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ユウは何しに異世界へ?  作者: guden@AI
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迷子のデバッガーは海を渡る

ネタをAIに下書きしてもらい、修正しています。

タイトルはパロってますが、内容はそこまで某番組とは関係ないです。

前置きに興が乗りすぎました。今回は変人の類です。

AIにはこういうネタの類は難しいのか、今までで一番自分が手直ししました。今のところこの話だけは自分が1から書いた方が早かったかもしれません。

 オレは樽の上に立っていた。

 正確には、樽を十七個積み上げた塔の上である。

 さらに頭の上には鍋を被っていた。かっこ悪いが、衝撃軽減のためだ。仕方ない。


「本日はよろしくお願いいたします!」


 急に下から大声が聞こえて体が跳ねた。

 危うく落ちかける。


「うわっ!?」


 体が傾く。

 鍋が落ちる。

 慌ててしゃがみこんでバランスをとった。このままでは受け身も取れず落ちてしまう。


「だ、大丈夫ですか?」

「……セーフです」


 恐る恐る下を見る。

 高い。普通に怖い。


「ふえぇ……」

「急にお声かけしてしまい申し訳ございません、あの、降りるのをお手伝いしましょうか?」

「お願いします……」

 

 オレは樽と樽の隙間に指をかけてゆっくりゆっくり降りていく。くそ、鍋を落としてなければと後悔した。

 半分ほど降りたところで、梯子をかけてもらい、なんとか地面に足をつける。

 うん、やはり人間は地に足をつけて生きていくべきだ。登ったのはオレだけど。


「本当に申し訳ございません……あの、何度かお声かけさせていただいたのですが……」

「すみません……考え事に集中していると周囲の声が聞こえないアレでして……」


 インタビューアーのユウさんがぺこぺこと頭を下げるのにオレもまたペコペコと頭を下げた。

 日本人特有の仕草だ。


「ええっと……先ほどは何を?」


 仕切り直しとばかりにユウさんが樽を見上げる。

 そびえたつ樽の塔は下から見ても圧巻だ。


「樽タワーです」

「樽タワー」

「はい、樽を積み上げることで疑似的に塔を形成し、安置を作る技です。この辺りは飛行系のモンスターがいませんので」

「樽を積み上げて疑似的に塔を作成して安置を作って、いたんですか……」

「はい、樽ファンではポピュラーな技です」

「なるほど」


 オレが頷けば、ユウさんも頷いた。

 理解が得られたようで何よりだ。


「改めまして、本日はよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


 またお互いペコペコ連鎖だ。

 インタビューか……やばいぞ、意識したら緊張してきた。何を隠そう、まったく隠れていないがオレはリアルコミュ障なのだ。

 さっきは恐怖と焦りでなんとか喋れていたが、手に汗をじっとりかいてきた。

 顔が引きつってないか? 声が上ずってないか? 初対面の相手との会話はベリーハードだ。

 何を話せばいいのか分からない。

 変なことを言ったらどうしよう。

 沈黙したらどうしよう。

 笑われたり、ため息を吐かれたら人生終了RTAが始まってしまう。頭の中では既に失敗パターンが十数個再生されていた。このままでは会話イベント開始直後に選択肢が消滅するぞ。


「では、まずは異世界に来た経緯からお聞かせいただけますか」

「はい!」


 小学生並にいいお返事をしてしまった。

 ちらりと見たユウさんはあくまで穏やかだ。

 息を吸って、吐いて、吐いて、吐いて、吐いて……って吸え吸え!


「話せば長くなるんですが……私、VRMMOをやっておりまして」

「ゲームですね」

「はい、人生でした」


 そう、人生だった。

 ゲームは人生、これ常識。

 

「仕事のない日は一日12時間やっていました。本当はもっとやりたかったんですけど、違法なので……昔は何十時間やっても罰金も72時間のアカ停もなかったらしいから羨ましいです。そんな時代に生まれていたら――多分死んでましたね、はい。現代に生まれてよかったかもしれません」


 そこではたっと、余計なことをしゃべりすぎたと気付く。

 やばい、話を戻さないと。


「このゲーム、ええっと、エターナル・オーシャンファンタジーオンライン、略して樽ファンで、自称デバッガーをやっていました」

「運営の方だったんですか?」

「違います」

「と言いますと?」


「勝手にデバッグして怒られる側です」


 正確にはプレイヤーである。

 だが普通のプレイヤーではない。

 普通のプレイヤーは隙間という隙間に頭から突撃しない。

 普通のプレイヤーは攻撃力0のオブジェクトで敵を1万回殴らない。

 普通のプレイヤーは樽を三百個積まない。

 普通のプレイヤーは樽を抱えて海底に沈み、七時間を過ごしたりしない。

 普通のプレイヤーは樽を持ち上げて一歩踏み出しては降ろして再度持ち上げて一歩踏み出すなんてしない。

 普通のプレイヤーは、樽のせいで異世界転移なんてしない。

 オレはやった。

 全部やった。


「とにかく、ゲームのバグを探していたんです」

「何か理由が?」

「楽しかったので」

「楽しかった、ですか」

「はい、めちゃくちゃ。同時にめちゃくちゃ運営さんに怒られますが」

「怒られるんですか」

「ええ、いわゆる想定外の動作ですからね。よっぽどのこととあればメンテもしなければいけなくなりますし、メンテやるとプレイヤーは文句言いますし、樽ファンなんて名前で呼ばれるし」

「大変なんですね」

「ええ、運営が」


 やる方は気楽なものだ。

 おかしなことになってもリスポーンすればいいし、最悪運営がメンテで直してくれるのだから。

 まあ、5回くらいアカ停されたが。


「そんなことをやっていた天罰ですかね、今こうして転移してしまいました」

「原因は、やはりバグですか?」

「ええ、樽バグです」


 このエターナルオーシャンファンタジー、通称樽ファンがどんなゲームかというと、海が8割を占める世界でプレイヤーが船に乗り、様々な島や大陸で冒険や貿易、あるいは開拓ができるという幅広いプレイングスタイルで遊べるMMOだ。

 これだけ聞いてなんで樽ファン?と思う方も多いだろう。いい質問だ。その疑問を持った時点で、もう君の片足は樽沼に突っ込んでいる。

 船に乗るということは、港が多い。

 港が多いということは樽が多い。

 樽が多いということは、樽に関するバグが多いということだ。

 かくいうオレも数多くの樽に関する名作バグを発見している。


「あ、立ち話もなんですし」


 そう言いながらオレは樽タワーから樽を抜く。

 樽タワーは揺れることもなくドスンッと音を立ててそこに鎮座し続けていた。これが樽ファンの有名な仕様で、通称樽マ落としだ。積まれた樽は、どれをとっても崩れない。ゲームとして崩れると効率が悪いからだ。想像してほしい、船にアイテムを積む時に一々バランスや配置を考えて積みたいか? パズルゲーじゃないんだよ。MMOで荷下ろしシミュレーターをしてどうする。

 だが、この仕様を使うことで樽は幾らでも積めるので、巨大なピラミッ樽や、樽ファンで最も高い東京樽ー、島一つを贅沢に使った天空のラピュ樽などといった名物建造物が乱立したことは、樽ファンが樽ファンと呼ばれる最大の理由である。

 

「どうぞ、座ってください」


 そう言いながらオレももう一つ樽をとって座る。


「ええっと、どこまで話しましたっけ? ああ、えっと、転移してしまった原因の樽バグなんですがね、実は樽を船にすることができるんです」

「それがバグですか?」

「いえ、仕様内です。巨大な樽に詰められて海に流されることができまして」

「それは、船なのですか……?」

「一応、樽船って名前で売ってました。プレイヤーは島流しって呼んでましたけど」


 樽船は操作できない。NPCに樽に詰められて数分待つとランダムな場所に放り込まれるいわゆるお遊び要素だ。まったく知らない場所にいけたり、時として宝のある島についたりする。これで、より遠い場所に流された人の勝ちとかいう大会をプレイヤーが開催しているが、それは今は関係ない。

 そんなことよりも、レッツ検証だ。

 オレは今度はその樽船の検証を始めた。

 樽船に詰められるとき抵抗はできるのか、樽船の破壊はできるのか、樽船内でアイテムを使ったらどうなるのか、樽船内でログアウトや転移したらどうなる、他の人の樽船に同行できるか、樽船の中に樽を入れたら。地形破壊系のアイテムを樽船に入る直前で撒くことで樽船内に破壊エリアを作った場合どうなるか……あげればキリがない。


「まあ、この辺りは普通の検証ですね」

「普通なんですか」

「普通です」

「それで、あれは、樽船の中で樽増殖バグを起こしたらどうなるかの検証中のことでした。樽増殖バグというのは、樽の積載無限以外のもう一つの仕様を使ったバグです」


 もう一つの仕様、それは落下ダメージがないことがあげられる。荷台や足場として使うことを想定したオブジェクトのため、樽の上から降りるという行動には落下ダメージが発生しない。

 だが開発者は見落としていた。

 いや、そんなこと思いつかなかったというべきだろう。だって、樽は別に世界のメインじゃないから。雰囲気作りくらいのつもりだったから。

 判定対象を高さではなく樽オブジェクトそのものにしてしまったのだ。


 つまり。


 樽の上に立っている限り、どれだけ高くても樽から降りた扱いになる。

 これのおかげで、樽タワーをはじめとした建造物が捗った。


「樽収納というスキルがありまして」


 樽がいっぱいほしい、樽をいっぱい持ち運びたい。そういうバカ……おっと、熱い志を持つプレイヤーたちに運営がやけくそ……おっと、優しさで与えたスキルだ。


「プレイヤーが購入、作成した樽を100単位で収納、取り出しできる便利なスキルです」

「樽ファンに必須のスキルということですね」

「そうです」


 飲み込みが早い。ユウさんも樽ファンをやった方がいいんじゃないか?


「このスキルを使い」


 1,樽の上に立つ

 2,樽をスキルで収納する

 3,同フレームでジャンプ


 するとあら不思議。

 樽から降りた判定がバグってその場にあるのにない樽が出来上がるのだ。これは一回だけではなく何回でもできる。

 これを検証しまくった。

 樽船の中にいられるのは数分だ。最初は10個が限界だった。

 しかし、繰り返すうちに操作に慣れ、効率が上がる。楽しくなって他にも色々なバグ技を試しに試しまくった。

 するとどうだろう。

 樽が、樽船の中で飽和したのだ。

 そして、どれだけ破壊しようとしても破壊できなかった樽船の底に穴が開いた。

 暗い、暗い穴だった。

 そして、その穴にオレは喜んで飛び込んだ。だって、未知のバグだったから。


「目が覚めたら、知らない海岸に流れ着いていました。その時はがっかりしましたよ」

「それは、どうして」

「結局、樽船が破壊されても同じイベントしか起こらないのかって」


 だが、それは間違いだった。


「初めは気が付きませんでした」


 なんとなく、面白いことが起こると思ったのに起こらなかったことでオレは樽船の検証に飽きてしまった。


「知らない場所だし、探索でもするかと腰をあげて、バンザイをしながら歩きました」

「それも検証の一環なんですか?」

「いえ、特定動作をしながら歩く方が速くなるんです。で、一番簡単な動作がバンザイなんです」

「なるほど」


 バンザイをしながら歩いていたら、違和感を覚えた。


「でも、そんなに早くならなかったんです」


 しかも、異様に疲れる。

 ありえないことだった。

 VRを始めたばかりのであれば脳が疲労感を錯覚することはあるが、そんなものはとっくに卒業している。もちろん、樽ファンには疲労度とかスタミナだとかそういうストレス要素はない。

 もしかして、体調が悪いのかもしれない。

 そう思いながら、ショートカットに崖から飛び降りた。


「しかも、痛かったんです」


 その瞬間を思い出す。

 衝撃と、激痛。

 泣いた。

 痛みのせいだけじゃない、怖くて泣いた。

 

「VRでは痛覚制限があるんです。0にするとリアルに影響があるとかで、痛いな~、と思う程度に」


 だから怪我しても大丈夫だった。

 死んでも笑えた。


「だけど、痛かった」


 痛みだけじゃない。

 血が出た。

 骨が折れた。

 呼吸するたび全身が痛んだ。


「そこで理解しました」

「何をでしょう」



「これ、ゼミでやったやつだって」



 さんざん、漫画やアニメで見た展開。

 ログアウトできない。運営へのコールもできない。VRハードの警告も、強制終了も来ない。


 ゲームの中に、入ってしまった。


 笑えなかった。

 詰んだ。

 ガチ人生終了のお知らせである。

 この時のトラウマからオレは対策なしの落下が無理になった。高所では必ずダメージ軽減用に鍋を被るようにしている。


「どんどん痛みが増して、動けなくて、このまま死ぬと思いました」

「つらかったでしょう」

「はい、でも」


 助けてくれた人がいた。

 この島に唯一ある村の村長だった。

 釣りの帰りだったらしい。

 倒れていた私を見つけ、人を呼んで運んでくれた。


「それが、オレの恩人です」


 手当をしてくれた。

 食事をくれた。

 寝床をくれた。

 そして何より、根気強く話しかけてくれた。

 人見知りで、しかもパニックになっていたオレに。


「いい人だったんですね」

「はい」


 少し笑う。


「だから助けたかったんです」


 ある日。

 事件が起きた。


「村長が壁にはまりました」

「壁に」

「壁に」


 体の半分が、本当にちょうど半分が石壁に埋まっていた。

 意味が分からない。

 村人たちは騒然としていた。こんなことは、見たことがないと。

 オレだけが知っていた。


「昔見たバグでした」

「バグ」

「座標同期エラーです」


 ゲームではたまにある。

 笑い話で済む。


 しかし。


 ここでは違う。

 現実だった。

 村長は苦しんでいた。

 抜けない、動けない、自分がどうなっているかわからない。


「そこで私は勇気を振り絞って立ち上がりました」


 そして。


「まず、樽を積みました」

「はい?」

「三百個ほど」

「なぜ」

「私にも分かりません」


 本当に分からない。

 昔の検証データを思い出しただけだ。

 樽三百個。

 逆向きの看板。

 ニワトリを掲げる。

 特定モーション。

 壁への頭突き。

 そしてジャンプ。


「意味不明ですね」

「ですよね」


 オレもそう思う。

 だが。


「でも、うまくいったんです」


 空間が歪み。壁が震え。村長が吹き飛び。



 バグが消滅した。



「村長は、助かりました」

「よかった」


 そう、良かった。

 だからこそ。


「逃げました」

「え?」


 私は遠い目をした。


「怖かったんです」


 村長は助かった。

 でも、助からなかったものがあった。

 

「考えてみてください」


 村人視点。

 突然現れた大怪我を負ったよそ者。

 そんな男が、急に樽を積む。看板の裏側を凝視する。ニワトリを盗む。謎の踊りを始める。壁に頭突きする。そして、空間が爆発した。


「村人たちは、私への不信感でいっぱいでした」


 オレの尊厳は、助からなかった。

 視線が怖かった。

 それに、恥ずかしかった。

 ゲームと思えばできた行為も、現実だとめちゃくっちゃ恥ずかしい。


「それで、逃げるように旅に出ました」

「それは……」

「でも、同時に思ったんです」



「この世界にも、バグはあるんだ」



 ゲームを受け継ぐような、バグが。

 そして、それに苦しむ人々が、いた。

 バグがあるのに、それを直してくれる運営がいない。

 旅をしていれば、港では様々なうわさ話が聞ける。


 透明になった人。


 空に落ち続ける人。


 同じことしか言えなくなった人。


 消えた人。


 壊れた人。


 ゲームなら面白かった。ネタになった。純粋に笑って、楽しめた。

 だが、こうして自分が転移したら、違う。


「現実、なんです」


 痛い。苦しい。怖い。泣く。死ぬ。

 楽しくない、笑えない。


「放っておけなくなりました」


 少し照れ臭くなる。

 こんな真面目なことを言うつもりではなかった。

 私は元々そんな人間ではない。

 自称デバッカーで。

 リアルコミュ障で。

 ゲームばかりやっていた。

 

「それで、今はバグ消しのために海を渡っています。もちろん、樽船じゃなくて普通の船で」


 バグを起こす方だったオレが、今はバグを直すために旅をしている。

 笑い話だ。

 それにしても、ユウさんにはずいぶん話してしまった。


「ありがとうございます」


 思わず言う。


「こちらこそ、お答えいただきありがとうございました」

「不思議なんですよね」

「何がでしょう」

「私、本当に人見知りなんです」


 だというのに、ユウさんには自然に話せた。というよりも、話過ぎた。

 初対面なのに。

 妙に話しやすい。

 昔から知っていた幼馴染みたいに。


「同じ転移者同士だからでしょうか」


 オレは笑った。


「ユウさんはどこから転移されたんです?」


 そう聞けば、穏やかな声が返ってくる。


「見てのとおりです」

お読みいただきありがとうございました。

気に入っていただければ幸いです。

のんびり続ける予定です。

まだネタはあるんですけれど、よければユウにインタビューしてほしい転生・転移者がいればコメントで教えてください。

その際、特定の作品、または主人公を名指しするのはご遠慮ください。

いただきましたコメントをもとにAIと私がアレンジを加えますので、そのままのネタになるかはわからないことをご了承ください。

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