11/14
2-3. 少女と犬
私は今、森の中を彷徨っている。
マスターにバレたら大目玉を喰らうことは間違い無いだろう。
***
発端はひとりの少女だった。彼女は衰弱した子犬を抱えて私を訪ねてきた。
「おねがいです。」
少女の西部地区の住宅街にあるらしい。騒音に悩まされているのは彼女の家も同じみたいだが、特に彼女の愛犬がその被害を受けたようだ。
遠吠えが響く度に怯え、愛犬は遂に餌を食べる気力も失ってしまった。
日を重ねる毎に衰弱していく愛犬。何も出来ない自分。途方に暮れていた時、少女は私の噂を聞いたそうだ。
「おねえちゃん、とってもつよいんでしょ?」
少女は希望を抱いた瞳で私を見上げる。
「わたしのたからものをあげるから、チャッピーをたすけてください。」
私を真っ直ぐ見据える少女の瞳には、強い意志が感じられた。
少女が手を開く。手の平には綺麗なビー玉やおはじきが乗っていた。




