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リカはマリエッタから返事の手紙を受け取ると、運んできた隼にお礼を言うと封を切った。
中からはリカが送った紙ともう一枚別の紙が入っていた。
広げてみるとリカが書いた文の間違えた所を赤いインクで書き直してある。
たしかにマリエッタの書いた通りに写したつもりなのだが、やはり間違いがあったらしい。
それを覗き込んだマリエッタが笑った。
「返事が返ってきて良かったじゃないか。もっと文字を覚えれば文通も出来るようになるさ。」
「そうですね。これ、読んでもらってもいいですか?」
リカが差し出した便箋には几帳面な字が一列だけ並んでいた。
残念ながらそれを読むことはリカにはまだ出来ないことだった。
「あなたの好きなものを書いて送ってください、だとさ。頑張って文字を覚えないとね。」
「はい!」
リカは便箋を返してもらうと、大事に封筒の中にそれをしまう。
今日からもっと文字を覚えて、早く返事をしなければ。
「マリーさん、私部屋に行って復習してきます!」
「ほどほどにするんだよ。今日は午後から森に言って魔力の調整の練習をするからね。」
「はぁい!」
元気よく返事をして封筒を抱えると、リカは部屋へ駆け込んでいった。
中身は大人なはずなのに身体が子供なせいか行動まで子供じみてきたような気がするが、それを咎める人もいないし、かえってその方が自然に見えるからいいだろう。
マリエッタには本当は大人だという事は誰にも話してはいけないよ、とここで暮らし始めたころに言いつけられていた。
マリエッタは普通にしてくれているが、異世界からやってきた幼児、しかも中身は大人などと知られてしまえば、あっという間に捕らえられて一生実験動物の扱いを受けることだって不思議ではないという。
この世界の魔法には召喚魔法というジャンルがあって、異世界からいろんなものを呼び出す魔法らしい。
しかし、それは近年開発されたものらしく、召喚魔法を研究している者からすれば、異世界の生物は喉から手が出るほど欲しい研究材料らしい。
マリエッタの家にいて会ったことがあるのは、森の外の村に住む木こりを生業にする一家と、数人の狩人くらいだ。
その人たちにばれなければ今は問題ないが、今後の事を考えて子供のふりをするのに慣れておけともマリエッタに言いつけられた。
そんなわけで、リカは毎日どうすれば子供らしい仕草になるのか、研究中だ。
部屋に戻ると、もらった手紙を大事に机の中へ仕舞いこむ。
後で文字が読めるようになったら、読み返すのも楽しそうなのでとっておくことにした。
マリエッタの知り合いらしい人物から送られた机はアイボリーの鳥と蔦の彫刻が美しいこんな子供にもったいないような立派な机だった。
家具は同じもので揃えられており、ドレッサーまで置いてある。
始めは部屋に収まるかと不安だったが、マリエッタが客間に使っていた部屋をリカに提供してくれたのだ。
その机の上には紙と何枚もの紙を紐でまとめたノートが広げられていた。
ノートにはリカがかつて使用していた日本語の挨拶を書き、その横にこの世界の文字で書いていた自作の辞書だった。
その筆跡はマリエッタのものだ。
もちろんいつまでもマリエッタに書いてもらったのでは手間なので、文字に書くのに慣れたら自分で調べるつもりだ。
単語などはあいうえお順にして見やすいようにまとめるつもりで作っている。
いまはこの手に何かを書くという行為を覚えさせるのが優先だと、リカはひたすら単語をなぞっることを繰り返していた。
明日より一週間ほど、更新が不定期になります。申し訳ございません。




