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WEB作家で陰キャの俺、小説を書いてるのが陽キャのギャルにバレる~そしたらラブコメみたいな展開になった~  作者: おとら@7シリーズ商業化
一章

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みられてた

……まずい。


これが前門の虎後門の狼ってやつか。


挟まれて逃げ場がない。


むろん、逃げるつもりもないが。


「お、お前は、佐々木……な、なんだよ?」


「うるせんだよ、さっきから。ただでさえ雨が降って、屋上が使えなくてイライラしてるっていうのによ」


……しまった。


俺の声で来てしまったのか。


そのヤンキーは180センチ以上あり、俺や相手よりもでかい。


「そ、そうだよな。そいつがうるせぇよな」


「ちげえし、うるせぇのはてめーだよ。つまんねえことばっか言いやがって」


すると、ヤンキーが俺の前に出て、そいつの前に立つ。


「な、なんだよ、やるのか? 喧嘩が強いヤンキーだかなんだか知らないが、こっちは空手……」


「ごちゃごちゃうるせぇ。やんのか、やらないのか——はっきりしろや」


「……も、もういい。野崎、あんま調子こいてると……」


「きえろ、目障りだ」


「ひぃ!?」


その名もしらないやつは、情けない声を上げて去っていった。


状況はよくわからないが……どうやら、助けられたようだ。


俺はこわばっていたので、息をはいてから……姿勢を正す。


「えっと……ありがとうございました」


「勘違いするな、見てて気に食わなかっただけだ。だが……悪くない啖呵だったぜ。見た目と違ってやるじゃねえか」


「あ、ありがとうございます。いや、結構ひやひやしてましたし、身体が震えそうでしたよ」


「それでも、あれだけいえるなら大したもんだ。あいつはお前よりでかいし、空手をやってるとか言ってたからな……ところで、なんで敬語なんだ? お前、あいつとタメっぽかったし、多分二年生だろ?」


「は、はい、そうです。二年Ⅾ組の野崎天馬っていいます」


「じゃあ、俺ともタメってことだ。二年B組の佐々木和也だ、まあ……特によろしくすることはない。じゃあ、気をつけろよ」


それだけ言い、去っていった。


「……自分が恥ずかしい」


葉月の件でも、見た目とは違って良いやつはいるってわかってたじゃないか。


それにしても、かっこいい人だったな。


……小説のネタになるかも。





爽やかイケメンで、私に興味がないから助かる坂本君。


ちょっと悪ぶってて、私に興味があるので困る三浦君。


三浦君を好きなので、私に対してかギャル系の恰好をする亜里沙。


美人系の容姿で、しっかり者の桜。


そして、私の五人がよくつるんではいるんだけど……。





うーん、なんだかなぁ。


昼休みに桜たちとご飯を食べているのは良いんだけど……。


「なあ、いつまであいつの相手やってんだよ?」


「うーん、どういうこと? 私は楽しんでやってるよ?」


「……あんな陰キャといて、何が楽しいんだか」


「ねえねえ、いつもどんな話してるの?」


「うーん、ファミレスで勉強のことを話したり……まあ、色々とね」


「まあまあ、いいじゃん。野暮な質問するもんじゃないし」


「そうそう、それよりもさ……」


最近は、こんな感じになってしまう。


三浦君は野崎君の悪口ばっかり言うし。


それを見て亜里沙は攻撃的になるし。


坂本と桜はフォローに回ってくれる。


……なんだかなぁ……どうしたらいいのかな?





少し疲れたので、外の空気を吸いに廊下を出て、階段を降りていく。


すると……外に出ていく途中で、嫌な人を見かける。


この間告白をしてきた高野って男の子だ。


……ここを通らないと外にいけないんだけど。


「やばっ……ん? 体育館に向かってる?」


なら、今のうちに外に行こうっと……。


気づかれないように、こっそりと廊下を歩いていく。


「まだ戻ってこないよね? あの人、上から目線で言ってきたから嫌だし」


付き合ってやるとか、よくわかんないこと言われたし。


俺なら満足させてやるとか……何言ってんのって感じだし。


「やっぱり、付き合うなら優しい人が良いし……まあ、そりゃね……たまにはガツンと言ってくれる人とか、男らしいところを見せてくれる人も良いけど」


野崎君は優しいし、ガツンと言ってくれるかはわからないけど。


でも、三浦君にははっきり言ったって聞いた。


まあ、私とはなんでもないって言ったらしいけど……むぅ。


「……いやいや、何を言ってるのよ」


別に、私だって野崎君のことは好きというか、そんなんじゃないというか……。


だから、あっちが関係ないって言ったところで、それは当然っていうか。


そもそも、秘密の関係だから迂闊なことは言えないし。


「……誰に言い訳してるんだろ、私」


……というか、ぼけっとしてる場合じゃないし。


戻って来ないうちに、廊下を抜けないと……。


「うるせぇ!」


「……野崎君の声? 」


気になった私は、恐る恐る体育館の方に近づいてく。


「あっ——高野君が野崎君に絡んでる? 」


どうしよう? 私のせい? だったら、私が行った方が……。


「……へっ?」


そこには逃げもせずに、私を擁護する野崎君の姿があった。


「……そんなこと思ってくれてたんだ」


確かに私は、見た目は派手だし、告白を断るから誤解されることは多い。


でも、見た目くらいしか私にできる自由がないから。


「あっ、そんなことより……あれ?」


何やら様子がおかしい。


どうやら、佐々木君って人が助けに入って……。


「……うん、平気そう」


私がここにいることがバレたらまずいので、ひとまずその場を離れる。






その後、逃げていく高野君を確認する。


……野崎君も平気そうだね。


「それにしても……嬉しかったし」


野崎君が、しっかり言ってくれたことが。


何処かで、迷惑かけてるんじゃないかって思ってたから。


何だかんだ優しいし、私が秘密を知ってるから付き合ってくれてるのかなって。


……もっと、野崎君と色々なことしてみたいな。

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