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第十八話 王女様

 


  「国王様の娘ってことは、王女様ですよね?」


  「そうだ、俺には2人の息子と娘が1人いてな、娘は末っ子で名前はマグダレーネ・キャベンディッシュ、公の場での仕事は第一王子と第二王子がやっていてな、いろいろと事情があって公の場には出てないんだ、それと王族って事もあって歳の近い友人なども出来なくてな、だから2人には暇な時で良いから娘の話し相手をして貰えないか?」


 

  国王様のお願いを聞いて俺は答えた



  「別にそれぐらいなら構いませんけど、歳が近いとは今おいくつなんですか?」


  「今年で19歳になる、2人の年齢もその辺りであろう?」


  「はい、俺もリアナも17歳なので近いですね」



  国王様は改めて俺達を見て言ってきた


  「今から時間は大丈夫か?早速娘と会って貰いたいんだが」


 


  俺はリアナの方を確認の意味を込めて見た。するとリアナは黙って頷き返してくれたので俺は国王様に返答した。


  「はい、大丈夫です」


  「そうか、それでは早速向かおう」


  「私は王子様の所に行ってますね」


  「ああ、分かった」


  どうやらアウグスト様は一緒には来ないみたいだ、国王様はもう扉の方に向かって歩いていっている。俺とリアナは国王様の後に続いた。









 


  暫く進むと国王様が扉の前で止まったのでここが王女様の部屋なのだろう。



  「マグダレーネ、私だ、中にいるか?」


  「はい、少々お待ちください」


 

  国王様はノックをしながら声をかけた。すると返事の後すぐに扉が開き1人の女性が出てきた。



  「お父様が来られるなんて珍しいですね、どうぞお入り下さい.、そちらの方々はどちら様ですか?」



  王女様は最初俺達に気づいていなかったようだが国王様に俺達の事を聞いている。



  「詳しいことは中で説明させて貰えないか」


  「分かりました、どうぞお入り下さい」



  王女様は微笑みながらそう言ってきた。思わず見惚れそうになったがすぐに持ち直して中に入った。


  中に入った俺達はさっきの部屋にあったような机と椅子につき、アウグスト様がいた位置が王女様に変わった感じだ。



  「まず、この2人だがアウグストが襲われた話はマグダレーネも聞いているだろう、それを助けた冒険者と言うのがこの2人だ、今日は礼を言う為に来て貰ったんだが、お前の話し相手になってくれると言うのでな、この部屋に案内したんだ、お前も退屈していたであろう?」



  「あら‼︎そうでしたか‼︎ありがとうございますお父様‼︎私はマグダレーネ・キャベンディッシュです、よろしくお願いします」


 

  王女様は話し相手が出来るのが余程嬉しいらしく声を弾ませながら自己紹介をして頭を下げてきた、その動作で肩まである綺麗な金髪が揺れてとても綺麗だ、顔は大人の女性と言った感じだがはしゃぐその姿からは少し幼さを感じる。


 

  「俺はCランク冒険者のレンと言います、よろしくお願いします」


  「私はリアナです、よろしくお願いします」


  「お二人共そんなに硬い話し方でなくて大丈夫ですよ、話しやすい喋り方で話して下さい」



 

  王女様にタメ口で話しかけるのは流石にまずくないか?俺とリアナがどうしようか、悩んでいると横から国王様が声をかけてきた。



  「マグダレーネの好きなようにさせてやってくれ、他の者がいないここなら敬語を外しても問題がないからな、さて、俺がいたら話しづらいだろう、ここら辺で失礼する、帰るときは扉の前のメイドに言えば外まで案内してくれるから、そのまま帰ってくれて構わない」


  「分かりました」




  国王様は席を立ち部屋を出て行った。


 

 

  「それでは話しを聞かせて下さい。勿論敬語は無しで」


  「ああ、分かったよ」



  俺達は会話を始めた。




 


 

  「そうだ‼︎私にあだ名をつけて頂けませんか?」


「あだ名?」


  「はい、私今までこの様にお話し出来る方がいなかったので.あだ名なども付けられた事がないのです、なので是非お願いします」



 

  暫く話してお互い会話に慣れてきたらマグダレーネがそんな事を言ってきた。



  「そうだな、うーん簡単なのだと、名前を少しいじるとかだけど」



  「レーナなんて、どうかしら名前をもじっただけ、なんだけど」


  「レーナか、呼びやすく良いんじゃないか?」



  「はい‼︎ありがとうございます‼︎気に入りました‼︎これからはレーナとお呼び下さい‼︎」



  レーナは満面の笑みでそう言ってきた。



  「気に入って貰えたならよかったわ」


 

  リアナの口元にも笑みが浮かんでいる。



  「なあ、気になったんだがなんでレーナは敬語なんだ?」


  「私のこれは癖みたいなものなので気にしなくて大丈夫ですよ」


  「ふーん、それなら良いんだけど」




  その後も俺達の会話は続いた。



 





  「さて、俺達はそろそろ行くか?」


  「そうね、依頼を受けてなかったし、午後はギルドに行きましょうか」



  時刻を昼ごろでレーナと話し始めてから3時間ほどが経過していた。




  「そうですか、用事があるのなら仕方ありませんね、またお話ししたいのですが、また来て頂けますか?」




  レーナは不安そうな顔をして聞いてきた。



  「当たり前だろ、また、すぐに来るよ」


  「私達はもう友達でしょ?」



  俺とリアナの言葉を聞いたレーナは不安な顔から一転して今日1番の笑顔を見せくれた。


  「ありがとうございます‼︎お2人が来るのを待ってますね」


  「ああ、じゃあまたな」


  「またね、レーナ」


 


  俺達はそう声をかけて部屋を出た。部屋の前にいたメイドに帰る事を伝えて外まで案内して貰い、俺達は王宮を後にした。


 



 



 



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