最終話 エピローグ
リフィーに乗って、海を渡る。
首都ボザーダイアのあるゾクラナ帝国に向かった。
太陽騎士団を乗せた獣たちは、海を駆けていた。
海を渡り終えて、エルドウィンが肩を組んできた。
「わはははは、キールとの旅は楽しかったぞ」
「そりゃーどうも」
「隣国の騎士同士、いつか戦えることを楽しみしてるぞ」
バンバンと肩を叩いてきた。
「いや、だから戦わないっての。それに強いって。その手、ここで切り落としていくか?」
「わはははは、そしたら、お主と戦えなくなるではないか」
「だからそうするんだよ」
そんな冗談をかわして、太陽騎士団と別れた。
首都ボザーダイアに入ると、町の人々はリフィーに乗った俺たちに気づいた。
「新暗黒騎士の帰還だ」
「無事、任務が終わったんだな」
「世界を救ってくれて、ありがとう」
「暗黒騎士、バンザーイ」
大人から子供まで、リフィーを追いかけてくるように手を振って見送ってくれていた。
俺が軽く手を振ると、歓声と拍手があがった。
「ハハッ、これはすごいな」
「違うよ。世界を救ったキールがすごいんだよ」
エレナが言った。
「そうなのか……」
正直、俺にはよくわからなかった。
ただ、人々が喜んでくれるなら、それで良かった。
宮殿で、王と謁見することになった。
「新暗黒騎士パーティーよ、任務ご苦労だった」
「いえ、できることをしたまでです」
「うむ。これで、世界は闇の脅威から救われた。深く感謝する」
「ありがたきお言葉」
俺が頭を下げると、横に並んでいるエレナ、リーゼ、カリンも頭を下げた。
「お主たちによって、世界に平和をもたらされた。今ごろ、同じようにキールへの感謝の祈りがあげられていることだろう」
少したってから、各国の国王から、俺宛に感謝の書状が届いたのをあとから知った。
ちょうどその時、俺はボザーダイアにはいなかったのだ。
「この重大任務を果たした暗黒騎士パーティーよ。国をあげて祝福するぞ」
国王の一言で、夕方、首都ボザーダイアでパレードが開催された。
俺たちは馬車に乗って、歓声と拍手の中、手を振りつづけた。
「はぁ、手がつかれる……」
エレナは1度も手を降ろすことなく、笑みを振りまいていた。
さすが、王女ってところか……。
その夜の首都は、お祭りのように盛大に人々は喜びを分かち合った。
国王からしばしの休暇を与えられた。
その時間を利用して、俺たち4人はリフレリアに向かった。
さすがにこのままエレナ姫の安否がわからないと、本当に俺が賞金首にされかねない。
リフレリア国王との謁見で、国王に激高されることを覚悟していた。
だが、それは杞憂に終わった。
「ずいぶんと時間のかかったエレナとの散歩じゃったな」
「え……はい。少々、遠くまで連れていってしまいました」
「まぁ、よい……キールよ。よくぞ、世界を救ってくれた。そして、無事に戻ってきたことを嬉しく思う」
「国王の寛大なお心に感謝いたします」
「感謝するのは、我々のほうだ。本当に、平和をありがとう」
「いえ、できることをしたまでです」
「変わらないな、お主は……それと、妹と再会できてよかったな」
「はい」
それからリフレリアでも盛大な宴が繰り広げられた。
エレナ姫が戻ってきたことやリフレリア出身の賞金稼ぎが世界を救って英雄になったと、俺は酒をつがれつづけた。
夜もふけて、用意された客室のベッドにもぐりこんだ。
いつぶりだろう、1人でこうして横になるのは……。
だが、しばらくして夜の訪問者が来るのだった。
もちろん、ここにはジルという手引きする者がいたのだから。
それから、エレナとはしばしのお別れとなった。
エレナ姫は、リフレリアの城で、お姫様修行とお嫁さん修行をすることに。
「イヤだよ、キールとお別れするのなんて……」
と、エレナが泣きついてくる。
連れ出した俺も悪かったが、本来は、城で王女をしなければならないのだ。
「俺も、暗黒騎士の面倒を見てやらないといけないから」
「わかった。すぐに会いに行くから」
そう言って、エレナ姫と別れた。
首都ボザーダイアに戻ったつかの間、エレナは飛竜に乗ってやってきてしまった。
あぁ、飛竜の乗り方を教えるべきではなかったな……。
エレナがたびたびやってくることもあった2年間。
俺は、若き暗黒騎士たちを育てた。
リーゼとカリンも魔法使いの育成にはげんだ。
そして、若き暗黒騎士3人と魔法使い2人をふくめた新しい暗黒騎士パーティーが誕生した。
俺とリーゼ、カリンは、新生暗黒騎士パーティーに国をまかせることにした。
2年後。
「新婦エレナ・ツェッペリン
あなたはキール・エインスワースを夫とし
健やかなるときも
病めるときも
喜びのときも
悲しみのときも
富めるときも
貧しいときも
これを愛し
敬い
慰め合い
ともに助け合い
その命あるかぎり真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、もちろん、誓います!」
ヴェールをかぶったエレナ姫が言った。
「それでは、誓いのキスを」
牧師が静かに言う。
俺とエレナは向かい合った。
エレナの顔にかかるヴェールをあげる。
ゆっくりとエレナに顔を近づける。
そして、ゆっくりと唇を重ね合わせた。
その場にいた者たちから、盛大な拍手があがった。
エレナの父・バルドウィン国王は涙をこぼしていた。
俺とエレナ姫は、正式に夫婦となった。
城のバルコニーに出る。
俺たちをひと目見ようと、たくさんの人たちが集まっていた。
「おめでとう」
「姫さま、きれい」
「泣くな、国王……」
拍手とともに、お祝いの言葉があがる。
その中に知った顔がたくさんあった。
「ぼべべぼぉぼだびばじゅ(おめでとうございます)」
少し背の伸びたアルスが、涙と鼻水を垂らしていた。
「おめでとうございます。2人とも」
アルスの隣で、より大人らしくなったマオノが拍手をしていた。
「おめでとう」
1番後ろで、大きな飛竜に乗って、赤い鎧を身につけていたマレルダ。
「キール、エレナ姫、おめでとう」
タビタも嬉しそうに拍手をしてくれている。
「キール、おめでとう」
紅蓮騎士団団長レオンとそのメンバーも拍手を送ってくれている。
「わはははは、こりゃあめでたいぞ、キール」
太陽騎士団のエルドウィンが仲間の肩に腕を回して、肩を叩きつけていた。
他の八大騎士もかけつけて、拍手をし、手を振ってくれていた。
——みんな、ありがとう。
この日ばかりは、エレナ姫とともに、手を振りつづけた。
そして、次期リフレリア国王として任命されていた俺は、エレナ姫とともにこのリフレリアで賑やかに暮らしていくのだった。
こうして、暗黒騎士パーティーを追放された俺は、魔法の根源をあやつるマナと暗黒スキルで、賞金稼ぎとして無双しながら、生き別れた妹を探していたらいつの間にか世界をもすくった英雄となっていた。
終わり
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