第七十七話 コル爺の魔法
「それじゃあ、少し待ってくれんかのう、すぐに準備を済ませてくる、レン君達も何か準備があるなら、ここに呼びにきてくれんかのう?」
「いや、俺達は特に準備する物はないから、ここで待ってる」
俺の返事を聞くと、コル爺は奥の部屋へ向かっていった。
「魔導兵とか魔導砲なら、俺の収納魔法で運ぶぞ?容量なら心配いらないから」
「それは、ありがたい提案じゃが、儂の方でどうにか出来るから大丈夫じゃよ」
コル爺は一度止まって、俺にそう言うと、奥の部屋へ入っていった。
「コル爺は一体どうやって、持っていく気だ?魔導兵は知らないが、魔導砲は砲身だけで3か4mぐらいあっただろう」
「ああ、それならコル爺の魔法を使えば大丈夫だよ」
すると後ろから、サーラがそう言ってきた。
「コル爺の魔法?」
「うん、まあそれは本人から聞いてね」
その後暫く待っていると、奥の部屋からコル爺が出てきた。
「待たせてしまって、すまんのう、儂の準備は終わったぞ」
「ああ、ところで、まさかその収納袋に魔導砲とかが入ってるのか?」
俺はコル爺が腰に下げている収納袋を指差しながら言った。
「いや、これには少し魔道具が入ってるだけじゃよ、他の物をどうやって運ぶかは、儂の魔法の話しになるんじゃが、それは移動しながら説明をするぞい、今は早くアジトに向かった方がいいじゃろう?」
「ああ、そうだな、それじゃあ行くか」
俺達は、裏ギルドのアジトに向けて移動を開始した。
メイカーの門を出て暫く歩いてから、コル爺にさっきの魔法の事を質問することにした。
「それで、さっき言ってた、コル爺の魔法ってなんなんだ?」
「まあ、簡単に言うと、物限定の転移魔法じゃよ」
コル爺のその言葉にリアナが反応を示した。
「転移魔法なんて、今の時代に残っているの?」
「儂のは、古代の魔法よりも大分おとる、転換期よりも前の時代には、人を運べる転移魔法の使い手もいたそうじゃ、まあ魔法陣なら見つかっているがのう」
コル爺は、歩きながらそう言った。だけどそれでも充分凄いと思うぞ。
「好きな物を転移させることが出来るんですか?」
今度はレーナが質問をした。
「いやそういう訳じゃ無いんじゃよ、結構使い勝手の悪い魔法での、運びたい物は事前に登録してある、魔法陣の上に置いておく、必要があるんじゃよ、今は儂の研究室の部屋の中に魔法陣がセットされていて、その魔法陣の上に、魔導砲と魔導兵が置いてあるんじゃよ、そうしておくと、こっちで魔法を使って、魔法陣を出せば、ここに転移させる事が出来るのじゃ、こっちからも物を送る事も出来るが、今送ると、開発室の魔法陣に届くのじゃ」
コル爺は質問にどんどん答えていく。
「それなら、沢山登録しておけば、いいんじゃ無いか?」
「それがそうも行かないんじゃよ、登録出来るのは1箇所だけで、新しく他の場所を登録すると、今まで登録してあった場所の魔法陣は消えてしまうんじゃよ、まあ、魔法陣は普段は見えない様になっているんじゃがな」
コル爺はため息混じりにそう言った。
「なるほどな、結構大変そうな魔法だな」
「そうなんじゃよ」
その後、暫く歩いてから、気になった事があったので、サーラに質問をした。
「なあ、サーラ、アジトの中に人質とか、リアナみたいに誘拐されてきた奴とかは、いないのか?」
「それは、いないみたいだよ、今アジトにいるのは、全員が裏ギルドの構成員だけみたい」
サーラは笑顔でそう答えてきた。
「そうなのか?てっきり1人ぐらいいるかと思ってたが」
すると会話を聞いていた、フレアが横からそう言った。
「私もそう思って聞いたら、俺達は盗賊じゃねえ、場合によっちゃ、殺しも誘拐もやるが、それは仕事だからだ、って言われちゃった。まあ、裏ギルドの中には、こんな奴ばっかりじゃなくて、本当にクズみたいな奴もいるんだろうけどね」
俺達はその後も、雑談をしながら、アジトを目指した。
途中歩きながら、俺の収納魔法に入っていた、サンドウィッチで、昼を済ませて、裏ギルドのアジト付近までやってきた。
「それじゃあ、予定通り、レン君とリアナちゃんとレーナちゃんは敵の幹部がいる、このアジトに向かって、次にここから1番距離の近いアジトをコル爺、後の3つは同じ様な距離だから、私達で分担、それで余った1つは、自分の持ち場が早く片付いた人の担当ね、終わったら、敵幹部のいるアジトの入り口に集合って事で」
サーラは地図を指で指し示しながら、そう説明した。
「裏ギルドの奴らは殺してしまっていいのか?」
「何人か、残しておけば、他は殺していいよ、でも幹部の奴は殺さずに、情報を聞き出したいかな」
フレアの質問にサーラはそう答えた。
「了解だ、出来るだけ殺さない様にする」
「ごめんねレン君、だけど生け捕りが、無理そうだったら殺しちゃっていいからね」
俺はサーラのその言葉に、頷いて答えた。
「それじゃあ、作戦開始だ」
俺達はそれぞれの持ち場に向かった。




