その3:2026年2月25日水曜日・G県N市新町交差点「BARアムリタ」④
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G県N市連続電車飛込事故について
【宛先】AIRA_HARA
【送信者】KAREN_YOMINO
アイラ、おつかれさま。
とりあえず、今思いついたことを送ります。
結論から言うと、この件は“見えない何か”が定期的に、その時間だけそこに現れている可能性が高いと思う。過去の駅事故とは何も関係のない、“いつもはそこにいない霊”の仕業だと考えている。
2週間おきの金曜日。第2・第4金曜日であることから、医療に関わる定期の予定――定期通院、持病の検査、心理カウンセリングなど――が最も合致しやすいパターン。
だから、「亡くなったことに気付かないまま、今も定期通院のために隔週金曜日8時5分発の電車に乗ろうとしてN市駅へ向かっている霊」という可能性が最も高いと思う。
また何か気付いたことがあれば、メールします。
アイラのことだから心配はしていないけれど気をつけてね。
黄泉野カレン
◇◆◇
「そのときしかいないのなら、あのときいるわけなかったということかぁ。」
2026年2月26日、午前4時。
原アイラの朝は早い――いや、世間一般からすれば“とても早い”と言うべきだろう。
ベッドから体を起こした瞬間、冬とは違う柔らかな暖かさを肌が感じ取った。寝る前に見た天気予報では「今日と明日は暖かくなる」と言っていたが、まだ外は真っ暗な早朝にもかかわらず、すでに冬の空気ではないことがわかる。
目をこすりながらスマートフォンに視線を向けると、新着メールの通知が光っていた。
開いてみれば、昨夜BARアムリタで一緒だった黄泉野カレンからのもの。内容を読み終えたアイラは、なるほど、と苦笑いを浮かべた。
2月16日(月)。台湾酒場でカレンと食事をしたあと、その後数日間、アイラは定期的にN市駅の様子を見に行っていた。2月20日(金)には、8時5分の電車が入る前に入場券を購入してホームに立っていた。
だが、毎回の結論は同じだった。「いるにはいるが、そういうのはいない。」
つまり、霊はいるが“事故を起こすような霊”はいない――そういう感覚。
しかし、カレンの推論が正しいとすれば、“それらしいものがいない”のも当然だ。
この依頼を受けたのは2月13日(第2金曜日)の事故のあとである、2月16日(月)。
そしてアイラが駅を見に行っていたのは、次の第4金曜日が来るまでの期間。
そして――2月第4金曜日である 2月27日は“明日” なのだ。
「さて、それなら明日はその“見えない何かの顔を拝める”ってわけか。」
アイラの目が鋭く細まった。だがその表情には、警戒心ではなく、どこか、これから起こる出来事を心の底から楽しみにしているような――そんな笑みが浮かんでいるかのようだった。
“見えない何か”は、明日。2月27日、金曜日の8時5分N市駅ホーム改札口正面付近の電車入り口に必ず現れる。
アイラはその確信を意識の奥にしっかりと刻みつけ、左の手のひらに右の拳を パンッ と打ちつけた。




