当面の目標を整理してみて
「うーん」
「どうしてんですか?」
「ちょっとこれからの事をね」
夕飯の後、アリスが淹れてくれたお茶を飲みながら僕が考えてる事を話してみる。
「今必要な事を整理しようかなって思ってさ」
「荷車とかの話ですか?」
「そうそう。でも荷車を買うにもお金がいるじゃない?その余裕が今あるかなって」
「あぁそうですね。凄く古いものなら買えるかもしれませんが」
「これからの事を考えるとしっかりした物を買いたいよね」
大きな買い物だし、買ってすぐ壊れたなんて洒落にならないし。
「じゃあ少しお金を貯めないといけませんね」
「今の畑の大きさなら肥料を運ぶのも大丈夫から、現状で考えていけばなんとかなるかな」
体力作りにもちょうどいいからこれはしばらくこのままでもいいんだけどさ。
「畑に関しては今までのサイクルの中に2日間、魔力草の日を取り入れてかなくちゃね」
素人考えにずっと同じ畑で同じ作物を育てるよりはいいかと思い他の植物と場所を交換したりしたり、たまに何もしないで土を休ませたり(期間が身近すぎて効果があるかわからないけど)してたんだけど、魔力草を育てるとなると話は別だ。あれと他の植物を同時となるとMPポーションが必要となってくるし、そんな面倒なことはしなくていいならしたくない。
「それとちょっと話は変わるんだけど」
「はい?」
「レベルを上げたいんだよね。具体的にはMPの上限を上げたい」
今までは生命の危機にはなってないとは言え一度は倒れ、今日は倒れる直前までMPを消費させられたんだ。せめて上限を上げて不意なMP大量消費にも耐えられるようになっておきたいんだよなぁ。
「レベルですか。けれどレベルを上げるにはモンスターとか何かを倒すしかありませんよ?」
あ、やっぱり?
「私は戦えるスキルは持っていませんし、コータローさんは何かありますか?」
「特に……いや、何も無いね。やっぱりそれだと難しいかな」
「当たり前です!冒険者の人たちも何かしらのスキルや魔法を覚えてから依頼を受けるんですから」
あれ?ということは。
「冒険に出る前に覚えるって事は、もしかして僕でもスキルや魔法を覚えられるのかな?」
「それはそうですね。現に≪調合≫スキルは覚えられてるわけですから」
なるほど。それにスキル≪聖域≫もスキルと言いつつ魔法みたいなものだから、普通の魔法も覚えられるかもしれないな。
「そういえば魔法ってどうやって覚えるの?」
「基本的には魔導書を買って覚えるみたいですね。初級のものなら安く売ってるので今の私たちでも買う事が出来ると思います」
へぇ、魔導書って言うと凄く高価なイメージがあるんだけど。
「初級の物ですと生活に役立つ魔法も多いんですよ。それを何度も使って訓練して、戦闘に使えるようにしていくんです」
アリス曰くそれでもちょっと便利になるくらいで冒険者や荒事に関わる人でもない限り買う事は無いらしい。アリス自身、そういった理由から魔法を覚えていないらしい。
「よし、じゃあ先ずはそれを買って魔法を何か覚えよう」
「けれどいいんですか?荷車を買うのが少し遅くなりますよ?」
「うん、その分僕の体力作りになると思えば丁度いいさ」
戦闘中に体力が限界を迎えてそのまま……なんてことになったら洒落にならないからね。できることは今のうちにしておかなくちゃ。
「それとレベルを上げてからの話になるんだけど、この植物図鑑見てると面白そうな植物があるんだよね」
「それなら買いに行けばいいんじゃないですか?」
「それがなかなか市場に出回らないものもあってさ。自生してそうな場所はある程度わかるんだけど今の僕たちじゃ危なそうだからね。いつかレベルを上げて探しにいけたらいいなって」
「え?」
急にアリスの表情がくもってしまったんだけど、どうしたんだろう?
「それってしばらく旅をされるって事ですよね?」
「まぁそうなるかな」
その植物がすぐに見つかればいいんだけどね。
「やっぱり長く家を空けられるんですよね……」
「うん、やっぱりアリスと一緒に行くなら守れるようになってから行きたいからさ。それなりに強くなってからにしないと」
「え?わ、私も連れて行ってくれるんですか⁉」
「え?むしろ来てくれないとちょっと困るんだけど」
何だかんだで僕はまだこの世界の事に詳しくないからね。知ってる人が居てくれた方が心強いし。
「良かった……また置いて行かれてしまうのかと」
「え?あぁそういえば」
アリスのおばあちゃんは仕事に出かけてから一度も帰って来ていないのだ。確かに僕も同じようにならないとも限らないだろう。
「置いてなんか行かないよ。異世界を一人旅なんて柄じゃ無いし、さっきも言ったけど一緒に来てくれないと僕も寂しいからさ」
「はい、どこまでもコータローさんに付いて行きます」
「それにこの話はだいぶ先の話だよ?とりあえず目の前の問題を順々に解決していこう。先ずは魔法を覚える事と体力作りだ!」
「分かりました!一緒に頑張りましょう!」
よし、今後の目標もある程度決まった事だし、明日からまた頑張ろう!
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