50話 教会にて
50話目を迎えました。
いつもお読みいただき、ありがとう御座います。
目が覚めた。
「知らない天井だ――。」
ここはどこだ。
俺はどうしたんだっけ――。
今が朝なのか昼なのか、それすらも曖昧だ。
頭がボーッとする・・・。
えーっと。
落ち着いて覚えてることから思い出していこう。
俺は、この町に着いて。その後教会で――。
管理人が―。
再び・・・ここへ来る機会は――。自然―――かる・・・う・・・。
「あ――。よく分からないとこに連れてかれて。管理人ちゃんに――。」
――。
かるうってなんだよ!
そうだ。全部思い出した。
しかし急にさよならしてしまったな。
それに彼女の名前はない――、か。
よし。
“かるうちゃん”とでも呼ぶか!
怒られるかな・・・。
そんなことを考えながら、体を起こすと――。
――。
―――!!!
刹那、俺の全身に激痛が走る。
「ぐっ、ぐああああああーーーーーーー!!!」」
俺は目を見開き、大声を上げると―。
暴れながらベッドから転げ落ちた。
「ぐうううぅ・・・。」
なんだコレ・・・。俺はどうしたんだ――。
短い呼吸を繰り返しながら、必至に痛みに耐えて。
状況を整理するべく、頭を巡らす。
ポーションだ!
急いでストレージから取り出すと、容器の口ごと俺の口に突っ込んだ。
――。
うぅ・・・。
あまり効いてる様子がない。
どうすれば――。
――精神強化を取るように。
―!
急いで、取得可能スキルを開くと。間違えないよう慎重に選択する。
――。
―よし。
そこで俺は力尽きたのか―。
意識がゆっくりと遠のいていくのが分かった。
その瞬間、誰かが俺の体を揺すっている気がした――。
―が。
薄れていく意識にどうやっても抗うことはできず。
そのまま俺は意識を手放したのだった・・・。
☆ ☆ ☆
再び目を覚ますと、俺はベッドに寝かされていた。
うーん。
今、何時だ――。
視界左上のウィンドウに目を向けると、それは14時前を指していた。
―ふう。
俺は・・・。
「ぐっ、ううぅ・・・。」
そうだ。知らない間にここで寝ていて―。
起きたら全身に激痛が走って。
だが、少しだけ痛みが柔らいだ気がする。
泣き叫ぶ程ではない。
俺はステータスを確認してみると。
サトウ キヨシ <アーレの村>
男 18歳 衰弱
剣士Lv11
そこには健康ではなく、衰弱の文字が。
・・・ふう。
確かスキルを取得して――。
一覧を確認すると、そこには精神強化の文字が。
あのとき管理人ちゃんの話を思い出した俺は。
即座にそのスキルを取得した。
「このスキルのお陰なのか―。」
そんなことを呟くと、部屋の扉が開いた。
「あら。起きてたのね。」
誰だ――。
シスター・・・か?
ふむ。
とすると、ここは教会なのか。
目を僅かに動かした俺は、虚ろな目でそのシスターを見つめる。
「貴方、教会でお祈りした後倒れたのよ。」
「丸一晩、寝てたみたいだったけど。今朝一度目を覚まして、その後また寝てしまったわ。」
そうなのか――。
うぅ。
話をしっかり頭に入れて、整理しようとするが。
言葉がそのまま頭からすり抜けていく様だ。
「・・・そうか。」
一言だけ、その言葉を返すと。
俺の意識はまた遠のいていくのだった――。
それから俺は2週間、ほぼ寝たきりの生活を送っていた。
その間、マイルームに帰ろうと何度思ったことか。
だが、今帰ったとして。
一歩も動けない俺はどうなる。
一番困るのはトイレだろう。
誰かに連れていって貰わないと、することができないのだ・・・。
更に急に教会からいなくなればシスターも心配するだろう。
急に気絶して、介抱してくれたのだ。
追い出されない内は世話になり。
元気になって、礼を言ってから去るのがスジだろう。
ちなみに食事は
毎食、味気ないお粥だった。
よく分からない野菜と、謎の肉が数切れ入ったものだ。
塩気はそれなりにあったが俺にとっては物足りないもので。
2日目には既に飽きており、ただただ我慢しながら食べていた。
まあ。
出してくれるだけでも感謝しないとな・・・。
そして――。
そんな俺を、よく気にかけ介護をしてくれたのは、
可愛い女の子のシスター。
――ではなく。
おばさんシスターのビオラさんだった。
既に子持ちでその子供も成人を迎えているという人だった。
当たり前だが、フラグが立つはずもない――。
まあ。
他にも2人程おばさんが交代で看てくれたが、
一番優しかったのはこのビオラさんだった。
心の中では、時にお母さんと呼んでいたかもしれない。
―ふう。
それにしても。
あのポンコツ娘が――!!
なにが、“ちょっと”痛いかもしれないだ。
あんなにみっともなく泣き叫んだのは。
このサトウキヨシ、18年間生きてきて初めてだ。
精神強化がなかったら、マジで発狂してたぞ・・・。
なにが、管理人ちゃん。かるうちゃんだ――。
ほんと笑わせてくれるぜ!
散々心の中で悪態をついた俺は、彼女に対して見当違いの恨みを向けるのだった。
☆ ☆ ☆
「―ふう。これでお別れか。」
俺は後にした教会をもう1度振り返る。
まあ、何か理由を見つけてまた寄ることにしよう。
そして――。
去る時にだが、あまりに世話になったので有り金の半分を寄付してきた。
こういうことは、しっかりしておかないとな。
うん。苦痛ばかりの2週間だったが――。
人の優しさに触れることができたのは良かった。
なんか本当に、寂しくなってきたな――。
今日からまた1人かよ・・・。
俺はモヤモヤとしたものを抱えながら、
久しぶりのマイルームへ帰ってきたのだった。
活動報告を更新しました。よかったら読んでみてください。
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