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第56話 レッドエリクサーの化け物

 この声は、いったい……。


 外から聞こえてくる城が震えるほどの声の正体を確認するため、俺も城の外へ向かう。


 しかし、頭の中はリーゼのことでいっぱいだった。


 リーゼと再会できたことは嬉しい。

 生きていたことも……。

 ただ、シックザールの一員だったことは想定外だ。


 あの日、リーゼはシックザールに連れて行かれたのか……。


 もし、俺が1人で逃げず、リーゼと一緒に逃げていれば……。


 いまさら悔やんだところで、過去は変わらない。

 リーゼの存在を確認できた。

 ここからだ。


 城を出ると、暗くなっていた。

 都へ降りる階段の前で、紅蓮騎士団とともにレオンたちがいた。

 アレクサンダーもいまだ、横になったままだった。


「レオン」


「キール、あれを」


 レオンが、不気味なピンク色に灯った都を指差した。


「あれは、いったい……」


「わからない。あんなバカでかいモノを見たのは、はじめてだ。モンスターでも見たことがない」


 ピンク色の透き通った液体のような化け物。

 翼のないドラゴンに近いか……。

 足は見える範囲で6つ。

 首らしきモノはあるが、はっきりとした顔はない。


「高い位置にあるこの城とほぼ同じ高さか……」


「ゆっくりとだが、こっちに向かってきている。それと」


 レオンが上を指差した。


 リーゼ……。


 上を見あげると、ロスワルドとリーゼが宙に浮いて、都のそれを眺めていた。


「同時にレッドエリクサーを使うと、生まれるかもと言っていた魔力の集合体が、まさかここまでのモノになるとは……」


 ロスワルドが言った。


「使用する人数が多ければ多いほど、大きくなるようね……」


「あぁ。初の実験としては、大成功じゃないか。目的よろしくこの城に向かってきている。この城とともに、国王……マナ徒が死んでしまえば、それでいい」


「あっ、くっ、痛い……くっ、わたしはいったい……」


 リーゼは額をつよく押さえた。


「リーゼ? はっ、またアイツか。ここからいったん離れるぞ。アイツのことは忘れろ」


「……」


「おい、マナ徒」


 ロスワルドの声が、夜の空から降ってきた。


「……」


「リーゼの兄だか知らないが、マナ徒である貴様もここで死んでもらう。国王とともにな。貴様らは、あの集合体に潰されろ」


 そう言ったロスワルドとリーゼが、ふたたび光に包まれた。


 そして、夜の空に光の線を伸ばして飛び去ってしまった。


 リーゼ……。


「キャッ」


 ちょうど、移動する光がリフィーの目の前を横切って、乗っていたエレナが驚いた。


「キールー」


 俺は手を振って合図した。

 エレナ、アルス、ヴェロニカがリフィーに乗って、城に降下してくる。


「キール……飛び去ったヤツは、妹なのか……」


 レオンが言った。


「あぁ……」


「深い経緯がありそうだが、いまはそれを聞いている時間がなそうだ。アレをなんとかしないと、その経緯も聞けなさそうだ」


「確かに、そうだな」


「キールー」


 リフィーから降りてきたエレナが抱きついてきた。


「アレ、都で暴れた人たちから、ふわーっとピンク色の煙が出てきて、ひとつに合わさったよ」


 エレナがピンク色の化け物を指差した。


「まさにレッドエリクサーの集合体だな」


「レ、レオン。早くなんとかしないと、都がどんどん潰れて、城もやられちゃうよ」


 太って、見たこともないこまごましたアイテムを体中につけている紅蓮騎士団の男が言った。


「ヨルグ、ウガウガ言ってる暇があったら、弱点を探しガウ」


 オオカミに乗っているウルスラが、弓矢を化け物に放つ。


 プチュンと、水面に矢が入るように、化け物の体内に吸収されてしまった。


「ウガ? これならどウガッ」


 ウルスラは、別の矢を放った。

 矢が化け物に接触した瞬間、爆発した。


 化け物の表皮がドロッと溶けて、穴が空いた。


「やった」


 ウルスラが拳を握った。


「あっ、だめだ。すぐに穴がふさがれていく」


 ヨルグが悲しむように言った。


「だったら、もっと火力の強い矢を今すぐ作れガウ」


「火力を強くしたら、今よりも重くなっちゃうよ。矢の飛距離、スピード出なくなっちゃう」


「アイツが近くに来るのを待つガウ」


「それじゃ、都の被害が増えるだけだ。しかし、近づいたところで……」


 レオンは、クッと唇をかんだ。


「ねぇ、キール。アレにすごく赤く光っているところがあったよ。そこに、どんどんピンク色の煙が吸収されて、大きくなった」


 エレナが言う。


「それはどこだ?」


「こっちから見ると……ほら、アレ」


 横に少し移動すると、化け物の体内の中心で赤くきらめく大きな球が見えた。


「アレが、集合体のコアだろう。コアを破壊するのが1番手っ取り早そうだ。しかし、あの液体の体にどうやって穴を開けるか」


「どんどん爆発させるガウ」


 ウルスラがふたたび矢を放つ。

 連続して、矢を放ち、集合体の側面に穴が開けられていく。

 しかし、すぐに穴は閉じていく。


「やはり、あまり時間をかけていられないようだな。大技を連続で撃ちこむしかないだろう」


「確かにそうだな、ユリアヌス。紅蓮の合技だな」


 レオンが、赤い鎧を身につけた男に言った。

 ユリアヌスは静かにうなずいた。


「キール、君の力も借りたい」


「もちろんだ」


「あわわ……わ、私も協力させてください。このまま何もしないのはイヤです」


 ヴェロニカも加わった。


「みんな、ありがとう」


 レオンは頭を下げた。

 みんなもうなずいた。


「あの高い位置にあるコアを狙うなら、落下して攻撃するしかない」


「だが、キール。チャンス1度だ。我々の体力、魔力は、この1度きりの大技分しか残っていない」


 旅帰りで、都で暴れていたヤツらを鎮めてきたからな。


「失敗はできないか……」


「だったら、残ってる素材で爆弾を作る? ウルスラの矢よりは、破壊力は出せるよ。でも、オイラも魔力が少ないから」


「それなら、協力できるやつがいる。アルス、お前の力を少し貸してくれ」


「は、はい……爆弾ですね、よく作っておりましたので慣れておりますぅ」


 ニカッとアルスが微笑んだ。


 おい、アルス。

 お前は、いったいどんな職場で働いていたんだ?


「魔道具士のアルスだ。なにか手伝えることがあったら、頼んでくれ。俺のこの折れた剣を、強度増しで修復してくれた腕だ」


 ヨルグにアルスを紹介した。


「へー、君、すごい魔道具士じゃないか。いやー、そんなすごい子が修復した剣、ちょっと見てみたいなー」


 と、ヨルグが目を輝かせて、黒剣を見つめる。


「ヨルグ、それはあとだ」


 と、レオン。


「ハッ! そうだった。じゃあ、すぐに作るよ、レオン」


「頼んだ、ヨルグ、アルス」


 レオンが言った。


「はいですぅ……では……」


 と、アルスは自分の服をつかんで脱ごうとする。


「おい、するな」


 アルスの手をつかみ止めた。


「おもしろかった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「このあとキールたち、どうするのっ……!」


と思ったら


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