第84話 暗黒騎士に指名される
ゾフィーは空中で、巨大な黒炎火球をに魔力を注ぎこんでいる。
「これでシックザールの計画に邪魔なヤツらは、町もろとも消えてもらう」
ゾフィーが手を振りおろすと、黒炎火球がゆっくりと落ちてくる。
「クッ……なんて俺たちは無力なんだ……」
カミルの手から剣が離れ落ちた。
「はっきり言って、あきらめるのが速いぜ。魔力が強いからって恐れるほどでもないぜ」
——マナ・リヒトメンブラン
黒剣をマナの光の保護膜で覆った。
そして、剣をかまえる。
「いったいどうする気じゃ?」
エルドウィンが聞いてきた。
「突き抜く」
地面をグッと踏みしめて、落下してくる火球に向かって飛びあがた。
そのまま火球に黒剣を突き刺す。
剣を振り切って、黒炎火球を切り刻んだ。
火球は黒い火の粉を散らせて消えた。
「なにっ?」
余裕の微笑みを浮かべていたゾフィーの表情が一転した。
俺は、火球を貫いた勢いそのままゾフィーへ向かっていく。
「グフッ」
黒剣でゾフィーの体を貫いた。
ゾフィーは剣をつかんで、抜こうとする。
「させるか」
ゾフィーに剣を突き刺したまま、地面に向ける。
そして、そのまま地面に突き落とす。
「ガハァッ」
もちろんゾフィーに剣は刺さったまま。
黒剣はゾフィーの体を貫いて、地面に刺さっている。
「こ、このっ……剣を抜けっ」
剣の刺さっている部分がわずかに光っている。
回復魔法か。
ふん、刺さりつづけている以上、ムダだ。
「やめろと言って、お前は町を破壊することをやめてくれたのか?」
「うっ、うるさい、黙れ」
「お前がどうなろうと知ったことじゃない。でも、その危険な指輪だけは、そのままにしておくわけにはいかないから、こっちで回収させてもらう」
ゾフィーに手をかざす。
——マナ・ベフライウング
白い光がゾフィーを包みこんだ。
「グアァ、や、やめろっ……ぎゃぁあああ……ヴェラ・ヴァレーリア教皇さまーーー」
ゾフィーの叫び声とともに、闇のオーラは光に吸収されていった。
ゾフィーの声が聞こえなくなると、ゾフィーは砂へと変わった。
コイツも元の肉体には戻れなかったか……。
闇の力を利用した結果か……。
砂は吹いた風に飛ばされていく。
残った砂の中にあった2つの闇の指輪を拾いあげた。
ここに来て、また2つも増えるとは……。
「兄さん、やりましたね」
リーゼが駆けよってきた。
「あぁ。これで、町に残っている獣や闇の騎士も消えたはずだ」
「わはははは、やりおるのぉ、キールよ」
エルドウィンに肩を組まれて、バンバン叩かれた。
強いっての、太陽騎士団のオッサン……。
「キール……」
カミル、ザラ、アーモットの暗黒騎士3人が俺の前に並んだ。
「キールの力がなければ、今ごろはこの首都ボザーダイアはなくなっていた。感謝する」
カミルは仮面を取った。
ザラとアーモットも仮面を取る。
そして、3人が頭を下げてきた。
「なに、たまたま通りがかっただけの賞金首だ」
「キール、あんた本当に賞金首なのか?」
カミルが聞いた。
「手配書があるからそうなんだろ。まぁ、シックザールが仕組んだことだとは思うが……」
「シックザールになにをしたんだよ……」
カミルは少しあきれていた。
「キールー」
リフィーに乗ったエレナが空から降りてきた。
「エレナ姫、無事だった?」
「うん、空にいたからね。動けなくなった町の人を助けたよ」
リフィーの首カゴには人が乗せられていた。
「団長」
他の太陽騎士団4人が、それぞれオレンジ色の獣に乗ってやってきた。
「お前たち。無事か? 当然、無事だな、わはははは」
「へー、ドラゴンに乗っていたのは、こんなかわいい子だったのかよぉ」
太陽騎士団の中でも1番大きな獣に乗っていた自身も獣っぽい男が、エレナをマジマジ見て言った。
「あなたの指示で、黒い獣たちの場所がわかって助かったわ」
太陽騎士団の女賢者がエレナに感謝した。
「よくやったな、エレナ姫」
「うん、えへへへ」
エレナは満面の笑みを見せてきた。
「カミル」
「国王さま……ご無事で」
宮殿の中から、お付きの者と出てきた国王にかけよった暗黒騎士たち。
「獣たちに扉を破られる寸前だったが……お主らが町を守ってくれたのか?」
「あ、いえ、この場を鎮めてくれたのは、キールたちと太陽騎士団……」
「太陽騎士団……なぜ、ここに」
国王も驚いた。
「初めまして、太陽騎士団団長のエルドウィン・フォン・ハックだ」
エルドウィンは、闇の指輪を捨てに行く途中であること、ここで起きたことを国王に説明した。
「そうだったか……敵国を助けてくれた太陽騎士団の広い心に帝国を代表して感謝する。このゾクラナ帝国に八大騎士の暗黒騎士がいれば、あなた方の手をわずらわせることもなかったが……」
「わはははは。本当の働き者は、キールたちだ」
「そなたたちが……今回は、帝国そしてこの首都ボザーダイアを救ってくれたこと、たいへん感謝する」
国王は頭を下げてきた。
「いえ、通りがかっただけですし」
「国王さま、彼キールは、スレッグ隊の暗黒騎士パーティーに所属されていたと」
「それはまことか? で、彼らは今? まったく所在がわからないで困っている」
国王が聞いてきた。
「途中から所属していたことは確かです。ただ、私は地獄の谷につづく手前の山でパーティーを追放されてしまいました。その後のことは、正直、わかりません。ただ……」
「ただ?」
「今回の敵が使った召喚魔法で、ミレイアと思われる者が現れました。おそらく闇に落ちたものかと……」
「あのミレイアがか?」
「はい」
「そうか……早急に首都を立て直して、新しい暗黒騎士パーティーを立てなければならぬまい。キール、暗黒騎士パーティーにいたのなら、お主がなってくれないか?」
——えっ?
「こ、国王さま……お言葉ですが、キールはなんらかの理由でパーティーを追放されました。きっとスレッグさまにもお考えあってのことで……なぜ、キールを」
カミルが丁寧に抗議しているように見えた。
次の暗黒騎士パーティーは、自分だというように。
「この場をおさめるほどの実力者で、追放されたとはいえ暗黒騎士パーティーに所属。だが、追放したスレッグたちは、その後、闇に落ちた可能性もある。それは、スレッグの判断ミスだ」
「し、しかし……」
「カミル、お前たちにはまだ使命をあずけられるほどの力はない」
「くっ……」
カミルは唇をかみしめる。
「わははははは、俺からも推薦してやるぞ、キール。八大騎士としての実力も十分じゃよ」
いや、だから、そう強く叩かないでくれ。
「すごい、兄さんが八大騎士」
「しかも、暗黒騎士パーティーって……」
カリンも驚いた。
「わー、キール、すごいすごい」
と、エレナが抱きついてきた。
「あ、いや、俺はそんな器じゃないし……」
「キールよ、そんなことはない。お主には十分その資格がある」
国王が俺を強く見つめてきた。
「そうじゃぞ、キール。我らと同じ八大騎士になれるんじゃ。とても名誉なことだ。我らと戦えるぞ」
エルドウィンが首に腕を回してきた。
「はっきり言って、それは面倒だぜ」
全員の視線が俺に集まっていた。
はぁ……。
「仕方ねーか。引き受けよう、暗黒騎士を」
「わはははは、それでこそ男じゃぞ」
「それではすぐにでも、儀式を……」
と、国王が言った。
「待ってくれ。まだ、俺たちにはやることがある」
「なんだ?」
「シックザール魔教会を倒す」
エレナ、リーゼ、カリン、そしてエルドウィンも強くうなずいた。
「おもしろかった!」
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