第4・5話 Redemption・of・LIFE
光が拡がっていく。
七色の光は幾重にも重なり、それはさながら水溜りに小石を投げ入れて拡がる波紋のようだ。
確か……僕は、レイアさんを救いたい一心でDOOMとレイアさんの間に割って入った……そこまでは覚えている。それから……どうなったのだろう?
そう言えばDOOMは銃を……
あれ?
どうしたんだっけ?
思い出せない……
てゆーか、ここは何処だ? 辺りを見渡してみても、誰も居ない? ただ七色の光に彩られた、何も無い空間が広がっているだけだ。
……そうか。
僕は……死んだのだ。
ん? 本当にそうなのか?
死んだ、にしては意識がハッキリとしている。
『…………サキ…………スター…………』
誰かの声が聞こえる?
『…………スト・モリサキ…………マスター』
この声は……ルードの指輪?
『マイ・マスター、お目覚めになられましたか?』
――僕は死んだのか? てゆーか、ここは……どこだ?
『確かに、現在のマスターの肉体は危険な状態にあります。ですが、魂の糸はまだ繋がっています。そしてここはマスターの精神世界です』
――魂の糸? 精神世界?
『はい。現在のマスターは、いわゆる仮死状態です。ですからマスターには、これからリデンプションして頂きます』
――そうか……ん? リデンプション?
『はい。マスターの魂を再び肉体へと同化させます。但し、条件が一つだけあります』
――条件とは?
『魂と肉体の同化が行われた後、マスターは【ノイド】になります』
――ノイド? ノイドとは何だい?
『ノイドとは【NO・ID】つまり自己証明を持たない存在です』
――自己証明を持たない、だって?
『そうです。それ故に、全ての事象に関与出来る存在、とも言えます。そして、それは一般的に特異点と呼ばれます』
――特異点って……それってレイアさんの事じゃないか!
『特異点とは時空の彷徨い人……世界の傍観者……そして、破滅の誘発者……』
――ふむ。特異点=ノイド……と言う事は、レイアさんも……破滅の誘発者? てゆーか、破滅の誘発者とは一体何なんだよ?
『文字通りです。全てを破滅させる要因を創り出すのです』
全てと言ってもピンキリだけど、まぁ、多分そう言う事なのだろう。
はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!?
なんっっじゃそりゃあぁぁぁぁぁっっ!?
え? 何? 特異点って、そーゆーモンなの?
『しかしながら、マスターはイレギュラーな存在なのですが……』
――イレギュラー?
『はい。マスターは神器の支配者でありながら、特異点でもあります。過去のデータと照合しても、そのような記録は残されておりません』
――前例が無い……のか。それじゃ、僕はどうなるんだよ?
『わかりません』
――え? 何それ? 反応が冷たすぎない?
『何せ、前例が無い事象ですから。データが存在しません』
――あ、そう言われればそうか。
『マスター。そろそろリデンプションに入りますがよろしいですか?』
――ふぇ? あ、そか。うん、宜しく頼むよ。
『ラジャー、マイ・マスター』
それよりも……
マイ・マスターって呼ぶの、止めてくれないのかな……?
七色の光に包まれながら、僕はそんなどーでもいい事を思うのだった……




