第九十二話 アンブローズ
三章の人物紹介を載せました。
「街の人の被害はどんな感じだ?」
俺は辺りを見回しながらそう言った。
「死人は出てないわ、怪我人は結構出てるみたいだけど、みんな軽傷みたいよ」
「それなら私が治しちゃいますね、エリア・ヒール」
レーナが魔法を発動すると、大通りを薄い白い光が包み込んだ。すると、住民達の怪我が凄い勢いで治り始めた。
「すげー‼︎怪我が治ってるぞ‼︎」
「こんな魔法初めてみた‼︎」
「ありがとうございます‼︎」
住民達は、レーナの魔法に驚き、近くにいた者はレーナにお礼を言っている。すると、屋根から降りてきたディーモが近づいて来て声をかけてきた。
「レンさん、ありがとうございます。おかげで死人が出ないですみました」
「それはいいんだが、これはどういう事だ?」
俺の問いにディーモは笑顔で話し始めた。
「昨日レンさんがアンブローズを倒すって宣言しましたよね?その後、街にその話しが広まったんですけど、助けて貰うだけでいいのかって話しが出て、自分達も手伝おうという事になり、こうして人が集まったんです」
「成る程な、そういう事か」
俺はディーモにそう返事をした。
「お疲れ様です、レンさん」
「ん?」
俺は声のした方を振り返ると、そこには商業ギルドのギルドマスターが立っていた。ギルドマスターは眼鏡をかけた男性で、仕事が出来る男と言った風貌だ。
「どうして、ここにいるんだ?」
「いえ、私達もお手伝いをしようと思いまして、彼らが使っていた剣は我々が仕入れた物で、元々は兵士に渡す物だったんですよ。ですが今ある数では、全員分を用意する事は出来ませんでしたがね」
成る程な、平民が武器を所持する事が、許されていない帝国で、なんで剣を持っている人がいるのかと思ったがそういう事か。
「そういう事か、俺達はこのままアンブローズの屋敷に向かうが、そっちはどうする?」
「私達も行きます」
「私も行きます」
俺の問いにディーモとギルドマスターがそう答えた。すると周りで話しを聞いていた他の住民達も、武器を手に持ち頷いている。
「私達の準備も大丈夫だよ」
リオンがそう言い、リアナ達も頷いている。
「よし、それじゃあ、屋敷まで案内を頼めるか?」
「はい、任せて下さい」
俺達は、大勢の住民と共にアンブローズの屋敷に向かった。
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<アンブローズ視点>
ドンッ‼︎
「ぶふっ、お、遅いぞ‼︎あいつらはまだ、こ、来ないのか、早く私の前で処刑しろ‼︎」
私は机を叩きながら、目の前で頭を下げる兵士を怒鳴りつけた。
「申し訳ありません、少し遅れているようですが、じきにやってくるでしょう」
兵士は頭を下げた状態でそう言った。そうだ、これが私に対する正しい対応なのだ、なのにあいつらは平民の癖に、私に逆らうだけでなく、怪我をさせるなど、絶対に殺してやる‼︎
「ぶふっ、し、しかし、あいつらの、300人の兵士がいる事を知った直後の、怯える姿を見れないのは、残念だ、ひひっ」
私の怒りはあいつらの、怯える姿を考えると少し収まった。ああ、早くこの目で見たい。
すると、外が少し騒がしくなってきた。
「ぶふっ、き、来たか?お前、そこの窓から、早く確認しろ」
「はい……………なっ‼︎」
兵士は、私が今座っている場所の正面、つまり兵士の後ろにあった窓まで行くと外を確認した。すると兵士が突然、驚いたような声を上げた。
「ぶふっ、どうした‼︎何があった‼︎」
「アンブローズ様‼︎外をご覧下さい‼︎」
私は席を立ち、窓のところまで行き外を確認した。
「ぶふっ、な、なんだこれは‼︎」
そこには、私の屋敷を囲むように大勢の街の住民が詰めかけて来ていた。しかも手には武器を持っているようだ。集団をよく見ると、2人増えているが、先頭に昨日私に怪我を負わせた奴らがいた。
「ぶふっ、な、なんで奴らが自由な状態でここにいるのだ‼︎兵士達はどうした‼︎」
「わ、私にもわかりません」
兵士は首を横に振りながら、慌てて答えてきた。
「ぶふっ、す、すぐに待機させていた、兵士を門の所に向かわせろ‼︎」
私は兵士にそう指示を出した。




