表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Blood/Bullet/Parade  作者: FRIDAY
参 Betrey/Blaze/Boost
24/51

24.死んだ者、生きる者

 作戦の終了からちょうど一週間後、相葉はようやく晴れて釈放された。


「おめでとー! 出所祝いだね!」

 身柄を引き取った筧について休憩室に入るや否や、久坂くさかが大げさなくらいの勢いで相葉を祝福した。


「出所……」

「まあ、間違ってはいないだろう。七班から拘留処分になったのはお前だけだったしな……まあ座れ。ささやかだが、祝ってやろう」


 はあ、と相葉は頷き、何が仕掛けられているのだろうと勘ぐりながらもとりあえず手近な椅子に座る。その眼前に、かけいや久坂を初めとして七班のメンバーから、続々とボトルジュースが並べられた。


「……これは?」

 全てそこの自動販売機で買えるジュースだ。ふふ、と小さく笑いながら筧は肩をすくめた。


「出所祝いだよ。ありがたく受け取れ」

「はあ……」


 受け取れと言われても。ペットボトルは優に十本はある。そっくり渡されてもとても今飲み切れる量ではない――本当に受け取るべきは物ではなく気持ち、ということだろうか。


「あ、それからねえ、相葉くん。新人さんと顔合わせだよ」

 軽い調子で言いながら、久坂がふたりの人物の背を押してくる。確かにそのふたりは、相葉の見知らぬ人物だった。

「相葉くんが拘留されてる間に七班に配属された、新人さんふたり。初対面だよね?」

 ああ、と相葉は頷く。説明する久坂が今さっき置いたばかりの出所祝いジュースを開封し実に自然に口を付けているのがやや気になったが、この本数だ、一本くらい気にしない。


 相葉は座ったままの高さから、そのふたりを見上げる。

 片や相葉よりやや年下くらいの少年。そしてもう一方は相葉より一回りは年上であろう大男だった。

「は、初めまして! 僕、折笠おりかさ芳文ひろぶみです! よろしくお願いします!」

「え、ああ。初めまして」

「おう、俺は綿池わたいけ景山かげやまだ。よろしくな」

「どうも……相葉・瀬音です」

 がっちりと握手する。新人と言いながら、綿池は相葉よりずっと軍人らしい風体だった。折笠は見るからに気弱そうな見た目だ。


「はっはっは、お前が、先の戦闘で味方を殺しちまったって奴なんだな。全然人を殺せそうな顔じゃねェや」

「いや、だから綿池さん、あれは誤射だって話だったじゃないですか……」

「ん、そうだったか? まあお前もお前で、虫も殺せそうにない顔してるけどな」

 何だかすっかり馴染んでいる雰囲気だ。軽く気圧されている相葉の肩を、苦笑しながら筧が軽く叩いた。


「先輩といっても、実戦一度の差だ。その差は確かに大きいが、訓練の内容は変わらん――一週間も牢にいたんだから、すっかり身体も鈍っているだろう。明日からまた訓練だ。くたばる寸前まで、私が直接叩きのめしてやろう」

「うわ、コヒメちゃんに直に訓練されるなんて、死ぬ……」


 後ろで久坂が素で青い顔をしている。見れば、綿池と折笠も若干青ざめていた。既にふたりも筧に潰されているのかもしれない。

 と、面々の反応に半目になりながらも、そっと一瞬だけ、筧は相葉の耳元に口を近づけた。


「忘れるな、相葉。お前が生き残ったこと、生き延びたこと――今、確かに生きているということを」


 生きている。

 そう、相葉は生き残り、生き延びて――生きている。


 長島・譲は死んだ。

 相葉が殺した。けれども、誰に、どのように殺されたのかは、あまり関係がない――どのような過程を経ていても、とにかく長島はもういない。

 長島だけではない。

 新人が入ってきたということは、それと同数か、それ以上の人数がいなくなったということだ。


 新兵と熟練兵とを問わず。

 簡単に、次々と死んでいく。

 その中で。


 相葉は、生き続けている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ