第九十三話 捕縛
俺達は大勢の住民と共に、アンブローズの屋敷に向かっていた。
「なあ、気になったんだが、帝国で平民は武器が持てないんだろ?動物の狩りとかしないのか?」
「狩りはやりますよ、ですが基本的に罠で行っています。禁止されているのはあくまで、武器の所持ですので、解体用のナイフなどは許されてるのですよ」
俺の質問には、商業ギルドのギルドマスターのアルバが答えた。言われてみれば、住民の中にナイフを所持している人が何人かいる、あれは解体用のナイフなのか。その後暫く進むと、アンブローズの屋敷に辿り着いた。
「ここがアンブローズの屋敷です。それとレンさん、アンブローズは出来れば生け捕りにして貰えませんか?今ここにはいない住民がかなりいますので、公開処刑と言う形で皆に解放されたという事を伝えたいのです」
「ああ、分かったアンブローズは生け捕りだな」
俺達はアンブローズの、門の前に立ち屋敷を見上げた。住民達は屋敷を囲むように広がっている。
すると、屋敷の扉が開き、15人程の兵士が出てきた。
「まだ、兵士が残ってたんだな」
「でもこれで本当に最後じゃない?」
俺がリアナと会話をしていると、兵士達は剣を手に持ち、近づいてきた。
「お前ら武器を捨てて、大人しく拘束されろ、すぐにお前らを捕まえる為に300人の兵士が戻ってくるぞ、お前達もだ‼︎こんな事をしてただで済むと思うなよ‼︎」
兵士は門の向こう側から、最初は俺達シークレットに向けて言ってきたが、後半は住民達の方を見ながら言った。もしかしてこいつら、俺らが兵士達から逃げてきたか、兵士達と会っていないと思っているのか?
「武器を捨てるのはお前らの方だ。その300人の兵士は、俺達が全員殺したぞ」
「はっ、そんなハッタリが通用するかっ」
兵士は俺の言葉を鼻で笑って、全く信じていない。
「はあ、仕方ないな、フレアこれ頼めるか?」
「任せろ」
俺が門を叩きながら言うと、フレアは俺達の前に出た。俺達は少し後ろに下がり、フレアを見ている。すると、フレアは拳を振りかぶった。
ドガアアアアンン‼︎
そのまま門の中心に拳を叩きつけると、門は兵士達を巻き込みながら屋敷に突っ込んでいった。
「さすが我だ、完璧だな」
「ありがとな、フレア、そんじゃアンブローズを捕まえに行きますか」
「レンさん‼︎」
俺達が屋敷に向かい歩き出そうとすると、1人の住民の男が俺を呼びながら、アンブローズの屋敷の敷地の中から走ってきた。
「ん?どうした?ていうかなんでそっちから来たんだ?」
「アンブローズは屋敷の中ではなくて、裏庭にいます、とにかく来てください」
俺達は、その男の後について裏庭に向かった。
「俺の妻をよくもっ‼︎」
「てめえは絶対に許さねえ‼︎」
「死ね‼︎豚が‼︎」
「ぶふっ、や、がふっ‼︎、やめろ、わた、私は、がっ‼︎」
裏庭に行くと、住民達が何かを囲むように集団になっていた。俺達はそれをかき分けて集団の中心に行くと、そこにはボロボロの2人の兵士と同じくれたボロボロのアンブローズと、アンブローズを袋叩きにしている住民達がいた。
「お前ら一旦やめろ‼︎」
俺が声をかけると、住民達は俺達の事を知っていたのかやめてくれた、まあ、顔はフードで見えないから、この格好で判断したんだろうが。だが怒りは全然収まってなさそうだ。
「それで?これはどういう状況だ?」
「はい、俺達がこの屋敷を囲んでから少ししたら、屋敷の裏口からアンブローズとこの兵士2人が出て来たんです、俺達に道を開けろだの、私は貴族だからなんだの、わめき散らしてきましたが、まあ、無視をして数に任せて、倒しました。兵士は剣で応戦してきましたが、流石にこの人数差では負けませんでした。ただ怪我人は出てしまいましたが、それで俺はレンさん達を、塀の中を突っ切って呼びにいったんです」
さっき俺達を呼びにきた男がそう説明してくれた。
「なるほどな、とりあえずレーナ、治療してやってくれ」
「はい、任せて下さい」
レーナは笑顔で返事をすると、血を流している住民達の所に向かった。
「恐らく私達が正門で戦ってる間に、裏口から逃げようとしたんだろうね」
「まあ、多分そうだろうな、兵士を捨て駒にして、自分だけは助かろうとするなんて、最後までクズ野郎だな」
そう言いながら、倒れているアンブローズを見ると、俺達の方に顔を向けて話しかけてきた。
「ぶふっ、お、お前、私を助ければ、す、好きなだけ金をやろう、早く、私をたす、げぶっ‼︎」
「はぁ、さっさと拘束するか」
俺は溜息をつきながらそう言った。アンブローズがまだ、往生際の悪い事を言ってきたが、フレアが顔面を踏みつけて黙らせたのだ。
「レンさん、アンブローズの事は、私達商業ギルドにお任せ下さい。しっかりと処刑しますので」
「分かった任せる、だけどその前に他の人達に説明しないとな、処刑はいつになる?」
アルバは、少し考えてから口を開いた。
「処刑の準備がありますが、出来るだけ早い方がいいでしょう、明日の正午に中央広場で行いたいと思います」
「分かった、みんな‼︎聞いてくれ‼︎アンブローズはこのまま捕まえて、明日の正午に中央広場で公開処刑を行う‼︎アンブローズへの怒りは収まらないだろうが、それはみんな同じだ‼︎だからここにいない人達にも、この事を伝えてくれ‼︎」
俺がそう言うと、アンブローズを睨みつけていた住民達は、この話しを伝える為に動き出してくれた。
「レンさん達は、この後どうするおつもりで?」
「これから仲間と相談するから変わるかもしれないが、俺はアンブローズの処刑を確認したら、帝都に向かおうと思ってる、早めに帝国、全部を変えなきゃ、ここも商業ギルドだけじゃ長く持たないだろ?俺達の目的も帝都にあるから、そのついでにな」
すると、アルバは申し訳なさそうな顔をした。
「ええ、任せて欲しいと言いましたが、この事が帝国に知られたら、この街に軍を向かわせられるかもしれませんからね、レンさんどうかお願いします、帝国を変えて下さい」
「ああ、まあ、俺達の目的もあるからな、任せろ」
俺は頭を下げるアルバにそう言った。
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<???視点>
私は建物の屋根の上から、アンブローズの屋敷の裏庭にいる、フードを被り顔を隠した5人組を見ていた。
「アンブローズが倒されたみたいね、これは早く伝えなきゃ行けないね、この事をすぐに伝えて、私はこのままあいつらを監視するから」
私は隣にいる、仲間にそう言った。
「分かった、出来るだけ急いで戻ってくるけど、気をつけてね」
返事をすると、屋根の上を跳びながら移動して言った。
「ん?移動するみたいね」
私は5人組の後を追った。




