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と、今度は、満面の笑みを浮かべている。とても冗談とは思えないんだけど……。僕は心の叫びを抑え込んだ。
「……はい。あ、あの、今回の事件は何だか、宗教的だなと思いまして」
「宗教的?」
「はい。その、摘出とか」
「……確かに、そう言われてみると、そのような気もしますね」
「あと、遺体が見つからないのは、犯人が遺棄したくないのかな、とか」
「……では、なぜ犯人は最初の遺体だけ遺棄したのでしょうか? それが分かれば苦労しないんですが、あればもっといいのが目撃証言」
「そう、それなんですよね」
「ブラッドリーさん。その話し、どなたかからお聴きになりました?」
……鋭い。やはり、その若さで警部補になるくらいだ。笑顔を絶やさない、爽やかな人だと思っていたけど、侮れないな。
「いえ、聴いたというか、ちょっと知り合いと話していたら、そういう流れになったものですから」
「そうですか。わかりました。ところで、お昼は食べました? ブラッドリーさん」
「はい。軽くサンドイッチを」
「では、途中で何か買って行きましょう。アンクル・サムからの奢りです」
サムさんの家へ来る途中にあったお店で、名物の〈ボストン・ベイクドビーンズ〉を買った。要はポークビーンズのことだ。ちなみにボストンはそのため、別名、ビーンズ・タウンと言われる。この食べ物は、正教徒が安息日に作ったのが始まりで、いんげん豆、豚肉、野菜をトマト・ケチャップで味付けし、コーン・ブレッドと一緒に食べる。
僕はそれをテーブルに置いた。
「あの、何か手伝うことはありますか? サムさん」
「そうですね。では、このコーヒー豆が入った袋のガス抜きをして頂けますか? この針で穴を開けて下さい」
「はい」
パンパンになった袋を彼から受け取り、僕は言われた通りに穴を開けた。サムさんはケトルに水を入れ、ストーブにかけている。
「これでいいですか?」
僕は、しぼんだ袋を彼に渡した。
「ありがとうございます。このコーヒー豆は、三日前に買ったんですよ。ブラッドリーさんに、美味しいコーヒーを飲んで欲しくて」
「何だか、気を使って頂いてすみません」
「どういたしまして。さあ、ここからは初動捜査のようにデリケート且つスピードある行動が物を言いますよ。コーヒー豆は外に出すと、どんどん風味が失われていきますので。ブラッドリーさんは椅子に座って見ていて下さいね」
「は、はい」




