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ライフル暴走  作者: 河田 げんずい
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2章 捜査中①

 海道はただ一人町外れの酒場に来ていた。

 扉を開け中に入る。店内は酒のにおいが充満していた。

 いくつかの机。明かり。そして、並べた酒の数々。

 ただ、風景を描写していくだけならば、そこらの酒場と変わりはなかっただろう。

 違うのは、その場の空気だ。

 客達は一見すると、普通の客達だ。しかし、元・及び現役の犯罪者だけあって雰囲気が一般人と違うのが分った。警察官である海道なら、その違いが分かる。

「うーす」

 海道はそう言って、いつもの席に座った。

「いつものやつ」

 海道の言葉にすぐさま、店員がビールを出した。海道はしか飲まない。

 海道は、それほど酒に強いタイプの人間ではない。だから、日本酒などのアルコール度数が高いものは飲めない。

「マスター、ちょっと聞きたいのだけどさー」

 海道は事件の事を話しはじめた。

「ま、それだけの技術の持ち主なら何人か心当たりはあるが・・ざっと10人ほどだな」

「そいつらの住所と名前を教えてくれないか」

「わかった。ちょっと待っとけ」

 そういって、マスターは店の奥に入っていた。1分ほどして戻ってきた。手に紙を持っている。

「ほら、これだ」

 マスターは紙を海道に渡した。

 紙には、IT関係の技術者の名が載っていた。名前・住所・会社名・勤務先の住所などがぎっしり書いてある。単純に技術力が高いだけでなく裏社会につながっている人物だけをリスト化したものだ。

「お、すまねえな」

「なに、たいしたことねえよ。ただ、このリストに載っている人物が犯人かどうかわ知らんぞ」

「ああ、わかってる」


 海道の入手したリストを元に調査は開始された。リストに載っている人間を尾行し、怪しい動きがないか見張った。周囲の人間にそれとなく聞き込みもした。しかし、ライフル暴走事件に関与しているふしがない。

 数日後、海道と筑波とその他刑事仲間は会議室に集まっていた。まず、海道が調査結果を説明する。海道らしく、ぶっきらぼうな口調であったが、ちゃんとした説明になっており、参加者達はそれを理解できた。海道は協調性こそないもののけっして口下手というわけではなかった。

「と、いったところだ。これといって、犯人につながりそうな手がかかりは得られなかった」

 海道の報告は終わった。

 次に他のメンバーからの結果報告がなされた。海道と違い、彼らは別のルートを使っての捜査だったようだが、結果は同じく成果なし。

「各自からの報告は以上だが、何か質問は?」

 進行役の筑波が質問を促した。すると、刑事の一人が手を上げて発言した。

「これだけ探して手がかりが見つからないと言う事は、犯人はIT関係の技術者ではないということですか」

「いや、それはありえない。ITチームの調査結果にあったとおり、これだけ高度なプログラムを作るには相当なプログラミングに精通した人物でないとできないはずだ。コンピューターに関して一般的な知識しか持たない人間がこんな事をできるとは思わない」

 と、これは筑波。

 筑波自身も事件捜査の為、行動していた。海道の入手したリストからの捜査だったが、実際の捜査では筑波が中心となって行われた。海道は、あやしい人物のリストこそ入手したが、、射殺専門の立場とその性格からか聞き込みなどの捜査は、今一つ得意としていない。まして他の刑事と協力しての捜査などはさらに苦手なものだった。

「だったら犯人は誰なんでしょう」

 先ほどの刑事がまた発言する。当然の疑問だった。

「おそらくこのリストが前科者及びその予備軍とも言えるあやしい人物のリストだからだ。

犯人はプログラミングに精通しているものの、普段は全うなSEやプログラマーなどの仕事をついており、犯罪をしそうな様子は全くないのだろう」

「しかし、筑波さん。それなら捜査対象を絞り込むのは非常に大変ですよ。範囲が広すぎる」

当然の指摘だった。

 2092年の現在、コンピューター技術はさらなる進化を遂げた。生活のあらゆる所にコンピューターが使われている。パソコンやテレビはもちろんのこと、様々な物にコンピューターは使われている。そうでないものの方が今では珍しい。

 当然、その製品開発及び運営の為に技術者が雇用されている。技術者の数は21世紀の始めとは比べものにならないほど、増えていた。

「その通りだ。技術者全員を調べるとなれば、刑事はもっと数が必要だろうし、仮に刑事全てを動員できたとしても相当な時間がかかるだろう。そんなに時間がかかっているわけにもいかない。ただでさえ、マスコミがうるさいんだ。早く解決しないと、彼らはさらに騒ぎ出すに決まっている」

 筑波は海道の方に顔を向け、

「海道、何か意見はあるか」

「正直、俺もどうしていいかわからん。クソッ」

 と机を手でドンと叩いた。海道があきらかにいらだっているのが誰の目にもあきらかだった。

「落ち着け海道。いらいらしても事件が解決するわけではないぞ」

そういう海道をサポートするのは、いつも筑波の役割だった。だからこそ彼らは名コンビといえるのだった。

「わーってるよ。うーんどうしたらいいんだ」

 海道にもその答えがわからない。いい案が出ないまま会議は終わった。


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