第22話~呪いと専用武器
明けましておめっざーす!!
今年もよろしくお願いしまっす!
年末年始も休みなし!
正直、疲れるぜぃ!!
「ノーンさん、手の痺れは?」
狼戦にて、両手を負傷?したノーンさん。杖を持てなくなったため、山に行くことを断念。杖が無くても魔法は発動出来るが、気持ちの問題もある。ノーンさんは杖の力を借りながら、魔法を発動させていた。その杖を持つことが出来ないってことは、少なからず心に不安が出てくる。きちんと取得すれば、暴発はしないという。・・・が、本当にそうだろうか?普通のゲームならば、そんなことは起きずに発動するだろう。しかし、ここは普通のゲームではない。VRゲームなのである。極めて現実の感覚に近いVRゲーム。どんなに完璧な仕事が出来る人でも、ストレスが溜まれば調子が狂い、失敗する。極度の緊張や体調不良、色々なことが要因で失敗する。現実でも度々耳にすることが、このF.E.Oでも起きる可能性があると俺は思う。心配し過ぎとは思うが、念のためな。出来る限り安全に、死戻りせずに冒険がしたい。今回のことは良い経験になった。仲間と一緒なのに、驕った自分に対してな。・・・・・・何を語っているのかわかんなくなってきたな。とにかく安全第一ってことで、俺とノーンさんはシアルの街に戻ってきたわけだ。ま、それだけじゃないんだが。
「痺れが取れて、震えも止まりましたわ。」
両手をグー、パー、グー、パーと、握って開いてを繰り返すノーンさん。
「それはよかった。・・・んじゃノーンさん、俺は必要になるであろう物、いやスキルか?あるかどうかわからないが、それを買いに行くから一旦別れよう。」
「ええ、わかりましたけど・・・、でも・・・よろしいんですの?私の杖のために、新たなスキルを買うなんて。」
「気にしない気にしない、俺がやりたいからやるだけさ。作るなら、良い物を作りたいからな。ノーンさんだけの杖をね。」
ニッ・・・と笑い、俺は手を振りながらこの場を去る。ノーンさんは・・・、
「私だけの杖・・・、うふ・・・うふふふふ・・・!」
ブツブツとしゃがみ込んで、のの字やら何やらを書く彼女に周囲は引いていた。
「兄さん、〈付与〉〈細工〉の二つ・・・いや、〈織物〉と〈釣り〉もくれ。」
俺はスキル屋にて、〈付与〉〈細工〉〈織物〉〈釣り〉の四つを買うことにした。
「〈付与〉は20万G、〈織物〉〈細工〉は15万G、〈釣り〉は10万G、計60万Gになりなりなな・・・なりますぅ!」
ビクビクしながら、スキルの値段を言う店員の兄さん。・・・コイツ、前回もビビってたよなぁと思いながら、金を渡す。そして、スキル書を四つ貰う。買ってから思うこと、〈付与〉が高い。というか前回来た時は、今回買った四つのスキルはなかったハズだ。王都への道が開放されたからか?それとも、知らない内に俺が条件を満たしていたのか?ノーンさんの杖を生まれ変わらせるために、必要なスキルがあればいいなと来てみれば、俺の思い通りにあった。まぁラッキーと思うことにしよう。
〈付与〉とは、装備品などに魔法の力を加え、特殊な効果を与えることが出来るスキルである。一時的に属性を武器などに付与するのだ。俺の考え、妄想が正しければ、この〈付与〉と魔法スキル、生産スキルを組み合わせれば、属性付きの武器防具、装飾品に道具、薬や料理が作れるんじゃないかと考える。装備品に限っては、永続的に属性が付くんじゃないかとね。やってみなけりゃわからないが、出来るだろうと思う。残念なことに直接、人物に対して魔法の力を与えることは出来ないようだ。まぁ属性付きの何かが作れた時点で、〈付与〉と何かしらで人物などに短時間でも、属性を持たせることが出来るんじゃないかね?まだわからんけど。
〈細工〉とは、細かい作業に対して+補正が付くスキルである。何を作るにも細部まで、手を入れることが出来るようになるわけだ。それはつまり、更に丁寧でより良い物が作れるってことになる。思い描いた工夫もさほど苦労することなく、自作の物に反映されることになるだろう。それにだ、もしかすると生産系以外でも、スキル効果が期待出来るかもしれない。・・・罠とか?あれも細かい作業に入ると思うんだ、知らんけど。まぁとりあえず、潜在能力は高いだろうと俺は読む。だって15万もするんだぜ?
〈付与〉と〈細工〉はあれば買おうと思っていたもの、後の二つは目に入ったから買ったもの。まずは〈織物〉だな。
〈織物〉とは、糸を織って布を作るスキルである。あと、魔物などの毛も糸に変えることが出来るらしい。たとえば、だ。俺も含めてだが現段階で、ほとんどの生産者はラビットローブを作ることが出来る。作り方は簡単、〈裁縫〉を所持し、ウサギ皮があれば作れる。出来上がりのラビットローブを想像しながら、ウサギ皮を縫えば出来るのだ。流石はゲーム、簡単だね。だが、スキルがないと作れない、というか良い物が作れない。聞いた話によると、誰かが挑戦したらしい。スキルが無くても出来るんじゃね?と考えて。結果は失敗。無駄に時間が掛かり、無駄に材料を使い、出来た物は〔ラビットローブ?〕。性能は最低、その結果、生産はスキル持ちの生産者に任せようってことになったらしい。簡単だが、難しいのが生産者みたいだ。ちゃんとした想像力と作り方をなどを、きちんと考えなきゃいけないんだからな。何となくじゃ、良い物は作れないってことだ。そんなわけで、同じラビットローブでも、生産者によって完成品の形状が違う。個性が出るわけだ。ラビットローブ故に、性能は下の方。製作者によって、上下するが。これが一般的な、ラビットローブの作り方。・・・しかし、〈織物〉と〈裁縫〉を組み合わせると、作り方が変わる。用意するのはウサギの毛皮、コイツを糸に加工するのだ。加工の仕方は〈織物〉取得で手に入る、生産アーツ〔糸化〕を使えばいいらしい。・・・生産にもアーツがあるんだな。で、糸を作ったら織機で、ギッタンバッタン機織りすれば、ウサギの布が出来上がる。その布を使ってローブを縫えば、性能が格段に上がったラビットローブが作れるとのこと。やけに〈織物〉の説明が丁寧だと思ったら、スキル屋の店員の実家が織物屋らしい。・・・〈付与〉と組み合わせたら、魔力を帯びた布が作れそうだな、と思ってみたり。
〈釣り〉とは、水辺で魚などを釣るスキルである。俺の予想が正しければ、いや確実にだと思うが、食材を手に入れることが出来るだろう。・・・それだけのスキルじゃね?他に何があるのかわからない。魚など、などっていうのが気になる。ま、釣りをする時にわかるだろう。
以上がスキル屋店員の説明+俺の考えでした。さて、ノーンさんの元に戻りましょうかね。
なんかノーンさんがしゃがみ込んで、地面を弄っている。変なオーラを出して・・・。何をしているんだろうか、とりあえず声を掛けよう。
「待たせたなノーンさん。・・・で、何をしているんだ?」
ビクゥッ!!と激しく揺れるノーンさん。指で弄っていた箇所が抉れている。・・・指突ってスキルかアーツ、ありそうだなぁなんて思っていると、こちらに顔を向け赤くなるノーンさん。
「・・・・・・・・・。」
無言でこちらを見続ける。・・・???
「杖のことなんだが・・・。」
時間が勿体ないので、こちらから今後の予定について話そうと、
「つつつ杖はティルさんに預けますわ!夜、そう夜にはティルさんであれば、全て終わっていますわよね!ええ、ええ!そうですわ、そうに違いありません!」
そう言って、自分の杖を押し付けてくる。
「私の杖をよろしくお願いしますわ!・・・では、後ほど!」
ノーンさんは踵を返し、逃げ出した。よくわからないが、杖を託された以上、良い仕事をせねば。最初からそのつもりだったが。そういえば、ノーンさんは地面を抉って何をしていたのか?気になった俺は、ノーンさんがいた所に近付く。抉った場所を中心に何か書いて・・・。ダダダダダッ!!!凄い勢いでノーンさんが戻ってきた。その勢いのまま、地面に書かれたものを足で消しにかかる。そして、こちらに向き直り笑顔で、
「・・・ごめんあそばせ♪」
そう言って、再び逃げ出した。・・・なんだったのだろうか?俺はノーンさんが逃げ出した方向を、しばらく見つめていた。
俺は生産ギルドの受付にて、六日ぶりぐらいか?久々にエイミーさんと顔を合わせていた。
「・・・本当に、ご迷惑をお掛けしましたぁ!」
ペコペコ謝るエイミーさん。
「いやいや、謝るのはこっちだろ。無理させて悪かったな、エイミーさん。」
と、お互い数度、謝り合って落ち着いた。後は、他愛のない会話をしつつ、ギルドカードの更新をする。エイミーさんは笑顔で、
「おめでとうございます!ティルさんのギルドランクがDになりました!」
ああそういえば、ギルドカードを作った時に言ってたな。すぐにDになりそうです的なことを。えーと、確かランクCになるには、依頼もきっちりこなさなくてはならなかったハズ。いつも通り頑張れば、なんとかなるだろ。
「これでティルさんは、一人前の職人さんと認められました!やれることが一気に増えますよ?ガンバ・・・です!!」
久々のエイミーさん、燃えてるねぇアツいねぇ。それに以前より、輝いているというか、オーラが違うというか、相変わらず可愛いね。なんて思っていると、
「あっ!ティルさんだ!」
声をした方に顔を向けると、だいぶ前にフレンド登録をしたディジーさんがいた。
「私が生産ギルドの2号ですよ、1号は勿論ティルさんです!」
テンション高いな、この娘。ただのビビリーだと思っていたが、元気っ娘ってわけか。
「そうか、俺以外でここに来たのがディジーさんで二人目、・・・おめでとうと言っておこうかね。」
「ありがとうございます!」
目をキラキラさせながら、礼を言ってくる。なんだぁ、その目は。何故にキラキラさせるか?解せぬ。・・・おっと、それよりも杖だ。そのために生産ギルドへと来たんだ。
「今日も元気に生産ってなわけで、作業場に行かせてもらうぞ。」
「わかりました。・・・当然ですが、お手伝いしますからね?」
ふんす!と気合を入れるエイミーさんだが、大丈夫なのか?この間みたいに、疲労?で数日休むことにならないだろうか?と心配になり、聞いてみた。
「大丈夫ですよ、むしろパワーアップしたのです!スーパーエイミーさんなのですよ!」
・・・なんじゃそりゃ。あの後、夢の中で神様に会ったんだと言う。『ギャバシティを大きくしたから、安心して悪人顔に付いて行きなさい。』とご神託を賜ったんだと熱弁をふるうエイミーさん。ギャバシティ?どんな街だよソレ。そもそも、悪人顔って。神様よぉ、ナメてんのか!・・・・・・あ、キャパシティのことかエイミーさん。思考の海に沈みそうになった俺に、
「ティルさん!見学は可能でしょうか!?」
見られて困ることもなし、ディジーさんも生産者、俺の仕事が気になるんだろうね。
「構わないが・・・。」
軽く了承しました。
「では、杖を生まれ変わらせるにあたり、失敗はイヤなので練習がてら、杖を作ろうかと思う。エイミーさんは木材で適当な杖を作ってくれ、あっ杖の先端に台座を作るのを忘れずに。ディジーさんは、とりあえず静かに見学を。作業場を見回るのもアリだ。」
俺は二人に指示を出し、ボックスから魔石を取り出す。この魔石は、山で採掘した物だ。俺の手の中にある魔石を見て、ディジーさんは目を丸くしている。聞かれる前に説明した。山の発掘ポイントで手に入れたこと、石巨人が出現する場所の奥にあるポイントで採掘したことを。
「ふぉー・・・!現時点で手の届かぬ物ですか!・・・因みにティルさん、もう一度そこに・・・行かないですか。デスヨネー、ゴーレムやばいっすもんねー。」
規格外ステの俺でも、あそこはまだ行く勇気が湧かない。石巨人対処法が見付かれば、行くのだろうが。ま、今は魔石の加工が先だな。丸く加工したいが、そんなに大きな魔石じゃないからな。・・・ダイヤとかみたいに、カットしていくか。武器を研ぐための砥石で出来るだろうか?
・・・・・・出来ました。我ながらいいカットだな。なんの変哲もない魔石が宝石のようだ。作業中のエイミーさんも、見学のディジーさんも物欲しげにしている。女性は宝石の類いが好きだからな。〈細工〉が上手く発動してくれてよかったよ。このスキルがなかったら、かなり苦労しそうだもんな。うーん、スキルは偉大なり。次はこの魔石に属性を付けなくては。〈付与〉があるから出来ると思うんだが、どうだろうか?今、LVが高いのは〈闇〉だな。いくぜ、〈闇〉・・・!!
・・・ふー、出来た。出来てしまったな。無色透明だったカット魔石が、黒々とした呪いの宝石的な物へと変わった。こいつはしんどい、精神的にかなり疲れた。出来上がったのがコレ。
〔闇の魔宝石〕器用にカットされた魔石に、闇の魔力を付与して出来た魔宝石。魔力の純度はそんなに高くないが、所持者のINTを上げる効果がある。 INT+3(特殊効果:闇属性微弱上昇・光属性微弱下降)【闇属性】【製作者:ティル】
となった。なかなかの性能じゃないか。魔力の純度が低いのは、慣れてないからであろう。何度かやれば、少しずつでも純度が上がるだろう。それとも、何かしらのスキルがあればいいのだろうか?今までの経験上、スキルの組み合わせ次第で、多大な効果があるってのがわかったからな。・・・そう考えると、逆に下がるような組み合わせもあるのだろうか?・・・・・・ありそうで恐いな。いや、きっとあるだろう。出来る限り、気を付けよう。それはさておき、本当は水にしたかったんだが、生憎俺は水を使えない。スキルを買っても、LV1じゃ意味を成さないだろう。だったら、得意とする闇といっても、単純にLVが一番高いだけだが、そちらの方が良い物が出来ると思うからな。現に出来たわけだし。ノーンさんのことだ、そのうち闇も使えるようになるだろ。さてと、
「ディジーさん、全てが終わったら教えよう。今は少し待て。」
質問される前に、先手を打つ。何かを言おうとしたディジーさんは、ピタリと動きを止めた。うむ、それでいい。合間合間に説明は面倒だからな。エイミーさんの方は、
「杖が出来ました!」
出来た杖を受け取り、見てみる。・・・・・・うむ、まずまずだな。何様だと思うかもしれないが、手に持った瞬間そう思った。これも能力やスキルの効果なのだろうか?
「腕を上げたようだな、エイミーさん。だが、まだまだだ。」
「頑張りますよ、私!ティルさんのパートナーとして、目指せ!ギルド幹部!!」
大きく出たなエイミーさん。だがまぁ、目標があるのは良いこと、デカければなお・・・な。
エイミーさんの作った杖と、この魔宝石を合わせる作業で最後だな。作業は簡単、杖の台座に魔宝石を填める、以上。振ったら外れそう・・・。お、そうだ。魔宝石を填めたこの杖に、付与で闇の魔力を注いだら、魔宝石と杖がなじんで外れなくなるんじゃなかろうか。やってみる価値はありそうだな。・・・いくぞ。
なじめぇ~、くっつけぇ~、外れるなぁ~、なじめぇ~、くっつけぇ~、外れるなぁ~・・・。
そんなことを念じながら、闇を付与する。そして出来たのが、
〔闇黒の魔杖〕闇の魔宝石が杖の台座に鎮座する闇の杖。製作者の呪念をその身に受けて、呪われた杖となってしまった。 HP-100 MP+30 STR-10 DEF-30 INT+35 AGL-10 DEX-20 MED+10 LUK-30(特殊効果:装備解除不可・闇属性弱上昇・光属性弱下降・散漫付加)スキル〈闇〉取得【闇属性】【製作者:ティル】
呪い装備が出来たじゃないか!俺の願いは呪いか!?運営は俺に敵意を向けているのか!?変な称号を俺に付けやがったし!・・・スゲー嫌な予感がする!おそるおそるギルドカードを見ると、スキル欄に、
〈呪い〉:稀に、生産した無・光属性以外の武器・防具・装飾品などに呪いを付与する。闇魔法にバッドステータス付加が追加される。【特殊】
・・・・・・なんという、・・・なんということだ。俺はガクリと片膝を付き、項垂れる。
「「ティルさん!?」」
エイミーさんとディジーさんが驚いて声をかけるが、俺は項垂れたままだ。なんつースキルを取得してしまっているんだ。呪いの武具などが出来る可能性があるのかよ。せめてもの救いは、無属性、光属性は大丈夫だってことか。だがまぁ、稀ってあるからな。なんとかなるだろう。闇魔法も強化されるみたいだし。とりあえず、控えの方に入れておけば影響は・・・、あれぇ~!?
【固有スキル】
〈俺流〉LV30
〈呪い〉LV1 NEW!
オイィィィィッ!!固有かよ!?外せないじゃん!・・・・・・俺は生産活動をするにあたり、デメリットが生じる男となってしまった。だが、エイミーさんとディジーさんは、
「「凄いです!呪いの武器を作るなんて!しかもスキルまで!!」」
と俺を讃える。・・・そうだな、凄いことだな。きっと俺なら使いこなせる、そう思うことにしよう。
一時は落ち込んだ俺だが、ポジティブな二人のお陰で持ち直した。んで、なんやかんやで失敗しながらも、ノーンさんの杖を生まれ変わらせることに成功。胸をなで下ろした。
〔慈愛の光杖〕光の魔宝石が杖の台座に鎮座する光の杖。所持者の想いに応えるべく、生まれ変わった。 HP+10 MP+20 STR+7 INT+20 MED+11 LUK+8(特殊効果:光属性微弱上昇・回復量上昇)スキル〈光〉取得【光属性】【ノーン専用】【製作者:ティル】
我ながら恐ろしい、高性能に過ぎる。ノーンさんの杖、凄いな。ノーンさんがこの杖を大事にする限り、成長していくんだろう。いずれは、意思ある杖に・・・。なんていうんだっけ?イン・・・インデ・・・インテリ・・・?んー、忘れたけどそうなればいいな。後は練習がてら作った杖はどうするか?ピンからキリまであるが、まぁその内、売るか。後は、ディジーさんに色々教える約束をしていたな。ノーンさんから連絡がくるまで、付き合いますか。
「じゃあ、今回はここまでな。」
「ありがとうございます!勉強になりました!」
「気にするな、情報とかは好きにしてくれて構わないから。」
「いいんですか!?」
「別にいいだろ?これがきっかけで、俺の知らない組み合わせが、わかるかも知れないんだから。」
「流石はティルさん!カッコイイ!!」
尊敬の眼差しで見てくるディジーさん。エイミーさんは、微妙に苦笑い。俺と同じことを考えているんだろう。それはつまり・・・、
((無理だろうなぁ~、情報があっても技術がねぇ~。))
俺流効果に称号効果、スキルLVなどの恩恵もあっての俺情報。普通で実践したら、どれくらい大変なんだろうか?・・・その内、俺も掲示板に行ってみるか。・・・アレ?俺って性格悪い?
エイミーさんは受付業務に戻った、働き者だね。流石はスーパーだ。ディジーさんは、『早速、実践です!例え無理でも、挑戦あるのみ!』ということで、共同作業場に消えた。あー・・・無理ってわかってたのか。それでも挑戦するってのは、凄いな。彼女には目をかけておくか。というか、対応するスキルはあるのかね?
・・・で、俺はノーンさんに会心の杖を渡した。
「ヒィッ!なんですの!?この凄まじい杖は!!」
予想通りに驚いていた。装備説明通り、装備したら〈光〉を取得したっぽい。・・・あの呪い装備を装備したら、〈闇〉を取得出来るんだな。・・・スゲー試したい、誰かにあげるか?なんて思っていると、
「所持金を全て渡しても、足りませんわ!ああ、私はどうしたら!」
ノーンさんが天を仰いで取り乱していた。プルプルして可愛いな。だがまぁ、
「俺がやりたいからやっただけで、気にしないでくれ。」
「ですが、これはあまりにも・・・。」
「んー、だったら・・・そうだな。俺が連絡した時に暇だったら、付き合うってどうだ?」
「それでいいんですの?」
「いいよソレで。俺が楽しければいいし、その流れでノーンさんも楽しめれば最高だろ?」
「それは・・・、最高ですけれど・・・。」
ノーンさんは、渋々了承してくれた。基本ソロでいきたい俺に、必要な時に助けてくれる仲間が出来たわけだ。・・・しかし最近、ソロしてないな。どれ、そろそろ一人で動こうかね。折角だし、釣りにでも行くか?スキルを取得したことだしな。
あ、そうだ。狼素材も貯まったから、何か作るかな。毛皮を生産アーツの〔糸化〕で糸に変えて、布を作って、防具を作る。・・・狼コート的な物が作れるか?あと、竿も作らなくては。やりたいことだらけで辛いぜ。
生産ばっかで、女の子ばっか。
ノーンさんは、ほぼレギュラーか!?
男も出さなきゃ、かね。
今後のティルは王都に行くべきか、別の国に行くべきか、南のリアル公国辺りに。それともいつも通り、シアル周辺をぶらぶらするか。
むむむ、悩むぜ。




