オミユシとの再会
消えかけている2つの命――アバンフのロレンスマークとオルト。
2人を助けるため、不死王は治癒師を探していた。
全身に巻いた包帯の一部を揺らしながら、何度も転移してオミユシとの距離を少しずつ詰めていた。
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お茶を飲みながら、3人の護衛と静かに会話するオミユシ。
コーォッ!コーォッ!
突然、頭上の白フクロウが鳴き始め、羽をバタバタさせ始めた。
それと同時に聞き覚えのある声が降りてくる。
「少しくらい時間はあるよな?」
オミユシはその言葉に答えることなく、しきりに羽ばたこうとするフクロウの背中を撫でてなだめようとする。
次の瞬間には何の前触れもなく、さっきまで目の前にあった気持ちのいい緑の景色がなくなっていた。
代わりに、茶色い大きな紙袋が山積みされている、薄暗い部屋。蒸し蒸ししている。
オミユシはまっすぐ前を見つめたまま。
頭上の白フクロウの背中を撫でている。
陶器製の薄い仮面を被っているので、どこを見て、どういう表情なのかはわからない。
「少しばかり、ついてきてくれないか?」
「……」
オミユシは左右に首を回す。
「もう、連れて来てないか?」
不死王は仰向けになっている2人の男のもとへと歩を進める。
「この2人を助けてほしい」
「……」
オミユシは2人を見つめたまま固まっている。
「どうした?」
「ここで治せなくもないが……私がいた場所に連れていけるか?」
「うむ」
◇◇◇
地下食糧庫の外。
つま先で地面を叩く間隔がだんだんと早くなる。
「まだか……少し様子を見てこい」
兵士隊長シエンスは不機嫌そうに近くにいた兵士の1人に指示を出した。
その兵士は走っていき、中へと入っていったが、すぐに出てきた。
「誰もいません」
シエンスも中に入り、くまなく探したが、どこにも3人の姿はない。
「この穴はなんだ?」
壁には目線の高さに手のひらより少し大きい穴が開いていた。
顔を近づけても、奥は見えない。しかし、顔に外の空気が当たるのを感じる。
ふとシエンスは振り返り、そこにいた兵士たちに指示を出した。
「手掛かりがないか、くまなく探せ。あと、おまえとおまえ、この穴の先がどうなってるか確認しろ」
そう言うと、シエンスは走って食糧庫から出て行った。
◇◇◇
アバンフの中央塔最上階。
そこには小さな噴水がある。
その周囲を兵士3人が立ち、無表情でじっと中の様子を見ていた。
その中で一心不乱に水浴びしているのはコマゾスの娘クーリャ。
「おまえ何をしている」
兵士たちの後ろからコマゾスが声をかける。
兵士たちは一歩下がると、コマゾスの道を黙って開けた。
クーリャはまぶしそうに、うれしそうにコマゾスに視線を送る。
クーリャはコマゾスの言葉に答えることなく、手で水しぶきをあげ、何度も虹を作る。
水しぶきを上げないとすぐに消える虹を嬉しそうに見上げている。
落ちてくる水滴を目を閉じた顔で受けてから、再び両手で水をすくっている。
ロレンスマークとクーリャは結婚して、もう10年近い。
なのに、まだ子供はできていない。
コマゾスは30すぎの無邪気なクーリャを腕組みをして眺めていた。
(まさか、ロレンスマークがな……)
すでにアバンフの実権は手中にある。
あとは未来にどう託すかだけだ。
跡取りを作れないのか、作らないか。
クーリャには問題がないはず……。コマゾスはロレンスマークに苛立ちを募らせていた。
「コマゾス様!」
眉間にシワを寄せたコマゾスが振り返る。
そこには兵士隊長シエンスが跪いていた。
「ロレンスマークとオルトが消えました」
コマゾスの眉間のシワが小刻みに震えていた。




