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水滸前伝  作者: 橋邑 鴻
第六回  李柳蝉 蒼翠の麓に泪を揮い 小将軍 鄆城に義兄を訪うこと
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適材適所

蒼翠(そうすい)の麓」

「蒼翠」は木々が青々と茂っている様。「青々と木々が茂る山の麓」。


鄆城(うんじょう)

地名。鄆城県。

 道のりは遠く、足取りは重く、誰も彼もが無言だった。


 清風鎮(せいふうちん)の正知寨は、その生をこの世から完全に消し去られた。


 そしてこの大宋国から、いや、探せば同名の村の一つや二つくらいは在るのかもしれないが、少なくとも青州(せいしゅう)・清風鎮の近郊からは「鄭家村(ていかそん)」という名の村もまた消滅した。


 単に辻斬りの如く正知寨を殺めたというのならともかく、清風鎮に、それも正知寨の役宅に乗り込んでこれを弑したとなれば、乗り込んだ者達は謀叛人の(そし)りを免れようがない。


 お上に対する叛乱は族滅(※1)、つまり当事者のみならず、その親族にまで累が及ぶ。

 鄭天寿と義兄弟の契りを結んだとはいえ、元々他所者(よそもの)で地縁の浅い燕順や王英と違い、行動を共にした村の住人達は、自分だけが姿を晦ませば済む訳ではない。


 その名が示す通り、鄭家村の住人はその大多数が鄭姓だ。

 村外から嫁いできた女性達のように鄭姓でない者もいるにはいるが、彼女達が赤の他人でない事は言うに及ばず、鄭姓の者に至っては、たとえ本人達が把握できていなくとも、何かしらの血縁や親族関係にあると言っても過言ではないほどである。


 全くの赤の他人というのは、李柳蝉を含めてほんの数人しかおらず、その李柳蝉や祖母の郭静とて「許嫁を親族と見なさなければ」という条件を付けての事だ。


 そんな鄭家村の住人の内、30人が今回の襲撃に加わった。

 その30人それぞれの三族が誅殺とされるだけでも、相当な人数が当てはまる事になるが、それこそ九族誅殺の沙汰でも下されようものなら、ほとんど全ての住人が死罪という事になってしまう。


 というか、実のところ累の及ぶ対象が三族であろうが九族であろうが、今回の件に関しては、血縁の濃淡はあまり意味を成さない。


 村の顔役である保正が襲撃を首謀し、そこにその縁者が加わり、更に30人以上の住人が加わっているとなれば、もはや誰がどこからどう見ても立派な「村ぐるみ」の犯行である。賊を捕縛する側にとって、これほど都合のいい事はない。

 実際に襲撃に加わった者であれ、村に残った者であれ、或いは襲撃を支持した者であれ、反対した者であれ、鄭家村の住人を誰彼構わず引っ捕らえ、賊に仕立て上げてしまえば済んでしまうからだ。


 いや、そもそも「仕立て上げる」という考え方からして違う。

 どこからどう見ても村ぐるみの犯行なのだから、襲撃時に鄭家村に居を構えていた者は、正しく賊の一味なのだ。「仕立て上げる」もへったくれもない。


 要するに、血縁の有無やら濃淡やらには全く関係なく、村に残ればそれだけで謀叛人の罪を着せられ、断罪に処される可能性が高いという事である。

 案の定、燕順らを清風鎮に送り出した後、鄭延恵が村人達に身の振り方を問うてみれば、村外に身を寄せる宛てがある者はそれを頼って村を捨て、宛てのない者達も大半は鄭延恵と行動を共にする道を選んだ。


 そんな事は少し考えれば誰だって想像がつく。だからこそ燕順も、保正として村の存続に責任を負う鄭延恵に、襲撃の是非を委ねたのだ。

 分かっていなかったのは突然の事態に気が動転し、己の首一つで村を守れると思い込んでいた鄭延恵ただ一人、という訳である。


 僅かながら村に残る道を選んだ者もいるにはいた。しかし、それらは病人や長旅に耐えられない、足腰の弱った老人の数人だけであって、そうした者達だって、何も残りたくて残る訳ではない。

 結局、残る者達に全ての罪を負わせるには忍びなく、鄭延恵が説き伏せてその者達も村を捨てる運びとなった。


 燕順らが戻るまでの間に慌ただしく屋敷を整理した鄭延恵は、袂を分かつ者達には幾ばくかの路銀を渡し、無事に生還した燕順らに僅かな休息を取らせると、日の出を待たずに揃って村を捨てた。


 かくて鄭家村は一夜にして廃村となったのだ。


 体調を崩している鄭延恵に代わり、燕順率いる100人ほどの一行が目指す地は清風山(せいふうざん)

 禁軍による討伐を受け、主を失った青州三山が一である。


 すでに賊が巣食う桃花山(とうかざん)二龍山(にりゅうざん)に向かう選択肢もあるにはあった。現にそれを提案する者もいたが、燕順は頑なにそれを拒んだ。

 燕順が聞いた限り、両山に関してはあまりいい噂がない。山賊相手に「いい噂」というのもおかしな話だが、殊に二龍山は酷い。更には両山共まだまだ勢力は小さく、おまけにどちらの寨主も大器と呼べる人物ではないという事であった。


 100人ほどの一行の内、燕順らのように荒事に向く人間は、むしろ少数派である。ただでさえ規模の小さな寨で一行を受け入れるとなれば、糧食や住居の手配に頭を悩ませるところだが、その上、落人の半数以上が非戦闘要員とくれば、最悪追い返される可能性も十二分すぎるほどにある。


 足弱な老人も、病を得ている者も、今はどうにか(かご)や荷車で運んでいるが、身の置き所も定まらないままに右往左往するのは、精神的にも肉体的にも堪えるものだ。

 まして今は官憲に追われる身の上であり、そんな一か八かのような話に賭けている場合ではない。


 とはいえ、賊の(とりで)を平定する際は、不逞の輩に再び利用され、新たな賊徒の巣窟とならないよう、聚義庁(※2)などの主だった施設を全て打ち壊してしまうのが通例であるから、清風山だって前途は多難だ。

 それを承知の上で燕順が清風山に向かう事を選んだ理由は、やはり「曲がりなりにも一度は人の手が入っている」という点が大きい。一から何もない森林を拓き、農地を(ひら)く事を考えれば、取りあえず雨露だけでも凌げるようになるまでの労力を見ても、その差は歴然である。


 鄭家村からは清風鎮を経由するのが清風山への最短ルートであるが、当然そんな事ができるはずもない。

 村を捨てた一行は大きく西へと迂回し、青州南部に(そび)える峰々の中へその姿を消した。



 △▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



 昼前。


「閣下」


 一人の男が清風鎮西寨の執務室に立ち入り、室内の視線を一身に浴びた。その男に、主の花毅は相好を崩して声を掛ける。


「おっ、戻ったか」

「は」

「で?首尾は?」


 拱手(きょうしゅ)を解き、花毅の面前に進み出た男は樊虞候。


 正知寨を失ったここ清風鎮の政務は、今やその全てが副知寨である花毅の双肩にのし掛かっている。襲撃から一夜明け、被害の確認やら住民への布告やら、花毅の為すべき仕事は多い。

 室に詰め掛けた押司(おうし)達から、あれやこれやと仕事を責付(せっつ)かれていた花毅は、いいところに戻って来たとばかりに筆を置き、押司達を室から追い払った。


「賊の正体が判明しました」

「ほう」

「『恐らくは』ですが、南の道観からもう少し進んだ地に在った、鄭家村という村の住人のようです」


 花毅は即座にその言葉の意味するところを理解する。

 襲撃が昨晩行われ、鄭家村という村の住人が犯人と推測され、そして夜が明けた今、すでにその村は「在った」状態なのだと言う。


(もぬけ)の殻か…規模は?」

「戸数が30ほどでしたから、住人は恐らく150から200ほどかと」

「お前の話じゃ、確か賊の数も…」

「は。30人ほどです」

「戸数も30、賊も30か…ま、実際のところは分からんが、族滅の事を考えれば、村ごと捨てるのも無難と言えば無難な選択だな」

「はい。それと村の中央…恐らくは保正の屋敷と思われますが、それと他にも主だった屋敷に火が放たれており、今も兵達が消火に努めております」


「然もありなん」と、花毅は背凭(せもた)れに身体を預けた。


 禁軍が賊の寨を落として施設を破壊するのと、理屈は同じだ。


 空き家の状態で残しておけば、そこにはいずれ誰かが住み着く。しかし、保正の屋敷のように大層な造りであればともかく、小作のあばら屋などに元々家を持つ者がわざわざ移り住む理由はない。となれば残るは元々家を持たざる者、つまりは──


「野盗の類いに住み着かれ、鄭家村の名が汚されるのを嫌ったんだろ」

「はい、恐らくは」

「随分と『恐らくは』が多いな」

「はて?ですから手前が遣わされたのだとばかり思っていましたが?」


 花毅の問いに樊虞候は軽い嫌味で気安く返し、花毅はそれを苦笑で受け流す。


 全くもってその通りだからだ。


『賊徒は姿を晦まし、現在も捜索中である』


 花毅達にはその事実だけあればいい。


 正知寨の悪辣な行為を思えば、賊の心情は察するに余りある。花毅だってもし娘が攫われたとなれば、草の根分けても犯人を捜し出し、散々に罵詈雑言を浴びせながら、八つ裂きにしてやらなければ気が済まないだろう。

 だから賊の要求通り、襲撃を見逃してやった。


 だが、花毅は清風鎮の治安を守る武知寨でもある。目の前に賊がいれば捕らえなければならない。

 だから、今は逃げるがままにさせておけばいい。


 樊虞候はそれが分かっている。問題はそれが分かっていない、もう一人の方だ。


 正知寨が不在、その正知寨を売り飛ばした張提轄は拘束の身で、副知寨の花毅が襲撃の後始末で手が空かないとなれば、必然的に賊の探索に就ける者は限られる。その任を、その残るもう一人に命じる事に、花毅は一抹の不安を禁じ得なかった。


 義気に溢れているからこそ正知寨の非道に憤り、生真面目だからこそどこまでも忠実に職務に励む。


 現に──


「して、正知寨の方は如何でしたか?」

「んん。目下、我らが小将軍が懸命に行方を捜してるとこだ。ま、焼け落ちた役宅の庭に、バラバラになって燃え尽きた遺体があった、とは報せが来たがな」

「そろそろ昼になろうというのに、未だに姿を見せないのですから、そういう事なのでは──」

「言うな。(あいつ)(花栄)だって分かってるよ、それくらい。お前と違って『恐らくは』じゃ済ませられん性分なんだ。今頃は焼け残った建家やら、それこそ寨の隅から隅に至るまで虱潰しに確認してるんだろ。何なら鎮の方にまで手を広げてるかも知れんぞ?」


「困ったもんだ」といった様子で花毅は苦笑を浮かべ、樊虞候もそれに苦笑で返す。


 そんな義気に溢れ、生真面目な花栄に賊の捕縛を命じれば、それこそ地の果てまでも追い続けるであろう事は、父である花毅が誰よりも知っている。


 それがただ賊に裁きを加えたいという、四角四面な正義感に発したものでない事も花毅は知っている。


 正知寨に憤っているからこそ、正々堂々と裁きの場で悪行を訴えさせ、その非道を暴き立てたいのだ。そして「単に気の向くままに寨を襲った逆賊などではない、彼らにも()むに()まれぬ事情があったのだ」と証して、賊を擁護してやろうというのである。


 しかし、その願いが到底叶わない事もまた、花毅は知っている。


 清風鎮は周辺に蔓延(はびこ)る賊徒に睨みを利かせ、同時にその脅威から周囲の村鎮を守る役目も担っている。

 その守られるべき鄭家村の住人による襲撃を許したというだけでも、清風鎮を管轄する州や県の高官にとっては不名誉極まりない。挙げ句「正知寨は殺されました、賊には逃げられました」とあっては、面目など丸潰れもいいところだ。


 おまけに、ここ青州の慕容知州は、今上陛下(徽宗)の愛妾・慕容貴妃の兄である。

 ただでさえ朝廷の中枢や後宮には、権力の魔力に取り憑かれた数多(あまた)の魑魅魍魎が巣食うものだが、今上陛下は宋の列聖(※3)と比べても突出した数の美女を後宮に召されており、それはつまり、慕容貴妃にとっては同じ数だけ「敵」がいるという事だ。そんな権力欲が渦巻く世界では、どんな些細な事でパワーバランスが崩れるかも分からない。


 もしその「敵」に、或いはその「敵」の後背に燦然と輝く「陛下の寵愛」という威光に(すが)って栄達を図る者に、見ようによっては些細とも呼べる今回の失態を利用され、万が一それによって慕容貴妃の地位が危ぶまれるような事態に陥り、万々が一にも金科玉条の如きその威光を失うような事にでもなれば、妹の地位に縋って知青州の座を得た慕容知州の栄光はそこで終わる。


 そんな時に賊が捕らえられ、裁きを受けるとなればどうなるか。

 どれだけ正知寨の非道を暴き、どれだけ賊の弁護を叫んだところで、そんなものが聞き入れられようはずがない。


 正知寨がどれだけ悪辣であろうと、どれほど人倫に(もと)っていようと、そんな事とは関係なく、潰れた知州の面目を繕うため、賊徒達に極刑が下されるのは目に見えている。

 そして、知州の失態を覆い隠す功績として、賊の捕縛と処断は大いに吹聴されるはずだ。


 そこが花栄には見えていない。

 誰も彼もが自分と同じように義気に溢れ、誰も彼もが善悪を見れば善を選ぶと考えている。


 青い、と言えばそれまではある。

 理想を言えば誰しもがそうあるべきであろうが、現実はそう単純ではない。しかし、現実がそうであるからこそ、花栄の真正直で生真面目な性格はまた美点でもある。


 見えていない者がいるのなら、それを正しく導いてやるのが「見えている者」の役目なのだ。

 だから、今回の花毅の差配にしても、花栄と樊虞候の腕の良し悪しというよりは、単に二人の向き不向きを鑑みたという、ただそれだけの話である。

 それが適材適所というものだ。


「まあ、小将軍らしいと言えばらしいですが。それに思い込みで『討死にした』と上奏した後で、死んだ筈の張本人にひょっこり顔を出される方が余程困ります」

「まぁな」

「州や県にはまだ…?」

「いや、あのな…そもそも上奏は正知寨の領分だぞ?現状、正知寨の安否はあくまで不明、今も栄が必死になって行方を捜してるってのに、その栄が戻って結論を出す前から、畏れ多い事をさせてくれるな。これで栄と一緒に正知寨(ヤツ)が顔でも出そうもんなら、それこそ後で何を言われるか──と、つい今しがた言ってたのは何処の誰だ?」

「は。出過ぎた事を申しました」


 拱手し、口ではそう詫びる樊虞候であったが、それが単なるポーズである事くらい、長い付き合いの花毅は百も承知である。


「ところで、そのつい今しがた手前が室に入った折、押司達と首を揃えて上奏について協議されていたのは何処のどなたでしたか…ああ、いやいや、恐らく手前の見間違いでしょうな。物事の道理に明るい閣下が、まさか正知寨の安否も分からぬ内から──」

「あー、うるさいうるさい。仕方ないだろ、押司達(むこう)から『仕事が捗らん』と泣きついてきたんだから。俺はただ相談に乗ってやってただけだ。大体、世の中には建前ってモンがあるだろうが。今、使わないで、いつ使うんだよ」


 詫びた舌の根も乾かぬ内から存分に放たれた嫌味を「ほら見ろ」とばかりに待ち構えていた花毅は、言葉尻を待たずに顔を(しか)めて遮る。が、放った樊虞候もまた、自らが仕えるこの寨の主が、この程度の軽口に本気で腹を立てるほど狭量でない事を、十分に分かった上で毒突いている。


「さて、手前は一度宿舎に戻らせていただきます」

「ん?…ああ、それでか」

「…?何がでしょう?」

「今日はまた一段と嫌味に磨きが掛かってるが…昨夜から何かと雑務を頼み過ぎたからな。疲れが溜まって苛立ってたか?いや、すまんすまん──」

「いや、そういう事ではなく…そこまで気を回されると、却って気味が悪いのですが」


 遅かれ早かれ襲撃の事実は州や県に上奏しなければならない。その使者の責任は極めて重大だ。


 一報を上げれば、清風鎮の武を司る花毅はすぐにでも召還される事になる。県もそうだが、特に面子の懸かっている州での聴取はより厳格に、より詳細に行われるだろう。

 無論、そんな事は花毅の想定の内だ。そのために駆使すべく、あらゆる弁明もすでに用意してある。


 しかし、それとは別に報せが届いた時点でも──つまりは報せを届けた使者に対しても、聴取は当然行われる。

 その報告と花毅の報告が矛盾してしまっては目も当てられない。


 片や花毅が全力で賊に責任を(なす)り付けようというのに、片や使者は使者で「いや、悪いのは正知寨であって、賊の事情にも酌むべきところがある」などと主張されては、話がややこしくなる一方である。


 責任を負うべき者がすでに始末の目処を付けているのだから、責任を負わぬ者は横合いから口を挟むべきではない。

 主張するべき事だけを主張し、白を切るところは白を切り、そして自分の範疇にない事だからと丸投げするところは、徹底的に責を負う者へ丸投げすればいいのだ。いや、そうでなければ、話が丸く収まらない。


 そしてそれは本来、一介の虞候が担うべき役回りではない。


「何だ、察してたか。(あいつ)に任せるか迷ったんだがなぁ…」

「それはまあ…しかし、自分の都合と保身の事しか考えていないような者のところへ、大義をぶら下げ、建前を振り(かざ)して突進すれば、無駄な軋轢を生むのは目に見えています」


 要するに、これもまた適材適所というものだ。


「しかし、気味が悪いって事はないだろうが。何から何までお前に任せるのもどうかと思って迷ってたってのに」

「お心遣いは有り難く」

(あいつ)が戻れば、すぐに使者として発ってもらう事になるだろう。それまで多少なりとも身体を休めといてくれ」

「おや?その為にはまだ正知寨の生死も分からぬ今の内から、上奏をしたためておかねば間に合いませんが?」

「おい、樊よ…」

「いや、これは冗句が過ぎました。では、小将軍が戻られる頃までには支度を整えておきます」

「ん。すまんな」


 拝礼し、樊虞候は室を辞す。


 結局、花栄が西寨へ戻ったのは、南中をとうに過ぎた頃合いだった。

※1「族滅」

族誅、族殺とも。「三族」「九族」がどの程度の血縁者まで含むのかは、時代や為政者の機嫌によってまちまちのようです。

※2「聚義庁」

「聚」は「集める」「集まる」。寨の中央に置かれる集会場のようなもの。

※3「列聖」

歴代の皇帝。

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