第八十五話 出発
次の日の朝、俺達は宿の前で、コル爺を待っていた。すると、通りの向こうからコル爺がやってきた。その手には、1枚の収納袋を持っている。
「遅れてすまんのう、これがレン君達に渡す魔導具で、こっちがサーラのじゃ」
コル爺はそう言いながら、手に持っていた収納袋から、6枚の収納袋を出した。俺がその袋をじっと見ていると、視線に気づいたのか、コル爺が説明を始めた。
「ん?ああ、これはちょっとした裏技みたいなものでな、収納袋に収納した後に、その後他の収納袋に入れても、中に入れた物までは容量にカウントされないんじゃ、収納袋1枚分の容量しか使わないからのう、これをすると、1枚の収納袋に大量に物を入れる事が出来るんじゃよ」
「なるほどな、言われてみればそうだが、思いつかないもんだな」
俺はそう言いながら、1枚の収納袋を受け取った。リアナ達もそれぞれ1枚ずつ受け取っている。
「レン君達の収納袋には、全部同じ物が入っている、旅と戦闘で役立ちそうな物をいろいろと入れておいたからのう、サーラの方には、頼まれていた魔導具と生活に役立ちそうな物を適当に入れておいた、中には使い方を書いた紙も一緒に入れて置いたから、問題は無いはずじゃ」
「ありがとうな、コル爺」
俺のお礼の後に、リアナ達もコル爺にお礼を言った。
「そうだ、それとコル爺、サーラが使えるステルスって魔法知ってるか?それと同じように出来る魔導具ってあるか?一時的で大丈夫なんだが」
「それなら、さっき渡した魔導具の中にあるぞ、ちょっと袋を貸してくれ、ええーと、これじゃ」
コル爺は俺が渡した、収納袋から、陰陽師もののアニメや漫画などでよく見るお札の様な物を取り出した。
「これは、魔法を込める事が出来る魔導具なんじゃ、ファイアー・ボールなどの攻撃魔法を込めたなら、魔法名をいいながら、札を前に投げれば投げた方向にその魔法が発動する、ライト・ヒールやステルスの様な魔法なら、魔法を使いたい対象にこの札を貼り付けて、魔法名をいえばいい、こっち側を押し付ければ、簡単に張り付くからのう、じゃがこの魔導具は消耗品でのう、1度しか使う事が出来ないから、気をつけるんじゃぞ、この魔導具はレン君達の収納袋には5枚入っておる」
コル爺は、最後の部分は札の裏側を、指差しながら、説明してくれた。
「込めるって事は、誰かに入れて貰うんだろ?それはどうやるんだ」
「それは簡単じゃよ、込めたい魔法を使える者が、この魔導具を手に持って、普通に魔法を発動すれば、自動的にこのお札に収まる様になっておる」
「分かった、ありがとな」
その後、少し話しをして、俺達は出発する事にした。
「それじゃあ、もう行くな、見送りはここまででいい、いろいろとありがとうな」
「じゃーねコル爺、魔導具が壊れたら、また来るよ」
門まで見送りに行くと、言っていたが、流石に悪いので、ここまでにして貰った。
「ああ、またメイカーに来たら、是非儂の開発室に寄ってほしい、それとレン君、いいアイディアをありがとう、レン君のお陰で魔導砲は完成したからのう」
「俺はちょっと知ってる事を教えただけだ、あれはコル爺が凄いから出来たんだ、じゃあな、また会いにいく」
リアナ達もコル爺に別れの挨拶をして、俺達は門に向かった。
門を出た俺達は、暫く歩いて門から離れたところで、道を外れて、道から離れた場所で止まった。
「この辺でいいかな、それじゃあフレアちゃん、私が魔法をかけてから、龍の姿になってね、ステルス」
サーラの魔法で、フレアの姿が見えなくなり、少し待つとフレアから声がかかった。
「龍の姿になったぞ、そのまま前に進め、翼の上に乗れるから」
姿は見えないが、前に進むと何かを踏んだ感触があった為、フレアが翼の下げて背に乗りやすいようにしてくれているのだろう。
「よし、全員乗ったぞ、サーラ俺達にも魔法をかけてくれ」
「ステルス、うん、これで大丈夫、フレアちゃんよろしく」
「了解だ、行くぞ」
フレアはそう言うと、俺達を乗せて空に飛び上がった。
行きと同じで、約半日でエルフの里まで戻ってくる事が出来た。空の上では、それぞれ5枚ずつ持っているお札の魔導具の内、それぞれ2枚にサーラがステルスの魔法を入れてくれた。これで帝国にバレずに入る事が出来るだろう。
フレアはサーラを地面に下ろした。
「それじゃあ、またエルフの里によってね」
「ああ、世話になった、特訓とか色々ありがとうな、またな」
俺は龍の姿のフレアの背の上からそう言った。
「特訓してくれて、本当にありがとう、おかげで強くなれたわ、またね」
「サーラさん本当にあるがとうございました、また会いましょう」
リアナとレーナも、別れの挨拶と特訓のお礼を言っている。
「またな、サーラ、ここでの生活楽しかったぞ」
「また、その内寄るよ」
フレアもそう言い、リオンは慣れたようすでそう言った。
「うん、みんな、またね〜」
そう言いながら手を振るサーラに、手を振り返しながら、俺達は空に飛び上がった。
「それじゃあ、帝国に向かうぞ」
「ああ、頼んだ」
俺達は帝国に向かって出発した。
次回から新しい章に入ります。




