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044 売り上げ結果

 


 木を隠すなら森の中。


 ドンとしてれば案外バレない。



 カーグランドの街中の一番目立つ場所に、デカデカと事実が知れたら大陸級の最高機密である聖女の私とサキュバスのリルム二人の特大ポスターが貼られた。



 私としてはそれだけで気恥ずかしさで消え去りたい気分でいっぱいだが、ゲルベルグさんは流石わかっているのか、念写で文字も足して『世界初!カメラによる写真完成!』という説明と共に『カーグランドが誇る人物写真『ブロマイド』発売中!』とセンスの良い広告ポスターになっていた。


 流石大手サークル……ポスター作りが上手い。




 貴族は街のポスターなどは見ないので目線を変え、シルメリアお祖母様やソフィア嬢以下ゼルギウス派の令嬢たちにブロマイドを数枚渡し、社交界のネタにしていただいたりした。



 これを渡した際、令嬢達は若いイケメン武将カムイを初めて見た者も多く、目が血走っていた。


 一応まだ取引が継続されているからヤマシロの貴族ということになってはいるが、取引が破談になった際は貴族で居られるかはわからないと聞くとウチがウチがの引き取る大合唱だったようだ。やらんぞ!!


 ギルヴィード様のはないの……? という渋メン好みの令嬢にはフィンスターがやってくれた隠し撮りを「見つかったらもう出回らないので内密に……」と内密にファンの間で出回る事となった。


 ソフィア嬢は素晴らしいと絶賛しながらもちろんゼルギウスさんとゼルガリオンを両方買っていた。



 それとソフィア嬢が不思議そうに「ゼルギウス様とギルヴィード様お二人で写っている写真はないのかしら……」と聞いてくる令嬢が多かったと言われた。



 あっ……(察)



 私は「仲の良い殿方が楽しそうにしている姿は和みますし、縁もないわたくしたちの家を心配してそういう写真もあった方がいいと思ったんじゃないかしら」と誤魔化した。


 政治的に心配してくださる懸念な発想だったのね! と感激していたが、絶対そうじゃないと思う。



 愛国心溢れる貴族たちは勿論、義理でも陛下をお買い上げするし、ゼルギウス信者はゼルギウス様を部屋に飾るとホクホクしていた。


 コッソリとリルムや私のブロマイドを買う貴族や誤魔化す為にあくまで写真技術が気になったと全部買いするムッツリ貴族もいたようだ。



 兵士寮にはフィンスターが行き、ソッと売り始めたらリルムと私のブロマイドが飛ぶように売れたそうだ。


 愛国心溢れる者たちは陛下やゼルギウス、ゼルガリオンを買ったそうだが、リルムのは即完売で奪い合うようにして無くなったので早めに補充しないと喧嘩が起こるかもと言っていた。ひぇ。


 ベルドリクス領では地元人気かカムイや私が好調のようで、お祖父様のはないのかという者も居たと言う。成る程。



 そんなわけで思った以上の売れ行きを博している。


 謎の存在カメラの元値もシャルルもこちらが押さえた今、どれだけ利益をかさましするのも可能。マネーロンダリングし放題だ。



 カメラ自体が欲しいとの声も沢山あったが、とりあえずはまだ量産出来る状態ではないと言い、貴族は家族写真用にスタジオを貸し出そうという話になった。



 凄腕魔導士ギルヴィードおじ様でも「原理はわかるが現物を解体でもして調べねえと……いやしてもこのクオリティは出せねえ」と模造品はなかなか出ないだろうと天才シャルルを褒めていた。




 シャルルは抑制された貴族社会で利権を取られがちであったが、ウチでは「あくまでもカメラの権利はシャルルにある」という姿勢で、シャルルに利権の金が入って来るようにした。


「す、凄いです先輩! 俺、こんな大金見た事ありません……!」


「俺たち、どれだけボッタクられてたんだろうな……」


 いきなりブロマイドのカメラ使用料で大金が入り、シャルルや弟子たちは感謝していた。


 新生活の生活費に使ってね。


 しかしどれだけモノリスに搾取されてたんだ……。



 陛下からもモノリス国との友好よりシャルルの利益の方が上と判断され、亡命を受け入れる由を頂いた。


 なのでもうシャルルはカーグランドのいち市民の発明家だ。



 もちろんモノリスは怒っていたみたいだけど、今までのシャルルへの搾取などの反論の書状を送ってこちらは本人の要請により保護したと言っているので、まだ論争にはなっていない。


 カメラを知った今は相当怒り狂っているだろう。



 モノリス国と仲が良いのはシグルド派閥なので、私たちはモノリスと仲が悪くなっても痛くも痒くもない。


 戦争にならないよう頑張ってシグルド派閥がとりなしておいてね。


 ……案外戦争はモノリス国とが一番早そうかもな。




 グラフを作り続けて職人と化してきたヤード先生が手早く写真の売り上げ表をまとめてきた。


 商人の血か、やはり商品の売り上げ推移をみるのは楽しい様だ。



「まず人物ごとの売り上げになりますが……」


「これは……」

「圧倒的にリルムが売れてるわね……」

「だろうな」


 さすがエロパワー。


 まあ正直あの写真の中では圧倒的にリルムの写真が『使える』だろう。


 写真にも魅了効果が付与できたのもでかい。



 私が「これは売れる!」とスカウトしたリルムが売れているのは鼻が高い。


 意外だったのが二番目が私だ。


「マリアは順当だろう。カーグランドの聖女さまとして尾ひれはひれついてるからな」


「ゼルガリオンはちょっと時間が経ってるので落ち込んではいますが良い伸びですな」


 カムイも知名度が低いわりには売り上げもなかなかだ。というか軒並み完売であまり差はない。


 どちらかというと見ているのは完売時間だ。



「今量産機で量産しているところですが、もう商人から発注がいくつも来ていますぞ」


 さすが交易国カーグランド。発信も早い。



 陛下やゼルギウスさん人気は国内だけだろうから変な政治運動に使われてもやだし国内限定。


 売るのは主にリルムとカムイとゼルガリオン。そしてまあ……私だ。



 一応メリットもなくはない。


 リルムはサキュバスがバレたとしても人気が広まれば、もしかしたらサキュバスを家畜扱いする人が減るかもしれないし、私も『カーグランドの』聖女っていうレッテル貼りができる。


 カムイは……私への忠誠心だけでやってくれてたね。ありがとう……。



 リルムのサキュバス地位向上と言えば、ゲルベルグさんに「今サキュバス捕まったって話題が国中の噂だし、サキュバスが捕まって家畜扱いなのに国の王子に愛されるシンデレラストーリーとか描いたら売れないかな」と提案したところ


「女性向けだったら身分差だし夢があってアリだとは思う! そういうの好きな作家友達何人かに依頼してみる!」と手紙を送っていた。


 やっぱこの世界でもあるんだな……作家コミュニティ。



 あと手紙は魔法で伝書バトを作って送るのが基本。手紙よりは早いが電話よりは遅い。


 軍の連絡手段も同じく魔法伝書鳩だそうだ。


 これでちょっとサキュバスへの関心というか、同情心みたいなものが育ったらもうけものだ。





 ちなみにゲルベルグ商会にシグルド派がシグルドの写真を何故作らないと殴り込みにきたらしいが、完全に開戦宣言をしてきたのはそっちなので「うちはベルドリクス家の御用達商会ですので、大変申し訳ございませんが……」と黒服を呼んで強気なお引き取りを願ったそうだ。


 あの開戦宣言がなかったら義理でも誘ったかもしれないが、あのゼルギウスさんですら「兄上……いや、シグルドは呼ばなくていい」と決意を固めていたくらいだ。


 血縁のシグルドか忠臣のギルヴィードおじ様を選べって言われてちゃんと決意出来た辺り王としての態度だと思う。




「今はシャルルたんが量産機からヒントを得て雑誌の印刷機を作っているところなので、完成は比較的早そうですな」


 さすがシャルル。天才と呼ばれるだけはある。


 シャルルを遊ばせていたモノリス国は宝の持ち腐れ……いや、普通は扱いが難しい奇人変人だから今みたいにちゃんと働いてくれてるのが凄いのか……。


「ワタシのエンジェルの恩に応えます」と涙ながらに私に言ってくれたけど、まだ脅されでもしてるんだろうか……と心配しつつもリルムの察知バリアのアクセも作ってほしいなと考えていた。









 そんなこんなとありながらも日々の生活は続いていく。


 リルムは最初の発言通りカーグランドに居る兵の訓練を順々に付けていっていた。


 と言っても順々に魅了をかけて下僕にしてるだけなのだけど……。



 周りからはすっかり「リルム隊長」として兵から慕われている。すっかり軍のアイドルだ。


 多分違う意味でも慕われて『使われて』もいるんだとは思うが知らぬが仏……。



 リルムは露出が少ないと魅了が半減するとのことでギルヴィードおじ様が新しく『エロい女騎士』みたいな装備を用意してくれた。


 ブロマイドを売るほど公に露出した女騎士がサキュバスだと思う奴はそうそういないだろうと言っていた。


 完全に趣味全開のオープンスケベ野郎だがリルムはギルヴィードおじ様からのプレゼントに大喜びで喜んでスケベ服を着て励んでいる。兵の視線とか大丈夫なのかな……。



 そんなリルムはまだ察知バリア魔導具が無いので私がついていなくてはならない。ので私はリルムが兵を訓練している横で青空教室ならぬ青空勉強をしている。


 音や風もバリアを張ってれば快適なので健康的に勉強させてもらっている。


 応用魔法で紫外線バリアも作れないかな。



 もちろん折角なのでついていけない者には一時的に支援魔法をかけたりして応援したりもしてる。


 訓練は厳しいからそういう人から死んじゃうからね。お願いだから私の前で死なないでほしい。



「マリア様が来て下さってウチの軍みんな感謝しております」


「マリア様は本物の聖女さまのようだ……」


 一応はリルムが私の護衛だからということで「マリア様が許可してくださり共に来て下さることでリルムの訓練が受けられる」という体だ。



「テメーら!! マリアが見てる前でかっこわりーとこ見せんじゃねーぞ!!」


「押忍!!!!」


 私も兵たちに見られているので下手は出来ない。『ご令嬢』力も上がる上がる……ある意味一番いい訓練を受けているのは私かもしれない。



 噂を聞きつけてお祖父様からもベルドリクス軍にも来てくれと言われたけど……リルムの訓練って『リルムの魅了にかけてリルムの為に本気で訓練させる』っていう根性論の原始的な方法なんだけど……いいのかな?


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