第二十四話 ボニフェース伯爵
俺達は途中で騎士達と合流してパーティ会場に向かった。数名の騎士はボニフェース伯爵の邸宅に向かわせ証拠を探しに行った。
パーティ会場についた俺達は国王様を先頭に扉を開けて中に入った。そこは広い空間にいくつものテーブルが並んでおり、その上にはたくさんの酒や料理が並んでいる、貴族達は立っているから恐らく立食形式のパーティだろう。
中にいた貴族達は騎士を引き連れて入ってきた国王様を見て驚いている。その中にボニフェース伯爵の姿を見つけた国王様は真っ直ぐそこに向かって行く。
「ボニフェース伯爵、私と共に来てもらおう」
「これは国王様、騎士を引き連れていらっしゃるなど、何かあったのですか?」
ボニフェース伯爵は白々しくも何も知らないフリをして平然と答えている。周りの他の貴族達も何事かと国王様を注視している。
「ああ、少し緊急事態でな大事な話しがあるのだ」
ボニフェース伯爵は俺達の後ろにいるレーナの姿を見て一瞬目を見開いたがその後目を瞑り静かに話し始めた。
「はぁ、アドニスは失敗したか、全く使えない奴だ」
国王様は突然態度を変えたボニフェースに驚いている、まさかここですぐに自白するとは思っていなかったのだ、ここから連れ出した後に拘束してから色々と調べるつもりだった、ここで自白されては周りの貴族に王女誘拐の事を知られてしまう。
「その話しは別室で聞く、おいボニフェースを連れてこい」
国王様は騎士に指示を出してボニフェースを無理矢理連れて行く事にしたようだ、まあ、連れ出してしまえば他の貴族にバレる心配は無くなるしな。
「近づくな‼︎」
だが連行しようとした騎士達をみたボニフェースは大声を上げて、拒絶の意思を示した。
「国王は王女が誘拐された事を知られたくないようだな、まぁそこに王女がいるところを見ると失敗したようだが、今頃私の屋敷にも騎士が向かっているのだろう、ならばここで真実を明かしてしまっても同じ事だ、お前達は王女誘拐を実行した私を捕らえにきたのだろう?」
それを聞いた国王様は苦虫を噛み潰したような表情をしている。
「すぐに拘束しろ‼︎」
時間をかければさらに余計な事を言われると思ったのか、国王様は騎士にボニフェースの拘束を命令した。
「近づくなと言っただろ‼︎」
だがボニフェースは服の内ポケット直径20㎝程のクリスタルの様な物を取り出すと見せつける様に前に突き出した。拘束に向かおうとした騎士はボニフェースの行動をみて国王様の前に立ち塞がり国王様を守る様に陣どった。
「なんだそれは?」
するとボニフェースは興奮しているのか笑いながら話し出した。
「これは帝国から授かった生物兵器が入っている魔導具だ‼︎この生物兵器はクリスタルを使用した者を主人として自由に命令する事が出来る様になる‼︎」
それを聞いた国王様はすぐに指示を出した。
「早く拘束しろ‼︎クリスタルを使わせるな‼︎」
俺とリアナも魔法を放とうとしたがボニフェースがクリスタルを使う方が早かった。
「遅い‼︎『姿を現し我が敵を滅ぼせ‼︎』」
ボニフェースがそう言うとクリスタルから魔法陣が出現し、そこから何かが出てきた。
クリスタルから出てきたのは高さ2m程のピンク色の肉塊から触手が何本も出ていて2つの目玉がある生物だった。周りをギョロギョロと見回す目や血管の様な物が浮き出た肌はとても気持ち悪い。
「何あれ気持ち悪いわね」
どうやらリアナもそう思ったらしい。その生物を見た他の貴族は我先にと逃げだし始めた。騎士達は国王様やレーナを後ろに下げて抜剣していつでも戦えるように備えている。
「ここにいる私以外の人間を殺せ‼︎」
ボニフェースは呼び出した生物兵器に命令するが一向に動こうとしない。
「何をしてる‼︎主人の命令が聞けないのか‼︎」
再度ボニフェースが命令するが生物兵器は命令にはしたがわず目玉を動かしボニフェースの方を見ると触手を伸ばしてボニフェースの体を掴むと自分の方へ引きづり込んだ。
「やめろっ‼︎何をする‼︎離せっ‼︎やめろおおおおお‼︎‼︎‼︎」
ボニフェースは必死に対抗したが力負けして肉塊に呑み込まれてしまった。
「マジック・ゲート・ショットアイアン‼︎」
「フロスト・ランス‼︎」
俺とリアナはボニフェースを呑み込み蠢いている肉塊に魔法をぶつけたが俺の魔法は肉塊に穴を開けたがすぐに塞がってしまい、リアナの氷の槍も刺さりはしたが凍った部分の肉をすぐに切り離されてダメージは与えられてなさそうだ。
その後肉塊は形を変えはじめた。呑み込んだボニフェースの体の表面に広がりボニフェースの皮膚をピンクの肉塊が包み込んだ。肉塊は人型になり目玉は顔の部分に移動した。
「くらえっ‼︎」
1人の騎士がボニフェースに斬りかかった、だが表面の肉塊を斬っただけで剣は途中で止まってしまった、すると肉塊がボニフェースの体を動かし斬りかかった騎士を殴り飛ばした、騎士は勢いよく飛んでいき壁に激突して停止した。
「1人で行くな‼︎連携をとりながら急所を狙って攻撃しろ‼︎」
騎士の隊長らしき人が騎士達に指示を飛ばす。
「どうするリアナ、恐らくただ斬ってるだけじゃ倒せないぞ、てゆうかあれどうやったら死ぬんだ?」
「ボニフェース本人を殺したら死なないかしら?」
「どうだろうな、今も騎士達が斬ってもすぐに塞がっているしな」
「とりあえず、攻撃してみるわさっき凍った場所を切り離してたからもしかしたら氷魔法は効果があるかも」
そう言うとリアナは走ってボニフェースの背後に周ると、手をかざして魔法名を唱えた。
「騎士の人達一旦離れて‼︎フロスト・アロー‼︎」
するとボニフェースの背中から二本の触手が伸びてきて向かって来ていた10本程の氷の矢を叩き落としてしまった。
「マジック・ゲート・ショットアイアン‼︎」
俺の魔法も先程と同様に効果が無い。
「クソッ、ダメか」
すると、ボニフェースは背後にいたリアナに触手を伸ばして横から鞭のようにして振り抜いた。
「フロスト・シールド、きゃあっ‼︎」
リアナは咄嗟に氷で盾を作ったが盾が完成するよりも早く触手がきてしまい不完全な盾では防げずに吹き飛ばされてしまう。
「リアナ‼︎マジック・ゲート・ショットアイアン」
俺は魔法を放つ、効果は無いが気を引く事はできるだろう。吹き飛ばされたリアナの方を見るといつの間にかレーナが側におり、光魔法で回復させているようだ、周りをよく見るとやられた筈の騎士が戻ってきているからレーナはずっと怪我人の回復をしてくれていたのだろう。
「さて、本当にどうやって倒すか」
俺は打開策を考えながら騎士と共に魔法でボニフェースを攻撃した。




