第四十三話 武闘大会本戦③
昼食後、試合は進みBブロックの第4試合、今日最後の試合になった。
『次の試合は武闘大会を4連覇しているリオン選手の試合ですね‼︎』
『そうだな、相手のダンクがどれだけやれるかだな』
すると、試合場に2人の選手が入場してきた。試合場は、昼休憩の間に土属性を使えるウィザードが修復していたので、しっかりとした石のフィールドに戻っている。
「まさか1回戦から当たるとはな」
「まあ、早く問題が片付いてリオン的にはいいんじゃない?」
すると、試合場の2人会話が聞こえてきた。
『約束を忘れて無いだろうな、俺が勝ったら俺達のパーティーに入って貰うぞ』
『ああ、約束は守るさ、そっちこそ負けたらきっぱりと諦めるんだぞ』
それに実況が反応している。
『2人の間で賭け事があったみたいですね』
『リオンは、ずっとソロだからな、パーティーに勧誘しようとする奴は結構いる、リオンはずっと断り続けてたみたいだがな』
『そういえば、ダンク選手は予選と同じ斧ですけど、リオン選手は剣が2本になってますね』
『ダンクのはバトルアックスだな、リオンは去年俺と戦った時は2本だったぞ』
あーそういえば、バトルアックスとか言う名前だったなあの武器、ダンクのバトルアックスは両側に同じ刃が付いていてかなりデカイが軽々と持っている、恐らく身体能力強化を使ってるんだろうが。
リオンの方は、予選と同じ細めの両刃の剣だが、それを2本腰にさげている。
「二刀流だったのか?」
「まあ、予選では必要ないと判断したんじゃないか?」
そんな話しをしてると、試合場ではダンクがバトルアックスを構えて、リオンは腰から2本の剣を抜いた。
『Bブロック第4試合始め‼︎』
リオンはダンクとの間合いを一気に詰めた。
ダンクは正面から向かってくるリオンに斧を水平に薙いだ。
『ふっ‼︎』
だがリオンはそれをジャンプして上に躱すと空調でそのままダンクに斬りかかった。
ダンクはそれを身を捩り躱すと、両手で持っていたバトルアックスを左手だけで持ち、開いた右手で空中にいるリオンを殴った。
ガッ‼︎
リオンはそれを腕でガードすると、ダンクの拳の力を利用して後ろに下がり距離をとった。
リオンはすぐにダンクに攻撃を仕掛けた。
その後も両者の攻防は続いた。
何度かの打ち合いの後、リオンは1度距離をとった。
『両者一歩も譲りません‼︎しかし!ダンク選手の方はリオン選手の攻撃を防ぎきれずに、ダメージを負ってしまっています‼︎対するリオン選手は、何度か打撃を受けましたがほとんど無傷の状態です‼︎』
『手数の差だな、逆にダンクが二刀流のリオン相手にバトルアックスであれだけのダメージで済んでるのは凄い事だぞ、傷も浅い切り傷ばかりだからな、実質両者ともノーダメージみたいなものだろう』
正直ダンクがあそこまで戦える奴だとは思っていなかった。
「あいつ、あんなに強かったんだな」
「そうだな、バトルアックスの扱いが上手いし、身のこなしも相当のものだぞ」
「リオンさん、大丈夫でしょうか」
試合場では、リオンとダンクが会話をしていた。
『まさか、ここまで苦戦するとは思っていなかった』
『ふんっ、こっちのセリフだ、まさかSランクがここまでとはな』
『なんだ?諦めるのか?』
『んな訳ねえだろ、久々に楽しいんだ、そんなつまんねえ事するかよ、おら‼︎かかってこいよ‼︎』
リオンはそれを聞くと、体勢を低くしてダンクに突っ込む、だが最初の1撃とは違い、切っ先をダンクに向けて突き出した。リオンは躱された後の為に2撃目3撃目を繰り出す為に備える。
『ぐっ‼︎』
だがリオンの予想は外れ、リオンの剣はダンクの腹に突き刺さった。
『おらっ‼︎』
ダンクがバトルアックスを横から振るってきた為、リオンは剣を引き抜いて下がろうとした、だがダンクの腹から剣が抜けずに止まってしまう。
『なにっ‼︎ぐあっ‼︎』
リオンは咄嗟にもう1本の剣でガードしたが、その衝撃で吹き飛ばされてしまう。
『ぐぅっ、どうだ、俺の腹筋はすげえだろ?』
ダンクは剣の刺さっている、腹を抑えながら言葉をとばす。
『あいつ、武器を奪うためにわざと攻撃を受けやがった』
『でもなんで剣が抜けなかったんですか?』
『さっきダンクが言ってただろ、恐らく剣が刺さった後に腹筋に力を入れて剣を固定したんだろうな、あのデカイバトルアックスを軽々操れるんだ、身体能力強化はあくまでも強化だからな、まあ人によって強化の度合いは違うが、元の身体能力が低けりゃ強化したって大した事はねえ、あいつの筋力はかなりの物だぞ』
立ち上がったリオンは、顔を下げて俯いている。
『この程度で終わりじゃねえだろうな?』
ダンクが挑発するが、返ってきたのは返答では無かった。
『ふふっ、ふっ、あはっ‼︎あっはははははははは‼︎面白い‼︎面白いな‼︎貴様の力、もっと見せてみろ‼︎』
リアナは、笑いながらダンクに突っ込んだ。
『くっ、おらっ‼︎』
ダンクはバトルアックスを振って応戦する。リオンはそれを躱して斬る、次はダンクが殴る、その後も斬る、躱す、殴る、蹴る、躱す、斬る、躱す、掴む、斬る。さっきまでよりもかなり速い攻防が続く。
『あっはははははははははは‼︎‼︎‼︎‼︎』
『ガハハハハハハハハハハっ‼︎‼︎‼︎‼︎』
次第にダンクも笑いだし、2人で笑いながら、攻撃し続ける。観客席も大盛り上がりで物凄い歓声だ。
『激しい攻守の入れ替わりで凄い‼︎お互い笑いながら戦っています‼︎』
『リオンの奴、入りやがったな、去年の決勝でもああなると厄介でしょうがねえ、ダンクもあいつと同じみてえだな』
リアナがその状態のリオンをみて言葉を発した。
「本当に凄い変わりようね」
「予選の時よりも凄いですね」
「口調も大分違うな」
「我もあれと戦うのか、まあぶっ飛ばせば大人しくなるだろ」
試合場では、ダンクにかなりダメージが溜まっていて、腹の傷もあり、動きが大分鈍っているみたいだ。
バトルアックスを躱したリオンは、ダンクの腹に刺さった剣に足をかけると、そのまま押し込んだ。
『ぐあっ‼︎』
ダンクが苦痛の声を上げる。リオンはダンクの足の甲に剣を突き刺さして地面に固定した、ダンクはなんとか反撃を試みて、バトルアックスを振り下ろすが、苦し紛れの一撃では当たらず、避けられてしまう。
リオンはダンクの腹に刺さった剣の柄を握ると、そのまま振り払い、ダンクの腹を引き裂いた。
『があっああ‼︎』
ダンクはそのまま倒れて、光の粒になり消えた。
『Bブロック第4試合勝者はリオン選手です‼︎』
観客は大盛り上がりで、退場するリオンに歓声を飛ばした。
今日の日程は終了したので帰ろうとしたが通路は凄い人の数で、出るのが大変そうだった為、選手用通路から出る事にした。警備の人がいたがフレアがいた為簡単に通してくれた。
「あっ」
通路の途中でリオンと出くわした。
「お疲れ、凄い試合だったな」
「ありがと、もう疲れちゃったよ、楽しかったけどね」
その後、一緒に出口に向かっていると、横の通路からダンクが出てきた。
「やあ、さっきの試合は凄く楽しかったよ。またやろう」
「戦ってる時とは別人だな、それとパーティーの事はきっぱり諦める、約束だからな、それとは別にお前に礼が言いたくてな」
「お礼?私はなにもして無いと思うけど?」
リオンは首を傾げている。
「俺はバルネスにくる前にいた街では1番強くてな、退屈してたんだ、Sランクになんて滅多に会えるもんじゃねえが、それでも実際に戦えばSランクでも負けねえと思ってた、だが戦ってみて分かった、お前と俺じゃ実力が違い過ぎる、いつの間にか調子になっちまってたみてえだな、今回の戦いで自分の慢心を思い知らされた、これからもっと鍛錬しよと思えたんだ、ありがとよ」
「そう思うのなら、君はまだまだ強くなれるよ、また戦うのが楽しみだ」
リオンは笑顔でそう返した。
「お前を倒せるだけの力をつけて、いずれまた挑んでやる、そん時は覚悟しろよ?それと嬢ちゃん、武闘大会で戦う提案をしてくれてありがとよ」
ダンクはそう言うと、歩いて別の方向に行ってしまった。
「最初会った時は嫌な奴って思ったけど、今のあいつは嫌いじゃ無いわ」
「ああ、俺もだ」
「ふふっ、私もです」
「我も嫌いでは無いな」
俺達は出口に向かった。




