祭り
短いですが…
切りがよいところまで…
ボクとキュドは再びギルドへと足を向ける。
村長はボク達が戻ってきたのを見ると、泣きながら駆け寄ってきた。
「ありがどうございまず!」
「イエイエ……ボク達の落ち度でもありますので」
村長は鼻をすすりながら何度もお礼を言っていた。
認定式は直ぐにでも始めたいそうで、皆と共に会場の脇で待機することになる。
暫くしてから村長の声が、拡声器にて村全体に響き渡る?
「えー、長らくお待たせ致しました! これより認定式を開催したいと思います!」
ボク達は壇上へと案内され、横一列に置かれた椅子に腰をかける。次第に人が増え、かなりの人だかりが出来てくる。
「へーあいつらが!」
「凄い美人だな……」
「変な仮面がいるぞ?」
「あれがキュド……」
集まった人から様々な声が聞こえてくる。
好奇の目に晒される状況は何とも言いようがない。
「なんか……晒し者みたいですね……」
「ぬう……これは落ち着かんな」
赤雷はそう言うと腕を組んで目を閉じて黙ってしまった。
ボクもできるだけ周りを見ないようにして待つことにした。
町長が壇上にあがり、一礼した後に話始める。
「皆様、お集まり頂き有難うございます。今回の認定式は今までに無い……」
お決まりの挨拶がしばらく続き、来賓の紹介が始まる。
そんな中、聞き覚えのある名前が紹介された。
「セントリアからはザムル・ガラント市長が……」
来賓席で立ち上がった男性を見ると、少し禿げた頭に跳ね返った髭、ちょっと前に見た懐かしい顔が見える。
うん、これは丁度良い。
後で道化師コロネルについて聞かせていただこう。
来賓の紹介が終わると、到達地点や探索期間について報告される。
その報告内容には観衆からどよめきが沸いていた。アルドの洞窟に入ったことのある冒険者には信じられない期間なのであろう。
町長の話が終わりに近づくと、ようやくボク達がよばれる。
「ではキュド殿はこちらへ、同行者の皆さんはご起立ください」
町長は一枚の紙を渡し、キュドは深々と礼をして紙を受け取る。
「それでは盛大な拍手をお願い致します!」
観客からの拍手と共に、数発の花火が上がり、賑やかな演奏が聞こえてきた。
ボク達は壇上から、食事が並ぶテーブルへと案内された。
「暇な時間じゃったのう……」
「この食べ物……全部食べて良いのか?」
銀鈴は疲れたのか大きく伸びをしており、アエーラは目の前に並ぶ食事に釘付けである。
「どうぞどうぞ! ゆっくりと食事を楽しんでください」
「では……!」
アエーラは次々に食事を口の中に運び込み、みるみるうちに目の前の食べ物が無くなっていく。
「ハハハ……見事なたべっぷりで……」
村長は少し引気味にそう言うと、小走りで立ち去っていく。どうやら食事をもっと準備してくれと頼みに行ったようだ。
「おう、久しぶりだな」
声がした方を見ると、ガラント市長が手をあげている。
「あ、市長、お久し振り……と言う程でも無いような……」
つい最近の様にも思えるが闘神祭から1ヶ月近く経過している。
あまり実感はわかないけども、確かに久しぶりになるのかもしれない。
「しかし相変わらず大したものだな!」
そう言って笑いながら、ボクの肩をポンポンと叩いていた。
「あの市長……」
「ん……なんだなんだ?」
「何やらシリアルキラーやら……道化師コロネルとか……一体どうなってるんですか?」
市長はそう聞くとガハハと笑っていた。
え、笑うところじゃ無いような……
この仮面……結構気にいっているのに……
ただ被ってるだけで殺人鬼あつかいですよ?
「スマンスマン、まあ噂の独り歩きと言うやつだな」
市長の話では闘神祭の事件の後、間違いなく真相は報告されたと言っていた。
しかしながら大きな事件だった為か、尾ひれの付いた噂が広がったそうである。
「闘士達は捕まったんじゃなく、コロネルに殺された」
「闘神祭を辞退したのは逃げるため」
「コミカルな試合は油断させるための演技」
「笑い顔を隠すためにあの仮面を付けてるらしい」
そんな噂からシリアルキラーやら道化師という称号が付けられたようである。
「捕まった闘士の生存なんて一般人にはわからん。噂なんて面白い方に転がってしまうもんだ」
何だか納得はいかないが、噂に尾ひれが付くのは仕方がないのかもしれない。
「まあ牢屋から何人か出てくれば、そんな噂も無くなるだろう……たぶん!」
たぶんでは困るのだけど……
まあ人の噂も何とやら、出所が理解できただけでも良しとしよう。
お祭りはかなりの盛り上がりを見せていた。
初日のキュドの講演では、子供たちが眼を輝かせて話を聞いており、冒険者たちの中にはメモを取っている者がいた程である。
2日目以降には様々な出し物や余興が繰り広げられた。
腕相撲大会は圧倒的な力の差を見せつけた赤雷の優勝である。
本来であればそこで終わる所、銀鈴の一言で誰でも赤雷に挑戦して良い事になり、子供や大人が数人がかりで挑戦するなど、ほのぼのした光景も見られた。
音楽に合わせた踊りの催しでは、以外にも素晴らしい踊りを見せた銀鈴が皆の視線を独占していた。
赤雷がいつも近くにいたので、話しかけてくるような男はいなかったけど。
大食い大会ではアエーラが100個のパンを食べて余裕の優勝を見せる。
準優勝との差も30個以上あり、他の出場者のギブアップで終了となる。
綺麗な女性が優勝ともあり、会場は大盛り上がりを見せていた。
アエーラはまだまだ食べ足りなそうな顔をしていたけど。
ハーピーが食欲旺盛なのは知っているが、アエーラはその中でも特別なんじゃなかろうか?
大道芸人たちが見せる出し物には、銀鈴にピピル、それにクロも満足していた。
途中からキュドが参加して、皆が知らない魔法を見せることで大歓声があがっていた。
因みにボクはと言うと……
道化師コロネルと言う名前が知れ渡たっていた……
怖いもの見たさに近づく人はいても、話しかけられる事は皆無である。
余興を見ながら大人しく食事を取り、たまにガロウに食事を持って行く。
その繰り返しで一週間が過ぎる事になる。
ま、まあ十分楽しんではいたんですけどね!
祭りが終わった次の日には、賑やかだった通りも閑散となっていた。
村長からは前回よりも数倍の盛り上がりを見せたと、何度もお礼を言われてしまう。
ただ次回は今回のような盛り上がりは見せないだろうと、少しさみしそうでもあった。
という訳で、ついに学園へと向かう時が来たわけである。
期間は残すところ約1ヶ月。普通に進んでは結構ギリギリと言える。
銀鈴と赤雷、それにキュドは、フウラに乗って王都へと向かう。
アエーラは自分で飛んでフウラに付いていく形だ。
ガロウは数か月で鬼人に対する気持ちも変わってきたようだが、フウラに乗っていくのは抵抗があるらしい。
ボクはガロウに乗って向かうことになり、ピピルはガロウの毛皮がお気に入りのようで、ボク達と共に向かうと言っていた。
皆を先に行かせて……
見つからないように学園へ……
そんな考えが少し頭をよぎったのだが……
『銀鈴とキュドが、学園に乗り込んできたら大変ですよ?』
シロのその一言で却下となる。
クロはそれはそれで面白そうだと笑っていたけど……
それだけは勘弁してもらいたい……
と言うわけで、結局は同じペースで向かう事になり、一緒に行動しているのとほとんど変わらない。
皆が飛び立った後、静かになった村を振り返り、ここでの出来事を思い返す。
唐突にダンジョンに向かい。
賑やかなパーティでダンジョンを探索。
最深部でドラゴンの誕生を目の当たりに。
新しい仲間が増えて、村を上げたお祭りに参加して……
なんだか本当に現実の事なのかと疑ってしまうほど、色んなことを経験できたと思う。
「さあさあ! ボク達も早く行こうよ! 置いてかれちゃうってば!」
ピピルが服を引っ張り、ガロウの背に乗るように急かしてくる。
「じゃあガロウ、王都までお願いね」
「了解しました!」
そう言うとガロウは颯爽と走り出す。
「ヒャー! はっやーい!!」
ピピルはガロウの毛をしっかりと掴んで、吹き飛ばされないようにしている。
王都まではあと少し。
今度はどんな体験が待っているのかと期待に胸を膨らませて、山頂の村を出発した。
次回は王都に到着となります。
暫し今までの投稿の修正も行おうかと思います、また間隔が空くかもしれません。
そして…ようやく学園生活が書けるのかなと嬉しく思います!
読んでくれる人がいるのは非常にうれしいですっ




