突然の再会に驚かされてみて
久しぶりすぎて自分でもドン引きしてます……
荷車を買ってからはやっぱり生活がだいぶ楽になった。肥料を買いに行くときは当然なんだけど、大量に作ったエリクサーを街まで運ぶのにも一役買ってくれている。今までは2人で持てる分しか持って行けなかったから、こまめに売りに行くか作る量を考えないといけなかったわけだ。それが今までの倍以上の量を一度に持って行けるわけだ。
それにレベルが上がってMPも増えた結果、栽培してる植物たちをどんどん収穫できるようになったからポーションも比例して大量に作れるようになったわけだ。具体的には今までは魔力草とそれ以外の植物を別日に栽培してたのが、同じ日にMPを回復しなくても≪聖域≫を発動出来るようになったんだ。これにより売ってる各種ポーションの生産量が爆上げしたのだ。これが今までだったらどんどん作っても街まで持って行けなかったわけだけど、荷車のおかげでその問題も解決してたんだ。まさに荷車バンザイだね。
今日も今日とてポーションを売りに行こう。というわけでベントの冒険者ギルドに来たわけだけど、なんだかギルドの雰囲気がおかしいな。何がおかしいか分からないけど、皆が何かざわついてる様な……?
丁度ナットさんもいるから聞いてみよう。
「おはようございますナットさん。何かあったんですか?」
「あぁコウタロウか。何かあったというか、まぁ見た方が早いよな。見てみな、ボードのとこだ」
ナットさんの言うボードとは、冒険者達に向けての依頼の紙が貼ってある大きい板のことだ。それが壁に掛けられれるわけだけど、冒険者たちはそこに貼ってある依頼の紙を選んで受付に持っていく。それをもって依頼を受注することになるわけだ。
そちらを見てみると成程、普段と雰囲気が違う理由が分かった。その役割から普段このボードの前には冒険者たちがわんさかいるんだけど、今日はそのボードの前には1人しかいない。皆その1人を見てその周りでひそひそと小声で話しているだけなんだ。
後ろ姿だけだと女性ということしか分からない。強いて言えば立ち姿がしっかりしてるというか、雰囲気が凛々しいというか。あれ?あの人どっかで見たことあるような……?
「……ん?あぁ!コウタロウさんじゃないですか。お久しぶりです!」
「ポーラさん⁉」
僕の視線に気づいて振り向いたその人は王国騎士団≪盾の騎士≫であるポーラさんだ。以前僕らからハイポーションを買ってってくれたんだけど、そう言えばあれからポーションの買い取りの依頼が来てなかったな。
というかその服装、っていうか装備はどうしたんですか?王国騎士団の鎧はどうしたんですか?それじゃ普通の冒険者が着てる鎧と変わらないでしょう。
「ポーラさん、その恰好は……?」
「あぁ、実は私騎士団をクビになってしまいまして」
「はぁっ⁉」
ちょっと待ってよ、いくら何でもおかしいでしょ!二つ名持ちの騎士って相当上の位の人なんだよね?何でその人がクビになってんのさ。
「ポーラさん、何か問題起こしたんですか?」
「私は問題だと思ってないんですけどねぇ」
前にも話してくれたようにポーラさんはその魔力量を買われて騎士団入りしたんだけど、防御魔法しか使えないという事もあり周りにあまりよく思われてなかったらしい。そのポーラさんを騎士団に推してくれた方は年齢のせいもありだいぶ前に隠居しているみたいだ。
そしてこの前のウォータイガーの件でポーラさんも作戦に参加したらしいんだけど、彼女の活躍は殆ど無かったみたいだ。ただよくよく聞くとこれは当たり前の話で、ポーラさんの話ではこの作戦にはポーラさんの他に《二つ名》持ちの騎士が3人も参加してたらしい。そりゃポーラさんのヤバすぎる防御能力と同じくらいの攻撃能力の持ち主が3人も居るんだ。ウォータイガーが何かをする前に倒すくらい朝飯前だろう。
それにこれは予定になかったらしいんだけどその戦闘区画に獣人の家族が逃げ遅れていたみたいだ。しかもウォータイガーのすぐ近くに居たらしく、ポーラさんはその家族を守るためにシールドを展開してたらしい。
「そりゃあ仲間を護らないでどうするんだって言われただけなら私も納得しますけど、あの超好戦的な3人が居るんだったらそもそも私なんかいらないんですよ。むしろ他の味方も巻き込まれないように離れてるぐらいですし。だから巻き込まれないようにあの家族を守ってたのに『獣人を優先させるとは何事だ!』って、あんたらの方がウォータイガーよりヤバいって話なんですよ!……という喧嘩をしてしまいまして」
「結果、ポーラさんはいらないって話になったわけですか」
僕が言うのもなんだけど騎士団の人達、馬鹿じゃないの?
これは後から聞いた話だけど王国騎士団の団員、しかも二つ名持ちの騎士がこんなあっさりと辞めるなんてことは普通考えられない事で、ギルド内での雰囲気がおかしかったのはこれが原因らしい。つまり騎士団の人事はどうなってるのかという噂話で溢れかえっていたのだ。
「私は貴族や名門の家の人間じゃありませんし、私を急に辞めさせても色々な意味で誰も困らないんでしょうね。それでこれからどうしようか悩んでいた時、冒険者というのに興味が出ましてですね。誰かの役に立てるような依頼でしたら積極的に受けたいですし、もし護衛の仕事があるなら私のスキルを最大限に活用できるでしょうから」
確かに誰かを、特に非戦闘員を護るという仕事ならこれ以上の適役はいないだろうね。
「冒険者登録は先程終わらせたので、丁度今そういった依頼が無いか探してたんですよ」
「それで今に至るというわけですか。何か良さそうなのありましたか?」
「うーん、ちょっと迷ってるんですよねぇ。コウタロウさんはこの中でオススメとか有りますか?」
「え?いや、僕は冒険者じゃないんですが……」
貼ってある依頼書を見てもどれが良いかなて分かるわけが……あれ?
「これって……」
「これですか。依頼者はベントの冒険者ギルド、つまりここですね。じゃあ早速受注してきますね!」
「あ、ちょっと!」
ギルドマスター!と受け付けに向かうポーラさんを追いかける。まぁどうせ僕もポーションを売りに来た訳だし、ついでに僕もこの依頼についてジャンさんに聞いてみよう。
依頼
魔の森とその周辺、及びそこに潜むモンスターに関しての調査
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