表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

1.中学1年生

 僕は今とても後悔している。あの時の誤りに。あの時の自分の愚かさに。


僕は今年中学1年生になった。部活はマーチングバンド部に入った。小学生の時にこの学院の文化祭に行った時に、この部の演奏に感動した。だからこの学院に入学し、マーチングバンド部に入った。パートはドラムだった。僕は期待で胸を膨らませていた。しかし、それは瞬く間に打ちのめされた。この学院のマーチングバンド部は強豪校のひとつであり、全国大会の常連でもあった。そのため、僕は毎日つまらない基礎練習ばかりやらされていた。それに加え、同じパートの同級生ともうまくいかず総スカンを喰らい、違うパートの同級生から暴力を受けていた。それだけではなかった。先輩たちからも嫌われ、「地球外生命体」と呼ばれるほどだった。顧問も見て見ぬふりだった。とうとうこの部活での自分の居場所がなくなってしまった。だから辞めようと思った。そして親に退部の話を持ちかけた。しかし、「もうお金は払っちゃったんだから続けなさい」と言われた。だから僕は恨んだ。僕を拒絶したマーチングバンド部を、僕を理解しなかった親を、そして浅はかな僕自身を。


そして時は過ぎ、3学期が始まったばかりのある日、僕は部活をサボった。いきなり僕の携帯がなった。僕の一番嫌いな福井先輩だった。いつもならサボっても、理由さえ報告していればこんなことはないのに。もちろん今回もちゃんと理由を報告した。なのに携帯がなった。そして、「今すぐ部室に来い」と言われた。ここで断るともっと面倒なことになるのは明白だったので、渋々行くことにした。どうやら僕は先輩を侮っていたらしく、サボっていたことがばれていた。当然怒られた。しかし、いつもの福井先輩の怒り方ではなかった。いつもならただひたすら怒鳴り続け、何を言っているのか分からないほどだった。なのに今回は言葉を選びながら、冷静に怒っていた。そして「おまえいじめられてるだろ、だから私がそいつら絞めてやるよ」女の先輩なのに男口調でそう言った。そしてその日の部活終了日、僕に暴力を振るっていたメンバーは福井先輩と部長と副部長、合計3人の先輩にたっぷり怒られた。それ以来僕は暴力を受けることはなかった。しかし、僕は福井先輩に「感謝」という感情を持ち合わせることは無かった。すでに僕はこの部活を見限り、何の期待も出来ず、この部において何も感じることが出来なかったからだ。


この時から後悔は始まっていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ