↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

83/93

第83話 召喚された闇の暗黒魔法使い

「暗黒の泉をなにに使うんだ?」


「ふふふ……こんな豊富なエネルギー源を、ただ暗黒を宿すためだけの飲み水にしておくのはもったいない。私たちが世界を支配するために有効活用させてもらう」


 ゾフィーが胸の前で両手を合わせた。


「神聖な暗黒の泉をそんなことに使わせるわけにはいかない」


 暗黒騎士のカミルが剣をかまえる。


「お前らは下がっていろ」


 俺は片腕を横に伸ばして、前に行くのを止めた。


「ふざけるな。ここは我々の国だ。八大騎士の暗黒騎士スレッグさまがいなくなった今、国を守るのは、我々、暗黒騎士だ」


「そうよ。暗黒騎士パーティーに少しいたくらいで、デカいこと言わないでくれる?」


 ザラの語気は強かった。


「はぁ……悪いがお前らが、かなう相手ではない」


「そんなことはないっすよ。俺らが本気を出せば、こんなヤツらなんて」


 アーモットが調子づいたように言う。


「だったら、はじめからそうしておけば、こんな事態になってはいなかっただろうがな」


「クッ」


 カミルはなにも言えず、唇をかんだ。


「ふふ、誰が立ち向かってこようと同じこと。召喚・闇世界魔女《イデヨ・ダークヴェルトウィッチ》」


 魔法陣から真っ黒い影が現れる。

 それは、魔女のようなシルエットだった。


 なんだか、とてもイヤな予感しかしない。

 あの立ち姿、見覚えがある。

 いつだったかブラックエリクサーを飲んだ四天王が、大剣を持った騎士と弓使いになっていたっけな。


 ——と、いうことはだ。


 闇のように黒い魔女が、手をかざしてきた。


 まるで壁を作るかのように、天井まで届く巨大な黒炎の球が生まれた。


「こ、この魔法は、暗黒大火球弾《ダークヒュージファイアボール》? この大きさは普通の魔法レベルじゃない」


 カミルはただただ火球を見あげることしかできない。


 ——暗黒騎士パーティーの1人、暗黒魔法の使い手ミレイア。


「えっ、えっ、えっ、こ、こんな魔法みたことない……」


 カリンは、まるで最後を悟ったように首を静かに振った。


「ここまでか……」


 カミルはうなだれる。


「まったく……はっきり言って、俺をなめてもらっちゃ困るぜ」


 黒炎の大火球が放たれると同時に、俺は火球に手をかざした。


 目の前から背後に向かって、白く光るベールに包まれる。


 黒炎の火球が光のベールの上を滑っていく。

 火球は、光のベールに触れたそばから消えていく。


「ふはははは。やりおるのぉ。あの強力な魔法を消すとは、さすがマナ徒じゃな」


 太陽騎士団のエルドウィンが、高らかに笑った。


「私たちを守った?」


 ザラは状況を把握できていない。


「そんな……暗黒剣を使い、あの暗黒魔法を消すなんて、いったい……」


 カミルも理解が追いついていない。


「なんて素晴らしい力の魔女なの……もっと見せてちょうだい」


 ゾフィーの声に応えるように、闇の魔女が両手をかざしてきた。


「少しわしにもやらせろ。食らえ——太陽(タイヨウ)」


 エルドウィンが剣を振りかざすと、目がくらむほどの光の球が闇の魔女に衝突する。


 闇の魔女の胴体半分がなくなった。

 しかし、すぐに闇が魔女の体を再生する。


 闇の魔女がふたたび両手をふりかざす。


 黒い稲妻が、いっさいの隙間を埋め尽くすように広がった。


 ——速いっ。


 とっさにマナの保護を展開する。


「大丈夫よ、兄さん」


 リーゼもマナの保護を展開してくれていた。


「あぁ、さすがリーゼ」


「さすがのマナ徒も強大な魔法の前では、ただ守るしかできないみたいね。このまま魔法を受けつづけて力尽きることね」


 ゾフィーの声が空間に響いた。


「その前に、コイツには消えてもらう」


 ミレイア。

 なにがあったかは知らないが、鎮まってもらうぞ。


「今からなにができるっていうのかしら? なにかをする手段はないんじゃなくて?」


「すでに手は打たれてるんだな、これが」


 闇の魔女に手をかざす。

 床に刺さったままの投擲ナイフから、白い光が闇の魔女を縛りあげた。


「エルガーをやったときのものを使う気か?」


「ご名答だ」


 ——マナ・ベフライウング


 白い光が闇の魔女を包みこむ。

 姿をかたどっていた闇が広い光に吸収されていく。


「させないわ。そんな光に飲まれるなら、その力を私によこしなさい」


 ゾフィーが両手の拳を突きつける。

 そこには闇の指輪あった。

 白い光の中から闇が流れ出て、闇の指輪に吸収されてしまった。


 おいおい、召喚した闇を吸収するとかありかよ。


「ふふふ……なんて素晴らしい魔法使いの力なのっ……」


 ゾフィーは、闇のオーラに包まれた。

 カクッとゾフィーの体から力が抜けて、首が下がった。


 そして、ふたたびゆっくりと顔があがる。

 それは、ゾフィーの顔であるが、ゾフィーの表情ではなかった。


「あぁ……どこかで見たヤツがいるかと思えば、いつか追放されたキールかしら」


「その声は……ミレイアか?」


「えぇ。知らない体に宿ったみたいね。まさか、こんな形で再会するとは……生きていたの?」


「おかげさまで、とても運が良くてな。お前ら、どうしてそんな状況になっている?」


「あら? 聞きたい? キールが追放されたあとのことを。長くなるわよ——そんな再会を懐かしんでいる状況じゃないのよ」


 突然、ゾフィーの声に切りかわった。


「うるさいわね。みずから私を体の中に入れておいて」


 ミレイアが言った。


「これは私の体。アンタは力だけ私にあずければいいのよ」


 胸の前で両手を合わせて魔力を練るゾフィーが言った。


「なっ、なにを? 私の意識が……クッ、キ、キール。私たちは死霊の山を越えることができず、地獄へ落ちたわ。そして、闇に飲まれた。あんたを追放したことがすべての元凶だったわ。でもね、あとはスレッグがやってくれるわ……」


 ミレイアの声は小さくなって消えていった。


「はぁ、はぁ、はぁ……やっと消えてくれたわね」


 ミレイア……。

 最後、なんて言った?

 スレッグがやってれる?

 いったいなにを?

 アイツはまだ生きているというのか?


「な、なんだ? あの女はスレッグさまのことを……おい、キールと言ったか? どういうことだ」


 カミルが聞いてきた。


「まったくわからない」


「暗黒騎士パーティーと一緒にいたんだろ?」


「知るかよ。俺が抜けたあとのことなんか……今、言っていたことが本当なら、スレッグも闇に飲まれたんだろうがな……」


「そんな……あのスレッグさまが闇に……キール、お前がスレッグさまになにかしたのか? だから、パーティーを追放されたんだろ?」


 おいおい、なんだその言いがかりは。


「知らねーよ。追放されたことと、パーティーが闇に飲まれたのは無関係だ」


「まさか、召喚した魔女と知り合いだったとは、不思議なこともあるようね。だったら、知り合いの魔法でこの町ごとあの世に送ってあげるわ」


 ニヤリと笑ったゾフィーは光に包まれると、天井をすり抜けていなくなってしまった。


「どこに行った、あの女は?」


 エルドウィンが聞いた。


「町ごとって言ったから、おそらく外だろ」


「クソッ。やらせはしない」


 と、カミルは駆け出す。


「待って」


 リーゼがカミルに声をかけた。


「なんだ?」


 リーゼが胸の前で両手を合わせる。

 一瞬、辺りが光に包まれる。


 次の瞬間には、宮殿の外に移動していた。


「リーゼお姉さまの移動魔法」


 カリンが言った。


「あそこ、あの女が……なんて魔力……」


 ザラが空を指差した。


 空に浮くゾフィーからは、闇のオーラが発せられていた。


 ゾフィーのかざした手の上には、巨大な黒炎の火球が今も大きくなりつづけている。


 火球の周囲を黒い雷が走ってもいた。


 ——あんなのが町に落ちれば、ここはもう……。


「おもしろかった!」

「キールたち、このあとどうなるのっ……!」

「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


下にある ☆☆☆☆☆ から、作品への応援お願いいたします。

おもしろかったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直な気持ちで大丈夫です!


続きが読みたい方は、ぜひブックマークもしていただけると本当にうれしいです。


よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。