてなかった。


あの時は夢中になって、思わず声をかけてしまったし。


彼のことをバラすわけにもいかないし……かといって、勝手に振られたことにするのは可哀想だ。


私の都合で話しかけてこうなっちゃったわけだし……。


……そっか! そうすれば全て解決するかも!


「実は、彼に告白をしたの」


「「「「はい?」」」」


「ただ、返事はもらってないから。だから、みんなも放って置いてね」


「へえ?」


「何言ってんだよ!?」


坂本君と三浦君が、何やら慌てている。


……まあ、三浦君はわかるけど。


私のこと狙ってるみたいだし。


イケメンでスタイルもいいけど、私としては興味がない。


ただ、それだけって感じ。


何より、これで誤解が解ける。


「へぇ、そうなんだ?」


よくつるむ亜里沙は、三浦君が好きらしい。


だから、いつも困っていた。


友達と仲が悪くなるのは嫌だし、私としては好きじゃないから困るし。


「どこか良かったの? そんなそぶりなかったけど……」


親友の桜が、少しショックな顔をしている。


あとで、きちんと説明しないと。


「うんと……偶然、彼と街で会う機会があって。その時に、色々と話したんだよね。そっから、気になったというか」


「それだけで?」


「それ以外にもあるけど……恥ずかしいし」


作品が面白いとか、意外と書いてる横顔がかっこよかったとか……。


「か、顔が赤い……」


「まじか……」


あれ? なんか暑くなってきた……?


「そ、そういうわけだから! なるべく放っておいてくれると嬉しいかな!」


それで話を切り、私は机に突っ伏す。


……何これ? どうして、ドキドキしてるの?











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