後始末3.5 思考中
頭の中の会話だけになります。
とは言いましたが。
カーズを助けるって元に戻すってことだよね。
キュドは呪いについては詳しくないと言っていた。
そういった魔法は教会などが詳しいらしい。
確かにシスター・マリアの魔法書にも記載されており、ボクも解呪の魔法は覚えている。
ただシロに聞いた感じでは、今回の件は呪いとは考えにくい。
呪いとは、怨みなどの強い想いが残り、様々な効果を起こすもの。
もし指輪に呪いが掛かっていれば、装着した時点で分かるはずだと言っていた。
カーズが指輪の効果を知っているという事は、何度か使っているか、もしくは誰かが装着したのを見ているはずだ。
今回は二人が言うとおり、条件や対価によるものだと考えていいのだろう。
しかし対処方法があるなら良いが、無いという場合も考えられる。
実際のところどうなのかしら?
教えてシロ先生!
【何故ワシを呼ばん】
……それは貴方の心に聞いてください。
【ポコをからかって楽しんでいるからか? それともポコを馬鹿にしているから……いや、ポコを……】
やめろやめろ!!
それは完全に理解してるってことだ!
【クハハハ!】
『クロ……時間が無いのですから。ポコ、端的に言うのであれば方法はあります』
シロ先生!
ありがとうございます!
【むう。ではワシも真面目に答えようではないか】
あら、クロ先生が教えてくれるのですか。
【だがシロの様に素直に教えてはポコの為にもならん。少し考えてもらうとしよう】
『確かに考える事は大切ですね。ではワタシは捕捉程度にしておきましょう』
あ……
いえ、素直に教えて頂いて構わない……
【では! 第一問!】
お、おお……
問題形式ですか……
【今回の事象が契約条件や対価であったとする。どんな可能性があり、どうすれば治せるかを考えるのだ】
ホウホウ、なるほど。
対価ってことは支払われた物なんだから……
あれ? 返してもらうしかなくない?
【20点!】
えー!
赤点ですか!?
『クロはどんな可能性があるか、と聞きましたよ』
ああ、そうか。
術者の体を乗っ取ってるって……
自分自身を対価にしてる位しかないような。
あれ、それだ前に使った人も分かるはずだし。
何で今回だけ?
対価が数回に分けて渡されるとか?
もしかして対価が自分自身じゃないとか……?
『結果から仮説をあげ、それを問う。とても良い考え方ですよ』
【因みにワシは対価だけとは言っておらんぞ】
え? 対価だけじゃないって、条件ってこと?
同じじゃないの?
『少し違います。対価が条件となっている事も有りますが、条件にそぐわない場合に対価を差し出す事もあります』
【自分より強い事が条件で、それが叶わないのであれば金を差し出せみたいなものだな】
おー! わかりやすい。
相変わらずクロは例え話が上手いですね。
しかし、そうなると考えの幅がかなり広がるね。
まあ、流石に絵本じゃないし「我が魂を糧に悪魔よ、ここに召喚せよ!」みたいなのは現実的じゃないってことか。他の条件が通用するなら、そっちにするし。
【そんなことはない。人を遥かに越える力を欲するなら、魂を差し出す者は大勢いる】
『そうですね。自分の家族が重病にかかり、それを救わんがために魂を差し出す。そんな話しは珍しい事ではありません』
藁にもすがる思いか……
それなら、わかる気もする。
って話がそれたね。
カーズの場合が条件に合わず、対価に自分を渡さなくてはいけなかったとすると……
そんな条件に当てはまることは……
単純なのはファルナの質が違うとか、量が足りないとか……
あ、状況で考えると、蛇を無事に帰還さないといけなかったとか?
そもそも蛇を操るのに相応しい力が必要だとか。
……って考えれば考えるほど出てくるんじゃない?
『そうです。条件など相手が良ければ何でもいいのです』
【なら対処はどうするかだ】
え? え?
条件は相手次第だから?
ダメだったから対価を取られたわけで……
相手と話して許してもらうとか……
【40点!】
ちょっと上がった!
『契約条件をつけられると言うことは、意思疎通が可能だと言うこと。合意が得られれば契約は解除できます』
なるほど。
とにかく謝って許してもらうとか……
【ポコよ。オマエがお金で雇われる契約をして、払えなかったから物で支払われたとする。その後で謝るから物を返せと言われて、オマエは謝ったからと言って返せるのか?】
いや、それは道理が通らない。
……って、そう言うことか。
渡した対価以上に見合う物が必要になるわけだ。
『そうです。カーズの精神を侵食してるのであれば、対話も容易でしょう』
【後は相手次第だが、他の物などいらんと言い出す者はおるだろうな】
エー、それは困るなぁ。
そうなったらどうすれば良いの?
【身体ごと消し去られるのと、変わりで我慢するのと、どちらが良いかと言ってやれ】
もともこもない!!
単なる脅しじゃないですか!
『いえ、極端ではありますが間違ってはいません。交渉次第と言うことです』
ホウ……?
交渉能力次第ってことですか。
あくまでも手段のひとつってことですね。
【まあここまでは正攻法の話だな。勿論強制的な方法も幾つかある】
……脅しも十分強制的だと思うけど。
でもそれ以上だとすると、相手の都合なんてお構い無しな方法ってことだよね。
【ウム。今回の場合で何か考えてみるといい】
お、おう……
でも少しは理解してきたと思うな。
カーズの身体に干渉できない様にすればいいんじゃないかな。
まだ乗り移る前なら、入ろうとするのを止めればいいし。
流石に入り込むのに姿を現さない訳がないよね?
今の状態は入りかけてるとか、侵食してるって感じだし……
でもピピルの話だと他に誰かがいるって事も無さそうな。
あれ、じゃあ何処から……って指輪を媒介にしてとかかな?
じゃあ、指輪を壊すってのも方法の1つ?
『良い考え方です』
【ウム、ようやく及第点に達したか】
ありがとございまーす!
【まあ簡単には壊れんだろうし、完全に乗っ取られた場合だと厄介ではあるがな】
『他に外部から操ろうとする場合では、相手の魔法を遮断したり、本体を探して退治するなどの方法になりますね』
あーそうか。
乗っ取るっていっても、実際に身体に入ってこない場合もあるのか。
【では第二問!】
エエー! まだ続くのー!?
【何を言っとる。1つで終わるなら第一問とは言わんかったわ】
確かに……
これは納得するしかない。
【何故、最終的に身体や魂を欲しがるのか、と言うことだ】
え……何故か? 深く考えたことはなかったな。
物語とかで良くそんな話を聞いていたから、そんなものかと思っていたけど。
そうか、理由があるんだよね。
『ポコならどうですか? 相手の身体を求めますか?』
相手の身体を求める……
例えば……誰の……
【何を想像しておるのだオマエは】
コ、コホン!
乗っ取るためにって意味だよね!
まあボクならいらないかな。
だって、自分の身体があるし、2つあっても……
ってそう言うこと?
自分に身体がないから欲しいの?
【ウム、その場合が多いだろうな】
『身体がない、もしくは違う次元にいる者が現世に影響する為には器が必要となるのです』
なるほどね。
なんと無く分かった気がするな。
【では魂は何故だ?】
む、魂は皆も持ってるしな。
一体何に使うんだろ?
食べるとか……
【そんな場合があるのは確かだ。だが正解とは言えん】
あ、やっぱりあるにはあるんだ。
でも、もっと使い道があるってことだよね。
魂……魂……
そもそも魂でボクが知ってることってなんだ?
ファルナを生み出すとか……
生まれ変わって引き継がれるとか……
むしろ、それくらいしか知らないような。
『知っている事から考えれば良いのです』
……え?
転生とファルナ。
まさか、いや辻褄は合うけど……
ホントにそうなの……?
【なんだ? 答えてみよ】
……ヒトとして転生するため?
【そうだ。現世にヒトの身で産まれ立つためだ】
やっぱり……
でも納得がいったような気もする。
【ホウ? 何を納得したのだ?】
いや、精霊や悪魔とかがヒトに転生するなんて話しがあるけど、そもそもなんでヒトなのかなって。
それなら悪魔が精霊に転生してもおかしくないわけだし。
いや、知らないだけであるのかもしれないけど。
それに悪魔ならまだしも、精霊に死ぬって概念があるの?
悪魔だって身体が滅ぼされても、精神? が向こうの世界に戻るだけ。そんな感じのイメージだったんだけど。
死なないのに転生するのもおかしいよね?
『素晴らしいです。そこに気が付いていたのですね』
あらやだ、何だか照れ臭いです。
【言われるがまま、何も考えぬ者には決して行き着つくことのない考えだ。中々に成長したものだ】
まさかクロ先生まで誉めてくださるとは!
今後とも精進致します!
……でも転生については納得したけど。
身体を奪うのとは何が違うの?
転生だなんてそんな面倒な方法とらなくてもさ。
【それこそファルナの問題だな。身体を奪った場合ではヒトの域を越えることはできん。所詮は器として扱うだけとなる】
うん、なんと無くは分かるかな。
元のヒトが基礎になってるようなものだね。
あれ、でも悪魔に乗り移られたら急に強くなったりするんじゃないの?
本の中では「我身体を得たり!」みたいな感じで暴れてだけど……
『ファルナの扱い方の問題ですね。ファルナを体外に出すことも出来ない者が、急に魔法を使える様になったらそう思われるでしょう』
あー、そうか。
使い方が上手くなっただけで変わってないってことか。
剣を握った事もないヒトが、急に剣を上手に扱えるようになっても同じだよね。
【ウム。転生であれば自分の魂が混ざり、そのまま上乗せになると考えれば良い】
それはヒトを超えた才能を持って産まれることになるよね……
なるほど、前にもその辺は聞いたかもしれないね。
崇められたり、逆に虐げられたりって。
『精霊であれば気まぐれや好奇心で転生することもあるでしょう』
【下級悪魔なら自分を信仰させる程度で満足するだろうな。多少できる程度で大した力は無いがな】
『他の場合もありますが、大分話がそれましたね。霊的存在との契約については多少は理解できたのではないですか?』
うんうん。
少しはわかった気がするよ。
カーズに関しても取り敢えずの対策は練れると思います。
ダメでも応用すれば何とかなりそうな気もする。
早速実行に移りたいと思います。




